(68)~road of 〝AHead〟~ 吉岡汰我「最後までジャージーを着てプレーし続けることが大事」

2022.11.17

 「しっかり頂点だけを見つめる」。石田吉平主将(文4=常翔学園)が今年度のスローガン『AHead』に込めた思いだ。4年ぶりの大学選手権(以下、選手権)優勝という頂点の地へ。闘球に魂を込め、たくさんの汗を流した日々。4年生にこの4年間とラストシーズンに懸ける思いを語っていただいた。11月1日より連載していく。

 

 第15回は吉岡汰我(政経4=筑紫丘)のインタビューをお送りします。(この取材は10月11日に行われたものです)。

 

――4年間を振り返っていかがですか。

 「最初はテレビで見ていた選手が周りにたくさんいて、高校までとは全く違ったレベルでラグビーをしていたというのもあり、自分のプレーに自信を持てずにやっていました。特に1年生の時は、自分のしたいプレーや自分の強みをあまり出せずにただ1年間終わってしまい、レベルの高さについていくことに必死だったと思います。 2年生の後半くらいからは徐々に自分のプレーを出せるようになっていき、自分も少しはやっていけるという自信もつきました。戦術理解などもできるようになり、それを評価してもらえるようになって自分のプレーに自信を持てるようになりました」

 

――4年生として意識していることはありますか。

 「自分は大学を卒業したらラグビーを続けずに就職するので、ラグビーを思い切りできるのはこの1年間が最後というのもあり、引退するその日までジャージーを着てプレーし続けることが大事なことだと思っています。例年途中で諦めてしまう部員もいるのですが、その中で自分が最後までやり続ける姿勢というのは、今自分がいる下のチームの選手たちにも伝わってくれていたら、それがチームの文化としても根付いていくことになると思います。諦めないことは大事なことだと思うので、最終学年だからこそ最後までジャージーを着るための努力は続けたいと思っています」

 

――4年間のターニングポイントはありますか。

 「2年生の夏合宿あたりから、自分のプレーだけではなくてチームとしての動きを考えながらプレーができるようになった瞬間がありました。1年生の時は試合のビデオを正直全く見ていなくて、2年生になり試合のビデオを見るようになってから周りの状況などを見るようになりました。それにより自分の動きだけではなくプレーの流れなども考えるようになってから、判断のスピードが速くなり自分のプレーの幅が広がった気がします」

 

――4年間で一番印象に残っている試合を教えてください。

 「3年次の夏合宿の立正大学戦です。この試合がきっかけで、夏合宿明けから上のチームに上がることができたというのもありますし、自分がしたいプレーをやりながらも周りを生かすこともできた試合だったので、自分の中ですごく印象に残っています」

 

――4年間を通して成長したと思う点はありますか。

 「メンタル面です。明らかに昔より強くなりました。明大ほどの高いレベルの強いプレッシャーの中で練習や試合などを行う環境はあまりないと思いますし、常に競争というものに揉まれているからこそ、その競争に勝ち続けるためにはどうすればいいのかということを学びました。また、昔よりマイナスなことをあまり考えなくなり、ポジティブなことを考えるようになりました」

 

――厳しい環境の中でも頑張ることができた原動力はありますか。

 「負けたくなかったという気持ちが1つ大きな原動力だったと思います。せっかく高いレベルの日本一を目指す環境でラグビーができるのなら、とことんやれることはやって他の人に負けたくないという気持ちがずっとありました。また、日本一になるということは今までに経験したことのないことで、その日本一を目指すことができる環境にいるのに途中で諦めてしまったら、自分でチャンスをつぶしてしまうことになると思います。実際に自分が紫紺のジャージーを着て試合に出るチャンスをつかめるのなら、諦めたくなかったという気持ちが強かったです」

 

――後輩たちに伝えたいことはありますか。

 「最後までやり続けることの大切さです。紫紺のジャージーを着られても着られなくても、1つのことをやり遂げることは必ず自分の自信につながると思いますし、社会に出てからはこの大学4年間のような経験をすることはほとんどの人がないと思います。そのため、1つのことをやり遂げたという自信は自分の人生の財産になるので、これから社会に出たときも自分を支えてくれるし、最後までやり続ける姿勢は必ず誰かに見られているので、それがチームの文化になれば強いチームになっていくと思います。自分だけではなく周りの人にもいい影響を与えられると思うので、最後まで諦めずに続けていくことが大事だと後輩には伝えたいです」

 

――明大ラグビー部を選んで良かったことは何ですか。

 「仲間ができたことです。普通の大学生活をしていたら、ほとんど毎日顔を合わせて一緒に生活をし、濃い時間を過ごした仲間というのはできないと思いますし、これから一生続いていく縁だと思います。この明大ラグビー部の仲間と出会えたことは、大学でもラグビーを続けて良かったことの1つです。また、明大を選んだことですごく高いレベルでラグビーができた経験は他ではできなかったことだと思うので、そのような経験ができたことは良かったと思います」

 

――改めて吉岡選手にとって『AHead』にはどのような意味が込められていますか。

 「諦めずに挑み続けることが、自分にとって前に進み続ける『AHead』という意味だと思っているので、諦めず前に向かって挑戦し続けるという意味が込められています」

 

――今後の意気込みをお願いします。

 「諦めず上のチームに上がるという姿勢は崩さず、最後まで戦い抜きたいと思います。14年間やってきたラグビーの最後のシーズンで、自分が積み重ねてきたものの集大成であると思います。そのため、簡単に諦めるのではなくて最後までしぶとく上のチームに絡み、少しでもジャージーを着るチャンスをつかむことができるように、最大限の努力を続けていきたいと思います」

 

――ありがとうございました。

 

[久保田諒]

 

◆吉岡 汰我(よしおか・たいが)政経4、筑紫丘高、172センチ・82キロ

最近のマイブームはサウナ。頭にタオルを巻いて入ると長く入れるそう。「タオルを巻くことの重要さを感じました(笑)。整う感覚が良くなります」。