ハンドボール部 初優勝を目指した集大成の大会/卒業記念特別企画

2023.03.26

 創部初の日本一。これは私が3年間明大ハンドボール部を取材した中で最も耳にした目標である。チームの好不調にかかわらず彼らが頂点を目指す姿勢は常に変わらなかった。今年度は秋季リーグを3連勝で締めくくり、全日本学生選手権(以下、インカレ)へと弾みをつけた明大。学生最後の大会となる4年生を中心に日本一を見据えて戦いに挑んだ。

 

11・3~7 第65回全日本学生選手権(スカイホール豊田他)

▼明大ーーベスト8

 

 「(インカレ)優勝しか見ていない」(衣川敦人・理工4=愛知県立旭丘)。今年度の4年生が入学した2019年以降のリーグ戦の最高順位は4位。インカレでは新型コロナウイルスの影響で中止となった一昨年度の大会を除くと2大会連続ベスト8と、彼らは明大のユニホームを着て優勝を味わった経験がない。それでも、取材の時に常に口にしていた目標は〝日本一〟。学生最後の大会での実現に向け、気合を入れてコートに立った。

 

 初戦の立命大戦では試合開始から一度もリードを許さず、10点差をつける快勝を見せる。続く2回戦は東海大との対戦。この試合は60分を通して僅差の展開が続いた。勝利への流れをつくったのは可児大輝主将(政経4=中部大春日丘)だった。後半28分、27―28の場面でペナルティを獲得。同点へのシュートを可児に任せた。この試合では勝負どころで可児がシュートを外し、相手に流れを渡す場面があった。それでも「ミスをしたのに託してくれて感謝している」(可児)。仲間の思いを背負って投じたペナルティシュートを成功させ、同点に追い付く。その後はリードを許さず、1点差で激戦を制した。歓喜に沸く選手の姿を見た私は思わず大声をあげてしまった。ヤマ場の準々決勝の相手は西日本学生選手権を制した名城大。優勝へ向けた大事な一戦だったが、相手の攻撃に苦しめられ敗戦を喫し、またしてもベスト8で戦いを終えた。

(写真:東海大戦に勝利し、喜ぶ選手たち)

 

 「1年間練習でやることはやってきた」(可児)。日本一の夢はかなえられなかったが、最後のインカレを全力で戦い抜いた4年生に悔いはなかった。後輩たちへ向けて「リーグ戦優勝と日本一を僕たちの代わりにとってほしい」(衣川)。4年間で届かなかった優勝への目標を託し、晴れやかな表情で次のステージに進んだ。

 

[永井涼太郎]