スケート部(アイスホッケー部門) インカレ史に残る接戦を制し日本一/卒業記念特別企画

 タレント揃いであったここ数年の明大と比べると、前評判は決して高くなかった今年度のチーム。それでも大接戦の末、宿敵・東洋大を下し4年ぶり33度目となる日本一を達成。4年生にとっては競技人生の集大成となるこの大会で有終の美を飾ってみせた。

 

◆12・20~25 第95回日本学生氷上競技選手権(KOSE新横浜スケートセンター他)

▼12・25 決勝 対東洋大(KOSE新横浜スケートセンター)

〇明大2{0―0、0―0、1―1、1―0}1東洋大

 

 今年度のチームのキーワードは総合力。それはチーム全員で戦い、上級生から下級生まで力を出し尽くすことを意味する。そしてFW井口藍仁(商1=埼玉栄)をはじめとした新戦力の台頭もあり、実力のある下級生が試合に出場することは多かった。しかし、チーム全員、チーム一丸という言葉は一見ありきたりで、誰もが言うことのできるセリフでもある。口だけで目指している人々は山ほどいるだろう。それでもこのチームは違った。

 

 卒業後、トップリーグに進む選手がいない今年度の4年生。たしかに前評判は高くなく、今季の優勝は厳しいと思われていたことは事実だ。しかし、FW中條廉主将(政経4=白樺学園)を中心としDF鍛治優輝(政経4=武修館)、FW唐津大輔(法4=日光明峰)、FW亀田歩夢(文4=釧路江南)、DF井島拓紀(文4=北海)、DF菅野剣太(法4=釧路江南)ら4年生6人が自分たちの行動からチームの雰囲気を変えてみせたのだ。後輩たちが伸び伸びとプレーできる環境、練習中も決して上から抑え付けることはなく、出場機会が少ない4年生は積極的に声出しを行った。そして優勝後、中村直樹監督はこう語った。「嫌な顔をせず、率先して今日のためによくやってくれた4年生には頭が下がる。本当にしっかりした4年生だった」。そういった一人一人の思いこそが、チーム一丸、そして総合力の源だった。

 

 自分自身この試合が学生記者として最後の取材だったこともあり、3年間追ってきたチームが最後に最高の結果をつかみ取ってくれたことは心の底からうれしかった。入部当初はリンクが寒いことしか考えていなかった自分が、まさか最後にこれほど熱い気持ちになることは想像もしていなかった。これからもきっと忘れることのない、まさにスポーツが持つ力に感動させられた経験だった。

 

[佐藤慶世]

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