(67)~road of 〝AHead〟~ 丸尾祐資「苦しい経験をプラスに捉える」

2022.11.17

 「しっかり頂点だけを見つめる」。石田吉平主将(文4=常翔学園)が今年度のスローガン『AHead』に込めた思いだ。4年ぶりの大学選手権(以下、選手権)優勝という頂点の地へ。闘球に魂を込め、たくさんの汗を流した日々。4年生にこの4年間とラストシーズンに懸ける思いを語っていただいた。11月1日より連載していく。

 

 第13回目は丸尾祐資(商4=報徳学園)のインタビューをお送りします。(この取材は10月11日に行われたものです)

――明大に入ったきっかけを教えてください。

 「自分が通っていた報徳学園高の先輩が数多く明治にも進学していたことと、小さい頃からテレビで明治の試合を見ることが多かったので、試合を見るうちに明治に憧れが増して、入りたいなと思ったことがきっかけです」

 

――特に目標にしていた選手はいますか。

 「ポジションは違うのですが梶村祐介さん(平30政経卒・現横浜キヤノンイーグルス)が、小学校の時に同じチームでプレーされていた先輩で、ずっと活躍を見ていました。1年からレギュラーで出て4年間活躍しているのを見て、かっこよくて憧れでした」

 

――4年間振り返ってみていかがですか。

 「悔しい思いをしたことの方が多いです。Aチームの公式戦に出たり出なかったりみたいな立ち位置が4年間続いて、1年生の時は他の同期に比べて経験を積むことはできたのですが、2、3、4年と同じポジションの子と競うことになり、下の学年の子が自分より上にいることもありました。なかなか上手くいかずにミスが続いてしまうことが多かったです」

 

――初紫紺はいかがでしたか。

 「とても自信になりましたし、とてもうれしかったのを覚えています」

 

――同じポジションで意識していた選手を教えてください。

 「1学年上には飯沼蓮さん(令4営卒・現浦安D-Rocks)がいたので意識していました。でも意識する時間が長かったのは一つ下の萩原周(商3=大阪桐蔭)です。下には負けたくないし、負けたらダメだという気持ちはあったのですが、蓮さんが卒業してからも周がスタメンで試合に出場していて、自分よりも上にいるという状況だったので、意識する時間は周の方が長かったです」

 

――丸尾選手がスクラムハーフとして長けていると感じる部分を教えてください。

 「パスの精度と体を張れるところです。タックルやディフェンスにも積極的に参加したり、チームの雰囲気を盛り上げたり、小さいことですがそれが自分の武器かなと思うので、強みとして出していきたいなと意識していました」

 

――一番印象に残っている試合を教えてください。

 「1年生のときのジュニアの早明戦です。僕が9番で、齊藤誉哉(文4=桐生一)が10番で、早稲田の9番が同期の小西泰聖、10番が吉村紘でした。向こうも1年が9、10番だったので『負けられないな』と思っていました。その試合は逆転勝ちして、自分のプレーも良かったこともあり、とてもうれしかった思い出があります」

 

――明大に入って一番成長できたことを教えてください。

 「ラグビーの技術と強い精神力です。自分が思うようにいかないことも本当に多くて、もちろん自分に原因がある時もありましたが、納得できないことも何度もありました。そういう時に、言い訳の理由を探すのではなく、その状況から抜け出すために腐らずに、とりあえず必死に練習していました。高校時代は味わったこともない挫折を感じることが多かったですが、この先もラグビーを続けるので、大学という早い段階でこういう苦しい経験ができたということはプラスに捉えています。こういう風にプラスに考えられるマインドを手に入れられたので、精神力が成長したと思います」

 

――そこまでストイックに頑張ることができる原動力を教えてください。

 「やはり一番は応援してくれている人です。家族とじいちゃん、ばあちゃんは本当にずっと応援してくれていて、自分が活躍していなくても、Aチームではなくても応援してくれます。Aチームに上がれた時はとても喜んでくれますし、自分がラグビーを続けると決めた時もとても喜んでくれました。自分の人生が豊かになるし、身近な人が一番喜んでくれるので、頑張れます」

 

――最後に丸尾さんにとって『AHead』という言葉にはどのような意味が込められていますか。

 「やはり去年は準優勝で今年は絶対優勝しなければならないということへのこだわりが込められています。明治といったら『前へ』なので、あと一歩へのこだわりとかあと一つという、小さい部分へのこだわりという意味です」

 

――ありがとうございました。

 

[森口絵美理]

 

◆丸尾 祐資(まるお・ゆうすけ)商4、報徳学園、170センチ・75キロ

同期の中で自分はいじられキャラ。「かっこよくてクールな僕がふざけることもできるということが、みんなはうれしいのだと思います(笑)」。