
(197)箱根駅伝事後インタビュー⑧/加藤大誠
〝返り咲け明治〟。復活を誓うスローガンを胸に挑んだ箱根路。10区間中2区間で区間賞を獲得するなど紫紺の戦士たちが躍動するも、結果は総合12位。3度目の正直とはならなかった。今回はレース後の選手たちの声をお届けする。
8区を走った加藤大誠(営4=鹿児島実)のインタビューです。(この取材は1月5日に電話で行われたものです)
8区 加藤大誠 区間順位8位 1時間05分06秒
――レースについて振り返っていただけますか。
「杉(彩文海・文3=鳥栖工)が区間賞のいい流れを持ってきた中で、僕が区間8位程度の走りしかできなかったことにすごく悔しい気持ちもあります。またチームとしてもシード権を取ることができなかったということで、もう少しやれることがいろいろあったのではないかなというふうにも考えました。レースは悔しい結果ではありましたが、やはり箱根駅伝(以下、箱根)の応援が解禁されたことによって、本当にたくさんの人に応援していただいて、そういった意味ではすごくうれしいものもありました」
――8区の出走が決まったのはいつ頃でしょうか。
「12月28日くらいです」
――遊行寺の前辺りで沿道に向かって手を挙げていましたが、お知り合いがいたのですか。
「ちょうどあそこに両親と妹がいました」
――それは事前に聞いていたのですか。
「遊行寺辺りのきついところにいると聞いていました。長年聞き慣れた声が真横で聞こえたので、それは上りで動きを変えるためのスイッチにはなりました」
――やはり親の応援はすぐに分かりましたか。
「分かります。自分の体の動きと対話しながら冷静にやっていたので、応援の声や佑樹さん(山本駅伝監督)の声もしっかり聞こえました。前との差を聞いたり、僕の名前を呼んでくれたり、明治と呼んでくれたときは、たまに手を挙げたりもしました。そういった応援の中で走れたので、本当に楽しいというかうれしいという感じでした」
――山本駅伝監督から掛けられた言葉の中で、印象に残っている言葉はありますか。
「最後1キロのところで言われた言葉で『実業団でやるならここで上げろ』や『最後残り4年生3人で決めるぞ』といったことを言われました。上りで足を使っていたのですが、そこから最後は全てを使い尽くすつもりで、全力でできることをやりました」
――ご自身の力を出し切ることはできましたか。
「2分55~57秒くらいのリズムにはめた状態で行ければなお良かったのですが、今回は3分のリズムにはまってしまった中で、後半はなるべくタイムを落とさないようにしました。今まではミスをしたらそのまま崩れていくことが多かったので、最低限ではあるのですがきちんとまとめて走り、最後のスパートで出し切ることができたところは良かったのかなと思います。まだまだ成長しなければいけないのですが、課題に対しては一つ何かつかんだ部分がありました」
――チームの中で唯一4年連続箱根出走となりました。箱根はどんな舞台でしたか。
「箱根は本当に小中高、長距離をやっている人だったら憧れる舞台にはなるとは思うのですが、本当にその通りでした。走った後でも『楽しかったな』と思いますし、何万人という人数の前で走ることもないですし、1月2日と3日にテレビを10時間使う大会もないと思います。その中で夢を目標に変えて、箱根を4年間走ることができたのは本当にうれしかったです」
――明大に入って良かったですか。
「トータル的には良かったと思えます。苦しい時期の方が多かったのですが、その中でいろいろと対策を練ったり話をしたりして、心身ともに成長することができました。また暖かくずっと成長を見守ってくれるファンの方々や、指導していただく監督やコーチ陣など、本当にいろいろな方々に支えられながらこうやって暖かい中で陸上、駅伝ができたことは本当に良かったと思います。学校の中でも応援してくれる人や先生たちもすごく多くて、大学4年間でいろいろな人に協力していただきました。本当に人のありがたみを感じましたし、個として成長できたのではないかと思います。〝個を強くする大学〟その名の通り個が少しずつ強くなってきたのかな、成長できたのかなと思っています」
――今後は実業団で陸上を続けられると思います。目標はありますか。
「実業団ではマラソンで世界に行くことが目標です。今では夢に近いようなことですが、箱根を4回走れたということもありますから、レースをこなしていくうちに目標を手繰り寄せて、夢を現実にしてどんどんかなえていきたいなと思います。具体的な目標としては世界六大マラソンのうち三つは入賞したいなと、世界で戦える選手になりたいと思っています。旭化成なので、明治の先輩方や鹿児島実業の先輩、憧れの人である相澤(晃)さんなど、本当にいろいろな人の中で揉まれて強くなれる場だと思うので、今から行くのが楽しみです」
――後輩に向けてエールをお願いします。
「僕らの代で全てのシード権を逃し、大きな荷物を背負わせてしまう結果にはなったのですが、後輩たちは強くなってきています。100回大会でシード権、全日本大学駅伝でもシード権を取って、出雲駅伝で輝いている姿を見たいです。これからは寮が変わり、生活リズムなどいろいろなことが変化していくと思うのですが、その中で自分を大切にしながらこつこつと地道に努力を重ねていって、大きく花を咲かせてほしいなと思います」
――ありがとうございました。
[萩原彩水]
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