(184)箱根駅伝事前インタビュー⑭/下條乃將

2022.12.29

 2年連続で箱根駅伝(以下、箱根)のシード権を逃している明大。それ故、古豪と評されることの多いチームだがその実力は申し分ない。箱根駅伝予選会では安定した走りで2位通過、全日本大学駅伝(以下、全日本)では新戦力が好走を見せるなど着実に手応えをつかんだ。今大会こそ伝統ある紫紺の襷をシード権と共にゴールへ届ける。揺るぎない決意を胸に、チーム一丸となって箱根を戦う覚悟は十分だ。

 

  第14回は下條乃將(情コミ4=東京実)のインタビューです。(この取材は12月10日に電話で行われたものです)

 

――今年度はどんな1年でしたか。

 「個人的には今までにない1年だったと思います。僕はどちらかと言えばレースにたくさん出て調子を上げるタイプですが、今年度は本当にレースを絞って練習する流れでした。僕個人としてはレースにたくさん出て、いろいろな経験を積みたかったのですが、それ以上に箱根でシードを取ることが一番大事です。逆に言えば一本一本狙ったレースをしっかり走る経験は今までになかったので、練習をじっくりできたのは良い経験にはなりました」

 

――箱根で走りたい区間はありますか。

 「個人的には9、10区のどちらかです。本当に一番走りたいのは9区ですが、可能性としては8区も含めて8、9、10区をイメージしています」

 

――今年度の取材では復路に合わせているという話が多かった印象です。

 「(明大が)ここ2年間シードを落としてきた中で、往路は絶対に外せないというのは間違いなくあります。その中で僕が往路を走れるほどの力があるかと言われたらそこまでの力はないですし、往路でばんばんスピードを出していくタイプでもないです。復路でじっくりと走る、昨年度の橋本さん(大輝・令4営卒・現SGホールディングス)をイメージした方が自分の力にも能力にも合っていると思い、復路に向けて走ってきました」

 

――復路を狙おうと決めたのは具体的にいつ頃ですか。

 「最初に思ったのは昨年度の箱根が終わってすぐです。5区を走ってみた感じや他の5区を走った選手のセンスを見て、5区で来年度も活躍するには何か違う能力が必要だなと思いました。この1年でそれを付けるのは違うし、他に上りたい選手がいる中、僕が昨年度の悪い結果を引きずってもう一回行くより、自分に合った区間があるのかなと思いました。故障していた今年の1月、2月に次の箱根は復路を狙おうと考え始めました」

 

――2年次の取材で陸上を続けてきたモチベーションを「山の神になりたいという気持ちで続けられた」と話していました。実際に5区を走りその気持ちに区切りがついた中、今年度は何をモチベーションに続けていましたか。

 「今年の夏前くらいまでは、実業団に行きたかったので、まずは実業団で走るためにしっかり走らないといけないというのをモチベーションに練習をやっていました。今は、僕が社会人になった時に行くチームは、今年度ニューイヤー(全日本実業団駅伝)に出場することはできなかったので、チームをニューイヤーに導ける選手になりたいという目標があります。あとは今年度の箱根で後輩にシード権を残し、(来年度は)後輩たちがやりたいレースをできるようにしたいです。そういうのをモチベーションというか使命感にやっています」

 

――4年間で成長したと思うことはありますか。

 「総合的に見て普段のジョグや補強を自分でしっかり考えられるようになったことだと思います。やはり1年目は他の人と比べたらまだ全然考えられていませんでした。何が良いのか悪いのかあまりよく分からず、1年目が終わってしまいました。2年目は、児玉(真輝・文3=鎌倉学園)と1年間を通して部屋が一緒で、児玉や長倉奨美先輩(令3情コミ卒・現黒崎播磨)に普段の生活をいろいろ教えてもらったり自分で見たりしました。こうやってやるべきなのかと、自分で分かってきてからは、少しずつ結果が出るようになってきました。昔より考え方ややり方が変わって自分に合った方法で、できていることが4年間を通して変わった部分だと思います」

 

――児玉選手から受ける影響は大きいですか。

 「そうですね、やはり彼自身がとても士気が高く、考えて競技をやっているんだろうなとよく感じます。いろいろな工夫をして努力してやっているのを見ると、見習わないといけないなと思います。見習った結果、伸びてきたので、やはり2年生の時に児玉と部屋が一緒でなかったらたぶん箱根走ってなかっただろし、今年度もメンバーにしっかり入って、実業団でやることもなかったんだろうなとすごく感じる部分があります。すごく影響を受けました。感謝してもし切れないですね」

 

――最後の箱根への思いをお願いします。

 「最後の箱根ですし、シードをしっかり取って、チームに貢献することを目標にやっていきたいなと思います。シードを最後に取った時の箱根に絡んでいたのは僕たちの代しかいないので、その時のうれしさをちゃんと後輩たちに伝えていかないといけないなと思っています。せっかくなので、最後にちゃんとシードを取って明治の先輩が『ブラボー』と叫んでいたように僕たちもブラボーと叫んで終われるような終わり方をしたいと僕自身も思っているので、頑張ってシードを取ります」

 

――ありがとうございました。

 

[出口千乃]

 

第99回箱根駅伝まであと4日。