(203)箱根駅伝事後インタビュー⑭/園原健弘総合監督

2023.01.07

 〝返り咲け明治〟。復活を誓うスローガンを胸に挑んだ箱根路。10区間中2区間で区間賞を獲得するなど紫紺の戦士たちが躍動するも、結果は総合12位。3度目の正直とはならなかった。今回はレース後の選手たちの声をお届けする。

 

園原健弘総合監督のインタビューです。

 

――今大会を振り返っていかがですか。

 「今年度の結果はしっかり受け止めるべき結果だなと思っています。昨年度は想定外でしたが、今年度は正直実力不足でした。選手たちは力を出してくれました。ただスタッフ側のマネジメントに見直す部分があると思うので、そこを改革しないと次につながらないと思います」

 

――実力不足だったという言葉もありましたが、今大会でうまくいかなかった部分は現時点でどのように感じていますか。

 「区間配置に関して、われわれが力を発揮してくれるだろうという想定の区間で、大きく失敗した区間がいくつかあったので、そこが課題だと思います。ただ、箱根駅伝の戦い方は山本佑樹駅伝監督もよく考えていました。例年までは力以上のものを求めて勝負にいってしまう部分がありましたが、今年度はそんなに攻めにいかないできちんと守りながら地に足をつけて結果を出そうとする配置だったと思います。ただそれでも結果を出せなかったのは本当に力がなかった証拠だと思います」

 

――1区で富田峻平選手(営4=八千代松陰)が区間賞を獲得し、ここ数年苦しんでいたスタートの部分を改善できたと思います。

 「そこは想定通りです。1区のメンバーを見ても彼は非常に力がありました。取るべくして取り切ったというのは彼の力が相当ある証拠だと思います」

 

――森下翔太選手(政経1=世羅)や杉彩文海選手(文3=鳥栖工)の活躍など来年度以降への収穫も見られました。

 「森下は事前にこれくらいの力があるだろうなと想定していたので、期待通りの結果をきちんと出してくれて、彼は本当に力を持っているんだなと思いました。将来日本のエースになる走りをしてくれたと思うので、やはり大事に育てていかなければならないと確信しました。杉に関しては好調がずっと続いていたので、佑樹駅伝監督も7区で使うと早くから明言していました。その期待通りに結果を出してくれたことは本当に彼の努力のたまものです。天才型ではないようなところがあるだけに努力で結果を残している典型的な例で本当に誇らしい選手です」

 

――小澤大輝主将(政経4=韮山)をはじめ、今年度チームを引っ張ってきた4年生の取り組みはいかがでしたか。

 「その部分で私は反省点があります。もっと彼らに伸び伸びやってもらえるような環境をつくってあげられたらと思いました。もちろん厳しくしなければならないところは厳しくしなきゃいけないのですが、その厳しさがどこかわれわれがつくり出したから厳しくしなくちゃいけないというマネジメントにさせてしまってたのではないかなと反省があります。やはり4年生になるとみんなすごく頑張ってくれます。社会に出る前段階としてはすごくいい仕事をしてくれているし、いい経験をしているのですが、競技という側面ではやはり相当いろいろなものを背負って取り組まないといけない状況になってしまっています。そういった負担をもう少し減らした上で競技に取り組ませてあげるようなマネジメントができなかったことを非常に反省しています」

 

――いろいろなものを背負い込んでしまうという部分があるのでしょうか。

 「やはりどうしてもOBの皆さんが応援してくれる気持ちが強いだけに、その反面うまくいかない時は批判となって返ってきます。私も目にしますし、選手も目にすると思います。そのようなことを跳ね返す強さもあるのですが、受け止めて期待に応えたいという意識が強いです。そういうところを特に4年生は背負って、チーム全体をまとめてチームとして上がっていかないといけないというところがあるので、個人のこと以外にもチームのことを考えてくれている側面はことあるごとに見えるし、感じます」

 

――4年生はこれから社会に出ていくと思います。明大競走部での経験を生かしてどのような社会人になってほしいですか。

 「箱根駅伝というのは特別な大会で、光り輝かされ過ぎるステージです。自分の実力だけではない部分から光輝かせてくれている部分があるので、その自分で輝いていないところもあるんだというところをしっかり認識して受け止めて出ていってほしいと思います。かなり社会に近い荒波にもまれて出ていくので、自信を持って社会人になってほしいです。ただ人生のゴールは箱根駅伝で優勝するだけではないです。これからの人生は長いので、この箱根駅伝に向けて取り組んだ4年間を自信にして糧として悔しさや誇りを胸に次の人生を頑張ってほしいなと思います。学業という本業がありながらそれ以外のことに時間や労力、お金を割いてやってくれていることに敬意を表します。自信を持って社会に出ていってほしいです」

 

――第100回大会に向けて予選会からのスタートとなります。来年度に向けての意気込みを教えてください。

 「箱根の舞台に立つというのは当たり前のことです。だから予選会は必ず突破し、必ず来年度も箱根の舞台に立ち、来年度こそシード権を獲得してもっと上の目標に進める足掛かりにしたいと思います」

 

――最後にファンの方々にメッセージをお願いします。

 「何度も何度も応援して同じ失敗を繰り返すのかという思いで見られる方も多いと思います。われわれは何度も何度も失敗しても立ち上がって前を向き、どんな批判にさらされても必ず立ち上がります。申し訳ない気持ちもありますけれども、辛抱強く応援していただけたら幸いです。多くのご声援本当にありがとうございました」

 

――ありがとうございました。

 

[大橋直輝]