(32)シーズン後インタビュー 住吉りをん
掲げた目標の達成を目指して、今シーズンをひたむきに戦い抜いた。今年度の日本学生氷上競技選手権では20年ぶりにアベック優勝を果たし、チームとしても目覚ましい結果を残した。その中でも、近い将来を見据えながら歩み続ける選手もいれば、今シーズンでスケート競技から引退した選手もいる。それぞれが感じる思いを、選手の言葉を通じてお届けする。
(この取材は3月12日に行われたものです)
第2回は住吉りをん(商1=駒場学園)のインタビューです。
――今シーズンを振り返っていかがですか。
「調子の波が激しいシーズンでした。元々波が激しいタイプではあるのですが、それにしても大きかったなと思っています。今までにないくらいシーズンを通して多くの試合に出ることができていて、その分調子の波が大きかったなという印象です」
――シーズンを通して多くの試合に出場した理由はありますか。
「今シーズンが始まる前にとにかく試合に出て経験を積もうとコーチと話していました。実際に多くの試合に出て、その分の経験を積むことができたので良かったです」
――S P(ショートプログラム)を振り返っていかがですか。
「S Pは自分の長所を生かすようなプログラムで最初はなじんでいなかった部分がありましたが、シーズン後半になじんできてからは本当に滑りやすくて気持ちよく踊れたなという印象です」
――F S(フリースケーティング)を振り返っていかがですか。
「F SはS Pに比べてさらにチャレンジングで、曲的にもさまざまなパートがあって難しいのですが、着実に自分のものにしていけたなというイメージです。ですが完全には自分のものにし切れていないという感覚があるので来シーズンも挑戦したいなとオフシーズンに入った今でも思っています」
――来シーズンもプログラムは継続しますか。
「S Pは変更する予定です。S Pに関してはやり切ったというか、この1年で完成形に出来上がったなと感じています。F Sに関してはまだ伸び代が残っているなと感じていて、そこが決め手です」
――4回転トーループに関してはいかがですか。
「1年間全ての試合でプログラムに入れたことは評価していいかなと思っています。大変なことではあったのですが、それだけ経験を積むことができましたし、度胸もついたと思っています。4回転を入れることによって、他の部分でミスが出て結果がついてこないということもありましたが、それをするだけの価値があったというか、来シーズンにつながる挑戦だったなと思います」
――今シーズンの中で印象に残っている試合はありますか。
「グランプリシリーズ(以下、G Pシリーズ)第5戦日本大会(以下、N H K杯)と全日本選手権(以下、全日本)です。N H K杯は3位ではあったのですがうれしい気持ちで終えることができました。その勢いのまま全日本に行こうと思っていたのですが、いざ全日本を迎えた時の心の弱さや、シニアとして初めての全日本の怖さを経験しました。その二つがうれしい出来事と悔しい出来事の二大巨頭という感じなので印象に残りました」
――G Pシリーズでの2戦連続の表彰台がありましたが、世界で戦えるなと手応えを感じた部分はありますか。
「演技内容としてはベストでなかったにもかかわらず、いい結果がついてきたことが驚きというかうれしかったです。それと同時に世界で戦うという次元ではなくて、世界のトップにならないといけないと感じたので、次はそこを目指していきたいなと思いました」
――伸び代を感じた部分はありますか。
「ユニバーシティゲームズのS Pで、自分の中でできるノーミスの演技をしたにもかかわらず、それでもトップ3には点数がかないませんでした。自分はノーミスの演技をすることを目標にやってきたのですがそれを当たり前にしていかなくてはいけなくて、その中で加点の幅などがこれから勝負になってくると思うので、ノーミスだけを求めてはいけないのだと感じました」
――表現面で修正していきたい部分はありますか。
「先日のアメリカでの合宿の際に、ブラッシュアップだけでなく、スケーティングの基礎をシェイ=リーン・ボーンさんに教わってスケーティングがまだまだだなと、こんなにも違うのだと感じました。一歩でもシェイ=リンのスケーティングに近づきたいと感じましたし、2週間で教わったことを復習しながら、基本的なスケートが上手くなりたいと感じました」
――新たに取り組んでいきたい技はありますか。
「オフシーズンに入ってから、4回転トーループだけでなくトリプルアクセルや4回転サルコウにも取り組んでいます。今トリプルアクセルがいいところまで来ていてかなり手応えを感じているので、試合は別として確実に自分のものにできたらいいなと思って、力を入れて練習しています。他にもシーズン中ではできなかった練習を増やしていて、取り入れるかどうかは別として種類を増やしていきたいです。4回転の種類を増やすことができれば、もしトーループが調子悪ければサルコウに変えるなどの選択肢を増やすという面でも重要だと思っているので、そういう意味でも数種類練習し始めています」
――来年度から大学2年生ということで後輩なども入ってきて先輩という立場になっていくと思いますが、その点に関してはいかがですか。
「明大が特段強いというのもありますが団体でやっているという感覚があって、明治大学スケート部のために貢献したいという感覚ができました。それをプレッシャーにするのではなくて感謝の気持ちを持つことが大事だなとこの1年で感じたので、そういうことを新しく入ってくる子たちにも伝えていけたらなと思います」
――来シーズンの目標をお願いします。
「今シーズンは全日本で悔しい思いをしたので、1番の目標としては全日本でリベンジすることです。あとは今シーズン目標にしていた世界選手権出場をもう一度掲げてそこを目標にできたらなと思います」
――ファンの方々へメッセージをお願いします。
「今シーズン、本当に多くの試合に出てそのたびに応援してくださりありがとうございました。4回転に挑むことの代償だとは思うのですが、なかなか結果が出せなかった時でも温かい声をいただけたので、来シーズンは今シーズン挑戦してきたことを生かして、結果を求めていくので、そこを楽しみに待っていただけたらなと思います。また温かい応援をいただけたら嬉しいです」
――ありがとうございました。
[冨川航平]
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