(71)いざ元日国立での決戦へ 負けられない最後の戦い/全日本大学選手権展望

2022.12.10

 林組の集大成だ。12月8日より全日本大学選手権大会(以下、インカレ)が開幕する。創部101年目を迎えた今季は、2年ぶりに関東大学1部リーグ戦(以下、リーグ戦)で優勝。勢いそのままにインカレ制覇を目指す。関東王者として挑む明大の戦いは11日、仙台大との2回戦から幕を開ける。元日に国立競技場で行われる決勝の舞台へ。日本一を懸けた戦いが始まる。

 

 今季を締めくくる大会であるインカレ。思い返せば、ここまでは厳しい道のりであった。リーグ戦では今季から1部リーグに昇格してきた東国大を相手に、0―4の大敗で幕を開けた。夏の「アミノバイタル®」カップでは決勝でPK戦の末に国士大に敗北。総理大臣杯全国大学トーナメントでは関西地区第2代表の大院大にまさかの敗戦を喫し、トーナメント3回戦で敗退となるなど、悔しい思いをすることが多かった。そんな中でさまざまな苦悩を乗り越え、つかみ取ったリーグ戦優勝。昨年度、あと一歩のところで優勝を取りこぼした悔しさを糧に、見事王座奪還を果たしてみせた。

 

 「自分たちの代には高校時代にとても注目されたというような選手がいない」(高橋祥太郎・営4=中京大中京)という4年生。それでも、下級生のめざましい活躍の裏で実直かつ貪欲に努力を続けてきた。公式戦を重ねていくにつれ頭角を現し始めたFW正田徳大(政経4=柏レイソルU―18)や、来季からのプロ加入が内定しているDF櫻井風我(情コミ4=日大藤沢)もそういった選手たちだ。リーグ戦全22試合のうち18試合出場の経験値を誇る、MF松原亘紀(文4=大津)にも期待が懸かる。勝利のカギは、やはりシーズンを通して徹底的に追求してきた無失点だ。〝守備の明治〟の要となるDF陣には、チームをけん引してきた主将の林幸多郎(法4=サガン鳥栖U―18)、伝統ある明治の2番を背負い、リーグ戦のMVPに選ばれた福田心之助(文4=北海道コンサドーレ札幌U―18)の存在がある。1年次に史上初の5冠を経験した彼らは、最強の明大を肌で感じたからこそ「後輩たちにいい景色を見せてあげたい」(白圡大貴・商4=浦和レッドダイヤモンズユース)と4年生としての責任を背負う。

 

 インカレはリーグ戦とは打って変わって負けたら終わりのトーナメント戦。全国各地の精鋭たちが大学サッカーの頂点を目指して挑んでくるだけに、厳しい戦いが予想される。大学サッカーの価値を高めるためにも「優勝しかない」(遠藤雅己・法4=桐蔭学園)と強く意気込む。彼らが見据える先にあるのは元日に行われる国立競技場での決勝。「最後には4年生全員が笑っているように」(福田)。『挑越』、『繋翔』、『邁進』、『志創』を経て大きく飛躍した4年生たちの集大成にふさわしい舞台へ。頂を目指す今季最後の挑戦が幕を開ける。

 

[尾﨑陽菜]