
(63)インカレ事前インタビュー⑧/遠藤雅己
林組の集大成だ。12月8日より全日本大学選手権大会(以下、インカレ)が開幕する。101年目を迎えた今季は2年ぶりに関東大学リーグ戦1部で優勝。勢いそのままにインカレ制覇を目指す。関東王者として挑む明大の初戦は11日、九産大と仙台大の勝者との2回戦から幕を開ける。元日に国立競技場で行われる決勝の舞台へ。日本一を懸けた戦いが始まる。
今回は遠藤雅己(法4=桐蔭学園)のインタビューをお届けします。
――4年間で一番印象に残っている思い出は何ですか。
「3年次のリーグ戦第3節、筑波大との試合です。自分のリーグデビュー戦ですね。試合自体は2―1で勝ち、白星でデビュー戦を飾れたので表面的にはいい思い出なのですが、中身を見てみるとその1失点が自分のミスからの失点でした。自分の力のなさを痛感したし、自分の甘さが出たデビュー戦だったと思います。1年次にリーグ戦初登録されて、サブGKにもなったことがあった中で、2年次はリーグ戦の登録なし。3年次でやっと追加登録され、訪れたチャンスだったので、つかまないともう二度とチャンスは回ってこないだろうと思って挑んだ中で、その甘さが出た試合でした。今の成長した自分になるきっかけとなった試合だと思います」
――4年間で最も成長したのはどのような部分ですか。
「これだけは成長したと断言できるのは考え方です。高校生の頃は正直サッカーだけやっていればいいと思っていました。しかし、入部前に栗田大輔監督に『サッカーだけやっているやつは大成しない』と言われて、学業に追われ、寮の雑用などを行う日々が始まりました。『サッカーをしに来たのになんでこんなことをしないといけないのだろう』と正直最初は思っていました。しかし、学年が上がるにつれ、サッカーだけを追求するのはサッカー選手のあるべき姿ではないということに気付けたのはプレーも含め、さまざまな面での成長につながったと思います」
――栗田監督への思いは何かありますか。
「栗田監督の影響はかなり大きいです。毎週行われるミーティングで社会のことを教えていただいたり、リーグ戦の振り返りをしたりするのですが、本当に言葉の一つ一つが何かの気付きのきっかけになることが多いです。練習中に言われたことが自分では気付くことができていなかったことだったり、アドバイスで自分のプレーできる可能性の幅が広がったりと成長させられる言葉をかけてくださいます」
――コーチへの思いは何かありますか。
「一番お世話になっているのはGKコーチの榎本達也さんです。今までプロで活躍されてきた方なので、プレーのことや、発言、立ち振る舞い、プライベートや食生活のアドバイスをいただいたことがあります。恩師という言い方があっているのか分からないですが、自分のGKとしてのあり方を教えてくれた、サッカー選手としての大先輩、偉大な先輩です。だから榎本さんは自分が恩返ししなければいけないなと思う人の一人です。また、元コーチの小野さんは自分が本当に苦しい時に支えてくださった方で、指導者というよりお父さんみたいな感じの距離感で、厳しいことを言われる時もありますが、常に選手のことを考えてくれていました。小野さんのおかげで、明治の部員として頑張ることができたなと思います」
――同期に対する思いをお聞かせください。
「寮生活でずっと一緒にいるので、みんな本音でぶつかり合うのですが、本音で言い合えることがどれだけ大事かも学びましたし、本音で言い合っているからお互いのことが理解できたと思います。自分のために言ってくれているのだということが分かるようになってから、同期は良いなと思えるようになりました。特に今年度は同期に助けられてばかりでした。自分が試合に出られない時も、福田心之助(文4=コンサドーレ札幌U-18)や白圡大貴(商4=浦和レッズユース)など、ずっと仲良くしてきたメンバーが『お前にはいい所があるよ』と言ってくれて、きつい時にいつも励ましてくれました。特に白圡はずっとケガをしていて自分の方が苦しいはずなのに、周りのために声を掛け周りのために動いてくれています。同期のために何かをするということを自分たちの代はみんな惜しまないです。居心地が良く、このメンバーでないとだめなんだと思う理由はそこにあります」
――林幸多郎主将(法4=サガン鳥栖U-18)に対する印象はいかがですか。
「林の存在は大きかったです。(今年度は)練習試合で失敗した、映像を見る、じゃあこうしよう、練習する、試合するという流れがずっとループしていました。それをつくり出していたのが林で、林がいたから連敗はなかったと思います。林は一時期リハビリでチームを離れていましたが、自分のリハビリより練習を見ていました。チームのことをずっと考えて動いています。林がいなかったらリーグ戦で優勝していないです」
――インカレに対する意気込みをお聞かせください。
「優勝しかないと思います。自分としては明治のためは一番に思いつつ、ケガで出場できない選手や、ここまで一緒にやってきたけどギリギリでメンバーに入れなかった同期のために優勝したいと思っています。それが個人としてのインカレへの思い入れです。意気込みは、無失点優勝。やはりGKなので守り切りたいです」
――ありがとうございました。
[正野真由夏]
◆遠藤 雅己(えんどう・まさき)法4、桐蔭学園、188センチ・84キロ
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