(13)4年生引退インタビュー 向井慧太

2023.02.10

 今年度悲願のグランドスラムを達成した明大卓球部。名実ともに卓球界の王者に君臨した卓球部をけん引してきた4年生もついに卒業を迎える。今回はそんな4年生全員にそれぞれ思いを伺った。

 

(この取材は2月7日に行われたものです)

 

第7回は向井慧太(国際4=北海道科学大)のインタビューです。

 

――4年間を振り返ってみていかがですか。

 「1、2年生のときは全く卓球で成績残せなくて、3、4年生もそうですが(笑)。全く卓球の競技自体の成績は残せなくて、最初入る時に思い描いていた大学4年間ではなかったです。でも3年生から主務になって違った形で明治大学卓球部に貢献することができたので、3年生になってからはやはり明治の卓球部に入ってよかったなと思っています。そこまではここで良かったのかなといろいろ考えたりしていましたが、結果的に最後卓球で4年間頑張って良かったなと思っています」

 

――思い出に残っている試合はありますか。

 「3年生の時の関東新人戦(関東学生新人選手権)です。ダブルスでベスト16に残って、初めて新聞部の人に取材してもらいました(笑)。ずっと結果を残せなかったけれど、唯一(結果を)残せたのはダブルスの関東学生新人戦のダブルスの試合かなと思います」

 

――對馬選手(對馬悠・文4=大阪桐蔭)と2人で日頃過ごしてきたことが、どのようにダブルスに生きましたか。

 「同部屋だったので、自主練習の時に『ちょっと練習しない?』みたいな感じで誘いやすかったです。いるかどうかが分かるので(笑)」

 

――對馬選手に感謝していることはありますか。

 「對馬は卓球している時も普段過ごしている時もそうなのでが、否定せず前向きな言葉を常に掛けてくれるので、戦術面にしても気持ちの面にしても自信を持ってプレーできるのは對馬のおかげだなといつも思っていました。自信を持ってプレーさせてもらえるのはダブルスのパートナーとしてすごく大きいかなと思います」

 

――4年間過ごしてきて、成長した部分はありますか。

 「主務になってから、目上の方とお話する機会が増えて、そういった目上の人たちとのコミュニケーション能力だったり、気遣いだったり、そういう大人としての立ち振る舞いを学ぶことができました」

 

――主務をやってきて一番大変だったことは何ですか。

 「主務になって、期日に追われるというか『何か忘れていないかな』と思って普段を過ごしていました。何かに気を付けて過ごしていたのはみんなにはなかった部分かなと思います」

 

――主務としてやりがいを感じたことはありますか。

 「4年生の時にグランドスラムを達成したのですが、その時に主務としてベンチで応援して、歴史的瞬間を体験することができたことです。自分だけだったら日本一の経験はできなかったと思うのですが、主務になったからこそインカレ(全日本大学総合選手権団体の部)で日本一という経験をベンチで一緒にさせてもらえた時『頑張って良かったな』とやりがいを感じました」

 

――4年間を漢字一文字で表すとしたらどのような漢字にしますか。

 「『満』ですかね。学べることは学び切って、いい経験をさせてもらったなという印象が強いです。後悔とかはないです」

 

――4年間で挫折はありましたか。

 「一番は1年生の時かもしれないです。自分は北海道が地元で、北海道の中ではほとんど負けなしで、北海道の中ではトップ選手でした。日本一の明治大学に入ってもレギュラーだったり試合でたくさん結果を残したりというのを夢見て入学しました。ただ、最初の部内リーグで真ん中くらいの成績で、正直もう少し自分では上に行けるかなとは思っていたのですが、自分の実力を思い知らされました。最初にそう思った時が一番の挫折かなと思います」

 

――明大に入ったことをその時は後悔しましたか。

 「いろいろ大学を決めている時に、レギュラーで試合に出られそうな大学もあれば、明治みたいに厳しいけれど自分の頑張り次第ではもしかしたら出られるかもしれない大学のどちらを選ぶか悩んでいました。その時はまだ自信もあったので、後悔というよりかはここから頑張ろうと思えていました。でもどんどんどんどん勝てなくなるので、2年目は正直後悔していた時期でした(笑)。1年目はまだやる気はあるので、悔しい気持ちをバネに頑張ろうと思えるのですが、2年目から『ちょっと限界かも』と思ってきていました。主務をやっていなかったら3、4年は何していたのかなと逆に怖いなと思います」

 

――同期に対してどのような印象を持っていますか。

 「僕らの代は上や下の代に比べたらそんなに強くなくて、なかなか試合に出られない、リーグ戦になかなか出られないというのを全員が経験していました。誰か強い人がいて『負けたくない、悔しい』と頑張るか、みんな出られないから『頑張ろう』となるのか、逆にどちらがいいのか分からないです。(今の4年生は)みんな同じ気持ちを味わっているので、どこの学年よりも仲は良かったかなと思います。悪く言ったら傷の舐め合いかもしれないですが、みんなで切磋琢磨(せっさたくま)して、お互いの気持ちを理解して頑張って来られたので、いい同期だったなと思います」

 

――同期に感謝していることはありますか。

 「なんだかんだ一緒にいた時間が長いので、お互いの気持ちを理解できて『みんなでもうちょっと頑張ろうぜ』という感じでできました。同期のグループLINEも『家族』という名前なんです(笑)。それくらい仲がいい学年で、同期の絆はどこにも負けなかったかなと思うので、そこはみんなに感謝したいなと思います」

 

――後輩に対しては、どのように思っていますか。

 「僕たちも頑張っていたつもりだったのですが、後輩は引くくらいみんな練習していて『そりゃ強くなるわ』と思いました。どこまで強くなってもずっとその練習量で、どこまでもひたむきに頑張れる後輩たちであってほしいなと思います」

 

――卒業を目前にした今の気持ちを教えてください。

 「明治大学卓球部にいたという経験がすごく大きいなと思っています。周りに日本チャンピオンや世界選手権に出る人がいて、そういう環境に4年間いさせてもらえた経験は貴重だなと思うので、卒業するのは少し寂しいですが、自信を持って社会人になっても頑張っていきたいなと思っています」

 

――どのような進路に進むのですか。

 「指導者の道に進みます」

 

――監督の言葉で印象的だった言葉はありますか。

 「『主務がいいとインカレで勝てる』と言われて、モチベーションを作ってくれました。僕はそれを意識して、選手よりも、自分のおかげでチームが勝てたと胸を張って言えるくらい頑張ろうと思えました。『お前は雑用だから裏方の仕事だけしていろ』ではなく『主務の仕事の力が結果にも表れるから』と言われていたので、その言葉を忘れずに主務の活動をして、結果を出せたのは良かったのかなと思います」

 

――明大卓球部に入って良かったことは何ですか。

 「人とのつながりですかね。明大卓球部は卓球界の中でもすごい人たちがたくさん関わっている卓球部なので、そういう人とのつながりを持てたことが一番大きいかもしれません。卓球が強くなった弱くなったというよりも、人とのつながりをたくさん持てたことはこれからの自分にも生きていくと思います」

 

――向井選手にとって卓球とは何ですか。

 「格好良く言った方がいいんですかね(笑)。『道』かな…いや格好つけているな(笑)。僕は中学校から大学、就職までずっと卓球で進路を決めてきました。人生の道しるべという感じで、将来の道を作ってくれたのは卓球だったなと思います。いやでもこれ『カッコつけんな』と言われますね(笑)」

 

――ありがとうございました。

 

[末吉祐貴]