
サッカー部 PK戦の疫病神/卒業記念特別企画
PK戦。死力を尽くした120分でも決しなかった勝負に勝者を見いだす、複雑で難解なサッカーの中でももっともわかりやすく、残酷な勝負だ。両者たった5回ずつのキックで決着をつけるその強引さ故に、PK戦が行われるのは勝者を選ぶ必要があるトーナメント戦においてのみ。つまり、PK戦での敗戦は大会からの敗退を意味するのだ。
◆8・18〜9・4 第46回総理大臣杯全日本大学トーナメント(味の素フィールド西が丘他)
▼明大――ベスト8
第46回総理大臣杯全日本大学トーナメント3回戦、明大対大院大。夏の日本一を決めるこの大会。優勝候補筆頭の明大は初戦を順調に突破すると、この試合でも6分に幸先よく先制点を挙げる。しかし後半には相手にPKを献上し同点に追い付かれると、その後も試合を動かすことはできず。迎えたPK戦では明大のサドンデスに突入した8人目が失敗し試合終了。日本一への挑戦はあっけなく幕を閉じ、ファインダー越しに映る選手たちはただうつむくだけだった。
(写真:PK戦後にGKをねぎらう福田)
この試合から1カ月時をさかのぼった7月24日。味の素フィールド西が丘では、「アミノバイタル®︎」カップ関東大学トーナメント決勝が行われていた。2019年以来のカップ戦でのトロフィーに王手をかけていた明大は国士大相手に2度リードを奪うも逃げ切れず。PK戦では後攻の明大が2人目まで連続で失敗したのに対し、国士大は全員が成功。4人目が決めたところで勝負は決し、喜びを爆発させる国士大を横目に、明大は肩を落とすことしかできなかった。
PK戦での敗戦。選手たちにとってはもちろん、サッカー部担当の記者としても一番ショックの大きい負け方だ。思い返せば私が記者として活動した3年間の中で、明大は公式戦で4回PK戦を戦った。私はその全てに立ち会ったわけだが、戦績は4戦4敗。一度も勝利の瞬間を見たことはない。もはや私が会場にいる限り、明大がPK戦に勝つことはないと思う。正直、PK戦後の取材はどんなときよりつらい。茫然自失(ぼうぜんじしつ)した選手たちにかける言葉を選ぶのは難しいし、やるせない。井上樹(法3=ヴァンフォーレ甲府U―18)率いる新チーム。1年次から取材してきた選手たちが最上級生になるということもあり、思い入れの深いチームだ。記者としてチームを追うことはできないが、一人のファンとして応援し続けることだろう。そんな選手たちが悲しむ姿は見たくない。だからお願いだ。圧倒的な力で、PK戦にたどり着くことなく勝ってくれ。
[土屋秋喜]
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