(37)前回王者・明大がまさかの予選リーグ敗退/ボッチャ東京カップ2023予選会

 11月19日、武蔵野総合体育館にてボッチャ東京カップ2023予選会が開催。今年も明大を代表して明スポの新人記者3人が東日本大学選手権に出場した。前回大会王者として連覇が懸かる試合だったが、結果は無念の予選リーグ敗退。〝常勝明治〟を体現することはできず、悔いの残る大会となった。

 

◆11・19 ボッチャ東京カップ2023予選会 東日本大学選手権(武蔵野総合体育館)

予選Bブロック 

明大――2位

  

[出場選手]

上瀬、久保田、長﨑

 

 「緊張しながらもそれを力に変え、いい空気感で臨むことができた」(久保田諒主将・政経1=明大中野)と振り返る第1試合の相手は順大。第1エンドから明スポが圧倒的な強さを見せた。2番目の長﨑昇太(商1=日大二)の投球がジャックボールに接着すると、相手の残り5球を連続で投げさせる。明スポは残りの投球を全てジャックボール付近に寄せ、いきなり6点もの大量得点を獲得した。第2エンドは明スポの投球がまとまらず、3球を残した時点でジャックボール付近に壁を作り相手のコースを封じた。この戦略が功を奏し、その後は1失点に抑え、合計スコア6-1の大勝。連覇に向けて幸先の良いスタートを切った。

 

 続く第2試合は専大と対戦。勢いに乗りたい明スポだったが、第1エンドはジャックボールに投球をまとめることができず、得点を許す苦しい展開に。第2エンドも序盤はうまくボールを寄せられない。しかし「戦術面も精神面も整えて修正していくことができた」という久保田の2投目が試合を動かした。ジャックボールに接着した相手のボールを押し出し、同点のチャンスを作り出す。さらに上瀬拓海(営1=広島城北)の放ったコントロールショットが決まり、2点を獲得。合計スコア2-1と逆転に成功し、決勝ブロック進出が確実なものとなった。

 

 予選リーグ最終戦は埼玉県大との一戦。2連勝で乗りに乗った明スポだったが、第1エンドは相手に主導権を握られ、3点の大量得点を許しエンドを折り返した。第2エンドは攻撃的な姿勢に徹し、明スポが2球を得点圏内に置く。そして迎えた明スポの6球目。得点圏にボールを寄せれば同点となるチャンスだった。しかしエース・上瀬の投球は惜しくも得点圏の手前で止まり追加点には結び付かず。合計スコア2-3でまさかの敗戦を喫した。さらに試合後には最悪なシナリオが待っていた。専大以外の3チームが2勝1敗で並ぶ状況となり順位は得失点差によって決定。順大が専大に4-0で勝利して得失点+6で終えたのに対し、明スポの得失点は+5。この結果、順大の決勝ブロック進出が決定し、明スポは1点の差に涙をのむ悔しい敗退で連覇への挑戦を終えた。

 

 その後、決勝ブロックが行われていたコート以外では敗退チームによる交流戦が行われた。明スポは第1試合を長谷川ゼミ、第2試合を上智大学Go Beyondと対戦。しかし「3人とも体力的に厳しい部分があった」(上瀬)と、第1試合を0-4、第2試合を0-2で惨敗。攻守が共に崩壊する厳しい結果となった。

 

 まさかの予選リーグ敗退。ただ、敗退の原因を象徴するような一言が第2試合後に発せられていた。「決勝ブロックに向けて腹ごしらえをしておこう」(長﨑)。2連勝を収めた直後だったこともあり、チーム全体が第3試合を軽視する空気に包まれる。当然、得失点差についての議論も交わされず、結果としてそこに足元をすくわれた。久保田は「完全にてんぐになっていた」と当時を悔やみ、上瀬も「気の緩みが出てしまった」と続ける。それでも選手全員がデビュー戦となる今大会で2勝を収めたことはチームにとって大きな収穫に。「良いチームなので、リベンジの機会が欲しい」(上瀬)。新生〝明スポ・ボッチャトリオ〟の挑戦は、まだ始まったばかり。さらに明スポからは選手のほかに3人の新人記者が学生スタッフとして大会の運営を支えた。一人でも多くの人にパラスポーツの魅力を届けられるように。明スポはこれからもパラスポーツの普及に全力を注いでいく。

 

[長﨑昇太]

 

試合後のコメント

久保田主将

――今大会を振り返っていかがですか。

 「詰めの甘さが出てしまった大会でした。2連勝で迎えた3戦目は試合前から決勝ブロックの話をするなど、目の前の試合に集中することができていませんでした。試合中もコミュニケーションを取るどころか、仲間の顔を見ることすらできていなかったと思います。初出場ということで不安も多かったのですが、どんなにつらいことがあっても、周りを見渡せばそこには長崎と上瀬がいました。今大会で生まれた3人の絆は、生涯消えることのない、かけがえのないものになったと確信しています」

 

上瀬

――今後に向けて一言お願いします。

 「大会当日の朝は全員が遅刻をするなど、我々が多くの課題を抱えていることは間違いありません。加えて連戦での体力面の課題も痛感しました。その課題を克服するためチーム内では現在、キャンパス内での階段移動の義務化、さらに護摩行などを新たな練習メニューとして採用すべきとの声が上がっています。多くの課題が残る一方、仲の良さ、団結力という意味では我々は最高のチームです。得失点差で大波乱、でもチームの雰囲気ざっくばらん、次は決めたいウイニングランといったところでしょうか」


長﨑
――大会注目選手として多くの話題を集めました。
 「大会インスタグラムでチームの注目選手として取り上げていただいたのですが、本当に恥ずかしかったですね。『自分は今何をしているんだ』と思った瞬間を撮影されてしまいました。しかしこのように取り上げていただいたからこそ、ボッチャという競技に真剣に取り組むことができたと思います。また、今大会を競技人生の進退に関わるものだと考えていたため、今は再び競技に向き合うことができる状態ではありません。しかし、それと同時に引退宣言を撤回してリベンジをしたいという思いを持っていることも事実です」