ラグビー部 明大ラグビー部が多くの人に応援される理由/卒業記念特別企画

2023.03.22

 明大ラグビー部が今まで見せてくれたたくさんの〝瞬間〟。明スポ記者として、大学日本一の瞬間を見ることは叶わなかったが、それ以上に価値のある瞬間が私の明スポラグビー部担当としての3年間を彩ってくれた。

 

◆11・19~1・8 全日本大学選手権(国立競技場他)

▼明大――ベスト8

 

 私は明大が日本一になる瞬間を目の前で見たことがない。2020年度の箸本龍雅選手(令3商卒・現東京サントリーサンゴリアス)率いるチーム。2021年度の飯沼蓮選手(令4営卒・現浦安D-Rocks)率いるチーム。惜しくも大学日本一に手は届かなかった。日本一の瞬間を見たことがある明スポの先輩や明大出身の父から話を聞いたことがあるが、やはり優勝の瞬間は選手も観客も感動的なのだろうと想像できる。

 

 今年度の石田吉平主将(文4=常翔学園)率いる明大ラグビー部は、私が明スポ記者として関わることができる最後のチームだった。このチームの最後の試合は12月25日に行われた全国大学選手権準々決勝。本当に最後の最後までどうなるか分からない試合展開だった。特に最後の10分は明大と早大の意地と意地がぶつかり合い、すごいものを目にした。残り時間10分の時点でスコアは21―27。明大が1トライ1ゴールを決めれば、逆転ができる状況だった。徐々にラインを上げていた明大だったが、終了間際に早大にボールを奪われノーサイド。今年度も日本一という目標は叶わなかった。しかし、プレーの一つ一つや選手の真剣な表情は、大学日本一になるその瞬間だけを捉えていた。

 

 「明大が日本一になる瞬間を見たい」。私が明スポに入ってからずっと思ってきたことだ。私だけが特別思っていることではない。他の担当部員も、ファンの皆さんも、明大ラグビー部を応援している人全員が必ず思っていることだと思う。でも、大学日本一という瞬間ではなくても、今まで選手はたくさんの瞬間を見せてきてくれた。番記者でついていた選手が紫紺に復帰した時。八幡山での練習試合で、ケガでずっと試合に出られなかった4年生の力強いタックルを見た時。卒部式で主将を胴上げする4年生たちを見た時。言い出せば切りがないほど、私の中に残っている瞬間がたくさんある。これも私だけではないはず。一人一人がそれぞれ忘れられない瞬間があるのではないか。1年生の時に初めて行った明早戦では、ファンの熱烈な応援に正直驚いた。大学ラグビーにもここまでファンがいるのかと。でも今明スポ記者としての活動を終えてみれば、その理由が分かる。今までたくさんの人たちを魅了し、たくさんの瞬間を生み出してきた明大には、応援したくなる魅力が詰まっている。明スポ記者として大学日本一になる姿を見ることはできなかったが、きっとそれ以上に価値のある数え切れないほどの瞬間を見ることができた3年間だった。

[宇野萌香]