
(6)全日本事後インタビュー 宮川昌大・山本歩組
昨年度、4年ぶりにグランドスラムを達成した明大卓球部。大学卓球界の王者は国内最高峰の舞台・全日本選手権(以下、全日本)でも輝きを放った。全国の猛者たちとの激闘を終えた選手たちに話を伺った。ダブルスでベスト8にランクインした宮川昌大(情コミ3=野田学園)・山本歩(商2=出雲北陵)組のインタビューをお届けする。
(この取材は1月30日に行われたものです)
――ダブルス、ベスト8の結果をどのように受け止めていますか。
宮川(以下、宮):組み合わせを見た時点でベスト8にいけると思いました。しかし、自分と山本のダブルスは春季リーグ戦(春季関東学生1部リーグ戦)では常に負け越し、全日学(全日本大学総合選手権)でもランクに入れず結果の出ていないダブルスでした。そのためそこまで上がれる実力があるのかとても不安でしたが、全日本の前に今までにないくらい練習をしたりコンビネーションの練習も行ったり自分たちのできる最大限で試合に臨みました。
山本(以下、山 ): 4月からペアを組みましたが団体戦、個人戦でも良い結果を残せていませんでした。それでも今回出場することができ、試合前から結構調子は良くて自信はありましたが試合で勝ったことはなかったので不安はありましたがベスト8に入れて良かったです。しかしもう1回勝ちたいという気持ちもありました。
――全試合を振り返っていかがですか。
宮:本当にどの試合も苦しかったです。相手はもちろん全日本に特別な思いを持って来ていたのでどの試合も接戦になるだろうなというのは想定していましたが、それでも自分たちの方が周りのダブルスに比べて勝ちたいという思いが強く、今大会は山本の本当に勝ちたいという思いを横に立っていてとても感じたのでその期待には絶対に応えようと思ってプレーしました。
――山本選手の強い気持ちはどのような場面で感じましたか。
宮:普段あまり声を出すタイプではないのですが今大会ではとても声を出したりガッツポーズを出したりなどのコミュニケーションをプレーの合間にしていて試合後に「ダブルスに全てを懸けたい」と僕に言ってくれたのでその期待には絶対に応えようと思って最後までプレーしました。
――山本選手のその気持ちはどこから芽生えましたか。
山:4月からダブルスで結果を残せず、納得のいくプレーが全然できていませんでした。それでも今大会は組み合わせを見てチャンスがあるなと思いました。どの試合も結構競った展開でしたが2人で話し合ってプレーできたのでそこが良かったと思います。
――宮川選手に伝わるくらいの気合いは意識してプレーしていたのですか。
山:自分はシングルスよりもダブルスの方に懸けていました。
――ダブルスに懸けようと思った理由は何ですか。
山:自分はダブルスで結果を残したことがなかったので強い選手とダブルス組ませていただいたからには良い結果を出したいと思っていました。
――1年間ダブルスを組んで成長したところや感想を教えてください。
宮:組み出した頃はお互いの長所を生かすダブルスではなく、自分たちのやりたいプレーをしてしまいうまくかみ合わないところがありましたが、今までの試合で負けてきた中でお互いの長所は普段から一緒に練習してきているので分かっていました。その長所を生かせればいいダブルスになるのは分かっていたので、今回の全日本は本当にお互いの良い部分が出て試合することができたと思います。
――お2人の長所は何だと思いますか。
宮:自分はサーブやフォアハンドで動いて攻めるというのが長所で、逆に山本はバックハンドで得点を取るというのが長所です。打つコースや攻めるタイミング、コースをしっかり考えることによって自分らの長所のフォアハンドやバックハンドで打つコースを限定させることができました。今大会は「このコースに打つから次ここ待ってて」という話し合いを多く行いながらできたと思います。
――1年の集大成として成長を感じられた全日本でしたか。
宮:今までランクに入ったことがありませんでしたが一番大きい全日本でランクに入れたのでこれからも自信を持ってこの大会に向けてまた頑張っていきたいです。
山:4月から組んできて最初は全然かみ合わず、相手のミスなどで得点している感じでしたがお互いの長所をしっかり理解してプレーできたと思います。
――全日本で特に苦戦した試合を教えてください。
宮:勝ち上がるのに大事だと思った試合が2試合ありました。1つ目は3回戦の徳田・木方組(野田学園高)の試合なのですが、この組はインターハイ2位というとても強いペアですし自分の中高の後輩でもあるので大事な試合になると思っていました。いざ試合になると1ゲーム目を簡単に取られてしまって1ゲーム目が終わった時点では本当にチャンスがないと思いましたが、そこで諦めるのではなくとても苦しかったのですが2人で話し合って試合ができました。2つ目は4回戦の中村・萩原組(愛工大名電高)との試合で、この組は昨年度の全日本でベスト8という成績を残していて、昨年度優勝を果たした宇田幸矢(商3=大原学園)・戸上隼輔(政経3=野田学園)組も対戦してセットカウント1ー2で追い込まれていたペアだったので強いというのは分かっていましたが、本当に強くてその試合はお互いの長所が出て何とか勝つことができたのでそれがベスト8に結びついたと思います。
山:試合前から3回戦・4回戦が勝負だと2人で話していて、その予想通り結構競った展開でした。特に4回戦は1セット目を取られ2セット目も9ー10で負けていてそこから逆転勝利をすることができましたが、やはり競った場面でも2人とも自信を持ってプレーできたのが良かったと思います。
――その自信はどこから芽生えてきましたか。
山:日頃の練習量とか普段からダブルスがどうやったら良くなるのかを話していたのが良かったと思います。
――全日本に向けてどのような練習をしてきましたか。
宮:基本はゲーム練習を取り入れています。攻める戦術が今まで1つ2つしかなかったのを3つ4つに増やすなど、いろいろな戦術を取り入れるように練習してきました。
山:ゲーム練習の中でこのコースに打ったらこのように返ってくるとかこのボールに対してはこのように打つといった攻撃面を2人で理解し合っていたので試合ではそこが上手くいったと思います。
――全日本という大舞台は普段の試合と違ったところはありましたか。
宮:日本で一番大きな大会ということで特に気合いが入っているというのと、簡単に勝てる試合は1試合もないと改めて感じました。あとは今回有観客ということで、ここ最近では観客が一番多い試合でもあって自分の中では楽しかったです。
山:予選を勝ち抜いてきた強い選手しかいなかったので自分たちがしっかり向かっていくという気持ちを忘れずに試合ができたと思います。
――東京体育館が満席になりましたがいかがでしたか。
宮:最近の試合は無観客で選手からしたら寂しいのですが今大会は有観客ということでチームメイトやいろいろな方が自分たちに声援を送ってくださってとても力になりました。
――全日本の反省点やこれから行っていきたいことを教えてください。
宮:今回の準々決勝を通して相手が強くなるにつれてラリーのときにお互いの距離・立ち位置が後ろすぎたなと感じていてどちらかが前に入ってプレーしないとラリーが強いダブルスには少しきついという気持ちが正直あったのでサーブレシーブももちろんですが、ラリーのときのお互いの距離を気にしながら試合していきたいと思います。
山:準々決勝でやはり相手の方が1本多く返してくるという印象を受けました。自分たちの展開になっていてもそこから挽回して盛り返してくる展開が結構多かったので、台との距離がもう少し近かったら良かったと思いました。
――来年度もこの2人でダブルスを組みますか。
宮:リーグ戦全てかどうかは分かりませんが今回の結果を受けて来年度の推薦とスーパーシードをもらえるので、まだ未定ですが、2人で組むことがあれば来年度は今回以上の結果を出したいと思っています。
――ありがとうございました。
[七海千紗]
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