(80)~road of 〝AHead〟~ 武内慎「一戦必勝で自分たちのできることをやって勝つ」

2022.11.27

 「しっかり頂点だけを見つめる」。石田吉平主将(文4=常翔学園)が今年度のスローガン『AHead』に込めた思いだ。4年ぶりの大学選手権(以下、選手権)優勝という頂点の地へ。闘球に魂を込め、たくさんの汗を流した日々。4年生にこの4年間とラストシーズンに懸ける思いを語っていただいた。11月1日より連載していく。

 

 第18回は武内慎(商4=石見智翠館)のインタビューをお送りします。(この取材は11月4日に行われたものです)

 

――改めてラグビーを始めたきっかけを教えてください。

 「いろいろなところで聞かれるんですけど、父親に勧められたからです。父親の勧めっていつも言っています(笑)」

 

――お父さんがやっていたという方が多いですよね。

 「そうですね。僕の父親は高校、大学でやっていたのかな。やってみって言われて(笑)体は大きくて腕っ節は強かったので(笑)行きたくなかったんですけど。最初何もしてない側から見たらほんとに痛そうだから(笑)まあでもやってみたら、周りの人たちからいろいろともてはやされ、どんどんとそのわなにはまってしまいました(笑)」

 

――プレー中、感情を前面に出している姿が印象的ですが、取材しているとチームのこと、自分のことを俯瞰(ふかん)して見ている印象があります。

 「自分のことばかり話すよりも自分から見たチームのことだったり、自分が周りからどう見られているのかっていうのはコーチと話したり、チームメートから言われたことをちゃんと素直に受けるようにしています。最近は調子が上がってきていると言ってもらえているんですけど、自分の中でやりたいことができてないと、自分では納得できないので。まあまだまだですねって言っています(笑)周りの評価と自分の評価がうまく釣り合えばなっていうのは思っていて、そこの課題意識は常に持つようにしています」

 

――明大に進学して良かったことを教えてください。

 「自分自身が成長できたことです。多分明治に来ないと味わえなかった喜びや苦しみとか挫折もなかったでしょうし、自分として成長を感じる瞬間、ラグビーに対して本気でやりたいと思って目指して入ったところなので。自分が本気で挑戦しただけ見返りはすべて返ってくると思いますし、手を抜けば抜くだけ見返りは減ると思います。他の大学に行っていたら、試合には簡単に出ることができていたかもしれないですし、もっと楽なラグビーをしていたかもしれない。こんなしんどいことはしていないと思います。あとは出会いですかね。それは他の場所にもあると思いますけど、ここに入ったから僕は滝澤コーチ(佳之・平13政経卒)に会えていなかったら成長できていなかったと思いますし、同級生に吉平(石田・文4=常翔学園)か誉哉(齊藤・文4=桐生一)とかストイックな選手がいる中で、自分ももっとやらなきゃと思います。明治に入って良かったことはと言われると、やっぱり明治にいられることがすべてってことになります」

 

――後輩に向けて伝えたいことはありますか。

 「厳しい環境を楽しんでほしいと言いたいです。やっていて無駄なことがないわけじゃないし、やった結果実らないことはあると思います。やろうとすることに100%向き合えることって才能だと思っていて、一人一人がやるべきことを与えてくれる環境を大事にしてほしいです。どうしてこれやるんだろう、なんでやらなあかんのやろとか思うことって多いとは思うんですけど、それを文句を言わずにとりあえずやってみる。やってみた結果、これは違うっていうところまでいければそれが成長になると思います。まず与えられた環境に向き合って取り組むっていうのは大事にしてほしいですね。明治は強豪校ですし、監督もコーチもOBの方で、伝統とかを知りながらもチャンピオンになられてきた方々です。そういう人たちの言うことってもちろん間違っていることをあるかもしれないし、かみ合わないこともあるかもしれないですけど、自分たちと一緒にやろうとしてくれていることに感謝しないといけないです。用意してくれた厳しい環境を楽しんでやってほしいと思います」

 

――武内選手にとって、スローガンである『AHead』とは何ですか。

 「それこそ明治の『前へ』というところで、自分たちで前進しながら頂点に立つっていう。まあそのまま自分たちが決めたスローガンのままになっちゃうんですけど。それがそのまま自分のイメージです」

 

――最後に意気込みをお願いします。

 「自分の好きなチームなので、チームのためにどれだけ自分ができるかっていうことが後輩とか自分のためにもなると思っています。それが応援される明治だと思うので、どれだけチームのために一生懸命になれるかだと思っています。だから残りあと何試合できるかっていうところですし、選手権が始まれば負けたらそこで終わりなので。ほんとに諦めていい試合なんて一戦もないです。目の前の試合に一戦一戦向き合って、一戦必勝で自分たちのできることをやって勝つっていうところが必要だと思っているので、僕はチームのために体を張ります」

 

――ありがとうございました。

 

[宇野萌香]

 

◆武内慎(たけうち・しん)石見智翠館高、191センチ・103キロ

冬は欲しいものが多く、物欲が強くなってしまうそう。今買おうと思っている値段がお高めのダウンコートがあるみたいです(笑)