
(23)全日本選手権直前インタビュー 江川マリア
いよいよ冬の大一番、全日本選手権(以下、全日本)が開幕する。最高の演技を目指し日々練習を重ねる選手たちに懸ける思いを伺った。大舞台でそれぞれの熱い思いを表現し、今年度一番の感動を届ける。
(このインタビューは12月8日に行われたものです)
第1回は江川マリア(政経1=香椎)のインタビューです。
――上京してここまで過ごしてみていかがですか。
「もう上京して結構経ったのですが、あっという間だなという感じですね」
――学校とスケートの両立はできていますか。
「前期の時は慣れなくて大変だったのですが、後期は学校に行くのも慣れてきました。今はあまりきついなと思うこともなくなったので、両立できているかなと思います」
――目標にしていた全日本ですが、出場が決まった時の気持ちを教えてください。
「ほっとしたという感じでしたね、本当に」
――東日本選手権(以下、東日本)では優勝したものの悔しいとおっしゃっていました。改めて振り返っていかがですか。
「もちろん一つの予選通過といいますか、全日本にいくというのが一つの目標としてあったので、それが達成できたのは良かったです。東日本で優勝したというのはうれしい部分もあったのですが、演技の内容がSP(ショートプログラム)もFS(フリースケーティング)もいい演技ではなかったので、やはり直後は特に悔しいという気持ちの方が大きかったですね」
――現在のコンディションはいかがですか。
「東日本よりも少し前の東日本学生選手権のあたりで靴を変えました。そこからあまり調子が戻ってきていない部分もあったのですが、東日本が終わってからこれまでの練習の間で、完全ではないですがだいぶ調子も上がってきたので、あと2週間追い込みたいと思います」
――全日本に向けて課題はありますか。
「やはり全日本となるともちろんレベルが高い大会で、みんな質のいい演技をしてくると思います。その中で滑るとなるとやはり丁寧に一つ一つエレメンツをこなせるようにと練習してきました。ですが、まだまだステップなどであらが目立つ部分もあって、この短い期間でもそのような部分は練習すればするだけ伸ばせると思うので、それを課題にやっています」
――全日本でのプログラムの変更はありますか。
「まだ分からないのですが、東日本は少しだけ構成を落とした演技だったので、全日本ではトーループとトーループのコンビネーションではなく、ルッツとトーループのコンビネーションのジャンプで今のところ演技しようと思っています」
――本番が近づいてきましたが、どのような気持ちですか。
「今までは全日本という試合がなかったので、クリスマスが近づくとわくわくしていました。でも今年から全日本に出るということで、クリスマスが近くなったということは全日本が近くなっているので、少し自分の中で違う気持ちでクリスマスに向かっている感じはします。どきどきしているというのはあるのですが、あまり全日本だからと意識し過ぎると緊張してしまうと思うので、今回は特に楽しんでやれたらいいなと思います」
――有観客で行われる全日本ですが、いかがですか。
「おそらく私は去年の全日本ジュニア選手権ぶりの有観客だと思います。お客さんがいると雰囲気も随分違ってきますよね。お客さんがいるのはとてもうれしいですし滑っていても楽しいのですが、その分緊張してしまうということがよくあるので、本番にお客さんがいるイメージをしながら練習できたらいいかなと思っています」
――無観客の試合と有観客の試合では、緊張の仕方は違いますか。
「違いますね。いい意味でも悪い意味でも気持ちが高まるというか。高まり過ぎるとそれが空振ってしまったりするので、それは自分でコントロールしなければいけないなと思っています」
――テレビでも放映され多くの人に見てもらえる大会ですが、見てもらいたいところはありますか。
「テレビに映るということで、友達にそれを言ったら『絶対見る!』とみんな言ってくれているので、期待に応えるというのはなんだかまだ早い気もするのですが、たくさんの人に自分を知ってもらえるいい機会になると思うので、その機会を無駄にせず生かせるような演技ができたらいいなと思います」
――全日本での目標を教えてください。
「順位としては、12位以内に入って強化選手入りするというのがはっきりとした目標なのですが、もちろん完璧な演技をしなければ届かない目標だとは思うので、まずは自分のベストな演技を、SPもFSもどちらも合わせてできるように頑張りたいなと思います」
――全日本の出場選手で会うのが楽しみな選手はいますか。
「シニアでトップ選手の坂本花織選手(神戸学大)はずっとシニアで戦っていて同じ大会に出たことがないので、そのような選手と一緒の舞台で戦えることはとてもうれしいです」
――大会で全国を回っていらっしゃいますが、遠征の楽しみはありますか。
「基本自分は食べることが大好きなので、楽しみといえば大会終わりにおいしいものを食べることですね。全日本は大阪ですが、大阪は定番がたくさんありますよね。でもまだ『これ食べよう!』とは決め切れていないです」
――大会がたくさんありますが、年末年始の過ごし方は今までと違いますか。
「年明けすぐに全日本学生選手権があると思うので、もし自分が出ることができるとしたら本当にお正月はほぼないかもしれないですね。今までお正月は3日ぐらいしっかり休んでいたのですが、今回は実家にも帰らないので、いつも通り練習して『あ、世間はお正月なんだな』という感じになると思います」
――世界を舞台に戦う同期からは刺激を受けましたか。
「そうですね。今はまだ、ただただすごいなとしか思えません。佐藤駿くん(政経1=埼玉栄)はグランプリファイナルまで行きましたし、りをんちゃん(住吉りをん・商1=駒場学園)もファイナルまであと一歩というすごい成績を残しているので、その舞台に立つだけでなく、同期はもう世界でトップを狙おうとしています。自分もその目標が立てられるぐらいの実力を付けたいと日々思います」
――2022年を振り返ってみて、どんな1年でしたか。
「もう振り返る時期ですよね(笑)まだ全日本が終わっていないのでまだ振り返るには早いなという感じもするのですが、いつも以上にたくさんの試合に出たり、初めて出た試合も多く、今年は日々忙しくてあっという間に過ぎたというのが率直な感想です。大きく成長できた部分はどこかと言われたら、例えばトリプルアクセルを習得できたなどそういうのはないのですが、いろいろな部分が少しずつ成長してきて最近の成績につながっていると思うので、結果的にかなり成長できた1年だったと思っています」
――2023 年に向けての目標や挑戦したいことなどはありますか。
「2023年こそはもっと4回転を練習して、プログラムに入れたいなと思っています。同期もずっと4回転を試合で入れていて、それが自分の中でもすごく刺激になっています」
――ファンの皆さんへのメッセージをお願いします。
「いつも応援本当にありがとうございます。今シーズンはまだ終わっていないのでなんとも言えないのですが、東京ブロックに来てからとてもいい練習を積めていて、いい演技をお見せすることができているかなと思っています。ですが、もっともっと成長できる部分はあるので、試合ごとに成長した演技をお見せできたらいいなと思います。応援よろしくお願いします」
――ありがとうございました。
[増田杏]
(写真は本人提供)
関連記事
RELATED ENTRIES