(79)「自信を持って必ず勝って全員が帰る」神鳥裕之監督 明早戦事前インタビュー

2022.11.26

 すぐそこまで迫った明早戦。今回は昨年度より明大ラグビー部を率いる神鳥裕之監督(平9営卒)のインタビューをお送りする。9年ぶりに国立競技場(以下、国立)で行われる明早戦への思いなどを語っていただいた。(この取材は11月2日に行いました)

 

――今年度のスローガン『AHead』はいかがですか。

 「最初は正直、ピンとこなかったです。どういう意味だろうみたいな。去年が『MEIJI PRIDE』という非常にシンプルで、ど真ん中なメッセージ性があったので、ちょっと言葉だけでは分からなくて、3人のリーダーに説明してもらいました。その時に、スローガンに込めた思いを聞いて、最初の入りは意味が分からなくても、だんだん染みわたるように伝わっていくんじゃないかなあと思いました。やっぱり2018年に優勝した後に、準優勝、ベスト4、準優勝を経験して、(石田)吉平(文4=常翔学園)たちの代からしてみれば、本当にあと少しというところで優勝ができてないんでね。その思いをこの『AHead』という言葉に乗せて、いろんな人に自分たちの思いを伝えていくことと同時に、自分たちのモチベーションに変えていくことになるかなと思います」

 

――今年度9年ぶりに国立に明早戦が帰ってきます。

 「僕らの頃は明早戦は国立でやるのが当たり前という時代でした。我々のような世代にとってみれば『戻ってきたな』と思います。場所は新しい国立に変わったとはいえ、やっぱり対抗戦の明早戦というのは国立で決着をつけるということが自分たちの世代では当たり前だったので、そのような意味で久しぶりというかは、自分の感覚的にはあるべき姿になったなと思います」

 

――大学時代国立で行った試合で、印象に残っている試合はありますか。

 「3年生の時に負けたんだよね、早稲田に。ラストワンプレーまで勝っていて、残りのロスタイムで、逆転されて終わったというのは、一番印象に残っています。それで対抗戦の優勝を逃しちゃったんだよね、勝てば優勝だったんで。 それで、その年の大学選手権の決勝で、また早稲田と当たりましたが、圧勝して勝ちました。大学選手権で優勝して、リベンジを果たしたというのは、非常に印象深かったです。はるか向こうにウイングが走っていました。俺がグランドでは到底追い付けない場所に。でもそれを見るしかありませんでした」

 

――監督にとって明早戦はどのようなものですか。

 「やはり明治のラグビー部にとって一番大きな試合じゃないですか。大きな試合というのは対戦相手に対してのリスペクトもそうですし、 足を運んでくれる観客の数はもちろん、明治にとっても当然対抗戦の優勝を常に争う最後の試合でした。 いろんな思い、いろんな意味も含めての大きな試合ですね。負けられないという。 だから、これ以上ないライバルとこれ以上ない最高の場所で、いつも優勝を争うという環境で試合をすると。 まあ、その時代背景の中には帝京が強くなってきたり、慶応が強い時期もあったり、毎回毎回というわけにはいかないんですけれども、我々のイメージ、印象としてはもう常に優勝を争う最高のライバルとの大事な試合という印象です」

 

――今年度の試合の中で印象に残っている試合はありますか。

 「そうですね。春の公式戦で帝京大学と試合をして勝利したということです。去年私も監督1年目で一度も勝てませんでした。就任して春の公式戦でも負けましたし、対抗戦で負けて大学選手権の決勝で負けて、3連敗している中で就任して初めて帝京に勝ったというのが今年の春季大会の公式戦です。このゲームは私個人的にもやっぱうれしかったですしね。当然本番で勝たなければいけないという引き締めるメッセージも出さなければいけない立場なんですけどね(笑)でも、勝った瞬間は印象深かったです」

 

――明早戦に向けての意気込みをお願いします。 

 「やるのは選手たちです。私たちはその最後のプロセスのところまでしか関われないです。よく言うんですけど、やっぱり本当に自信を持って、やるべきことはすべて準備してきたという状態で試合に向かわせてあげたいなあっていうのがあります。我々監督、コーチ陣のできる一番仕事だと思っているので。12月4日の朝に本当に不安なく、自信を持って必ず勝って全員が帰る。試合に出るメンバー、出ないメンバー関係なく、ここにいる全員がそんな気持ちで朝を迎えられるような準備をつくってあげることが私の仕事です」

 

――ありがとうございました。

 

[堀之内萌乃]

 

◆神鳥 裕之(かみとり・ひろゆき)平9営卒

 2013年度より、リコーブラックラムズ(現リコーブラックラムズ東京)の監督に就任し8年間指揮を執る。2021年6月1日より明大ラグビー部の監督に就任。昨年度は監督1年目でチームを全国大学選手権(以下、選手権)準優勝へと導く。大学時代にはナンバーエイトとして活躍し、大学1、3、4年次に選手権優勝に貢献した。