
(168)箱根駅伝事前インタビュー②/山本佑樹駅伝監督
2年連続で箱根駅伝(以下、箱根)のシード権を逃している明大。それ故、古豪と評されることの多いチームだがその実力は申し分ない。箱根駅伝予選会(以下、予選会)では安定した走りで2位通過、全日本大学駅伝(以下、全日本)では新戦力が好走を見せるなど着実に手応えをつかんだ。今大会こそ伝統ある紫紺の襷をシード権と共にゴールへ届ける。揺るぎない決意を胸に、チーム一丸となって箱根を戦う覚悟は十分だ。
第2回は山本佑樹駅伝監督のインタビューです。(この取材は12月13日に電話で行われたものです)
――現在の心境はいかがですか。
「夏からやれることはやってきました。選手も私自身も緊張感を持ってできて、集中してやれています。いよいよだなって感じです」
――16人のエントリーが発表されましたが、その選考基準はどこに重きを置きましたか。
「一番優先順位が高いところだと、年間を通してAチームでやれたということがベースにあります。そこから秋以降しっかりと結果を出した選手に上尾シティハーフマラソンと世田谷246ハーフマラソンで結果を出した選手というところで決めました。あとはやはりケガがなくて、本番まで順調にいけるだろうという選手を16人選びました」
――今年度はあえて全日本大学駅伝(以下、全日本)が終わってから主力は競技会に出ませんでしたが、その効果は感じていますか。
「今までは全日本が終わってから、トラックを一本やって合宿でもう一回下地を作って、みたいな感じで箱根予選会が終わってから慌ただしく過ぎていました。今年度は、そこで落ち着いてやれたというのが大きいと思います。特に、小澤(大輝・政経4=韮山)や櫛田(佳希・政経4=学校法人石川)など予選会で少し調子を落とした選手がじっくり上げることができました。やはりレースを抜いて落ち着いてやったのは良かったと感じています。ただやはりもう1ランク上に行くとなると、トラックレースを挟んでもそういったものが落ち着いてやれるようにならなければいけなというのもあるので、今回の経験をまた来年度以降に生かしたいと思います」
――小澤主将がチームをまとめてきましたが、そのキャプテンシーはどう映りますか。
「キャプテンのやり方は選手それぞれあるのですが、彼の場合は細かい当たり前のことをきちんとやっていこうと声かけをして、そのために目標シートを作ったり、色々巻き込む手段を考えながらやってきた感じです。細かいところを厳しくやると窮屈になってしまいますが、それを窮屈に感じさせないようにうまくやっているという感じでした。彼の人を巻き込む力は非常に長けていると感じました」
――今年度を振り返ってどのような1年でしたか。
「春先のトラックでもう少し記録が出てもいいかなというのはありましたが、しっかり力を発揮できる選手が多くなってきましたし、故障者が少なく、夏合宿も多くの選手がしっかりこなせました。少しずつですが年々チームとして成長していると感じるので、ここでシードをとって成長を加速させたいと思っています。うちはチーム全体の仲が良く、一枚岩で頑張っているチームです。この良さを箱根でしっかり出して、来年以降も同じようなチームカラーを出していきたいです」
――今年度で印象深かった出来事はありますか。
「最初新チームになって小澤がミーティングをする時に、多くの選手が意見を言っていたことです。キャプテンが言うことをただ聞いているだけではなく、児玉(真輝・文3=鎌倉学園)や下級生が意見を言っていました。今までは僕がそう仕向けてやらなければいけないような要素があったのですが、その必要無くなりました。また、予選会で2番だった時に選手が喜んでいなかったことは非常に頭に残っています。通過したことにとりあえずは喜んでいいと思うのですが、僕自身もなんとなくもやもやした感じはありました。選手が一番それを感じていると思いました。俺らはこんなものではないという意識の表れを見た時に、成長してきているな、上を見ているなと感じました」
――箱根は昨年度、一昨年度と悔しい思いをしたと思います。改めて振り返っていかがですか。
「選手の力を僕がしっかり発揮させることができなかったことが一番大きいです。(今年度は)選手の力を信じて選手の力をちゃんと出させることに僕は集中しようと思っています。そして、選手一人一人も自分の走りや自分の感覚みたいなものを研ぎ澄ましてやっているので、うまくそこを融合させたいと思います。とにかくシードを取りたいというのが大きいです。シードを取るということは来年の出雲にもつながりますし、100回大会に出るということにもなります。4年生も置き土産として気持ちよく卒業できるので、みんながハッピーな感じになると思います。とにかくシードを取るということに集中してやっていきたいと思います」
――箱根を目前に控えて、チームにどのようなことを伝えていますか。
「今は体調管理や故障しないようなケア、朝練習の時も真っ暗な時間帯になるので不注意な怪我をしないなど、当たり前のことを言うような感じです。ただ、少しずつ選手の中でも気持ちを高めるようなことを言い合ったりしてきています。だんだん(箱根が)近づいてくると気持ちをぐっと上げていくような作業になると思います」
――ここから箱根当日に向けてどのようにチームを率いていきたいですか。
「まずは僕自身が焦ってしまうと選手にもそういった感情は移ってしまうので、僕が落ち着いて選手の調子を見極めるというのが僕自身の役割だと思います。あとは選手に『シード権を取ることに対して自分一人一人の役割が何なのか』ということをはっきりさせるころだと思うので、走る選手には何区でどういうタイムでどういう走りをするかという話もしていきたいと思います。また、メンバーに入っていない選手も役割をしっかり話して与えて、チーム全体でも頑張れるような雰囲気づくりをしたいと思います」
――山本駅伝監督ご自身として箱根はどのような大会にしたいですか。
「シードをとってみんなで良かったねというふうに終われるようにしたいです。また、往路できちんと成果を出して、来年以降につながるような流れにしたいです。目標達成のためにしっかり頑張りたいなと思います」
――最後に意気込みをお願いします。
「目標はシード権獲得。そしてチームとしてテレビを見ている人や沿道に来てくれる明治の関係者から『頑張ったね』と言ってもらえるような走りをしたいと思うので、たくさんの応援をもらうと同時に、そういった走りをしたいなと思います」
――ありがとうございました。
[飯塚今日平]
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