(142)全日本大学駅伝事後インタビュー⑨/山本佑樹駅伝監督

2022.11.10

 紫紺の願いはかなわなかった。3年連続のシード権獲得を目標に挑んだ全日本大学駅伝(以下、全日本)。前半の流れを生かせず、結果は9位と目標にあと一歩届かなかった。残す駅伝は約2カ月後に控える箱根駅伝(以下、箱根)のみ。雪辱を果たすべく、明大競走部は新たな戦いへと走り出す。

 

 第9回は山本佑樹駅伝監督のインタビューです。(この取材は11月7日に電話で行われたものです)

 

――全日本の振り返りをお願いします。

 「チームとしてはシードの8位を目標に、その中で一つでも前の5、6番には届くのではないかという手応えを感じながら目標を立てていましたが、結果的には9番ということで、力不足というか読み不足でした。目標の結果を出せず、すごく悔しい気持ちがあります」

 

――シード校とのわずかな差はどこにあったと感じましたか。

 「冷静に見ると差は意外とわずかではなくて、大きな差があるというのは実感としてあります。出雲駅伝を見た時に、やはりシード校と予選会校との差は結構あるなということを感じていました。『それがやはりそうなんだな』というのをてきめんに感じました。僕の指示としては手堅くシードを取りにいくことで『前半落ち着いて入って、後半しっかり頑張ろう』という指示でした。やはり今は前半にしっかり入ってもシードを取れなくなってきているというのを感じました。ここ一年一年全体的なレベルがどんどん上がっているので、そこに取り残されている感じがしています」

 

――より具体的に、シード校との差で技術的な面か精神的な面などあれば教えていただきたいです。

 「一つは、ここ数年箱根も予選会からになっていますし、今度も全日本も予選会からになると、純粋にトラックレースで記録を狙うタイミングがどんどん減ってきていて、そういう負のスパイラルにはまる年間スケジュールになってきます。そうするとやはり自信をつける機会が減ってくるので、早くそこから抜け出したい気持ちはあります。あとは故障をしないようにという練習方法が、やはりレベルで言うと質的には低くなってきてしまっていると思います。そういう中でもきちっと走れる選手はいるんですけれども、もう少しはっきりさせて、質、量ともに上げるグループを作ってもいいのかなと思います。しかし、どちらにしてもそこ(負のスパイラル)を早く抜け出さないと、はっきりとした技術的な部分をやれないと思っています」

 

――今回の全日本では主力の4年生を外して1、2年生を配置したと思いますが、その意図を教えてください。

 「あえて主力を外したところは正直なくて、結果的にそうなっているということです。やはり加藤(大誠・営4=鹿児島実)と漆畑(瑠人・文4=鹿児島城西)に関しては、予選会を外して、本番に力を発揮できないところで他の選手を選んだので、その選び方については特に間違っていたとは思っていないです。新しい戦力を使って、彼らがどうチャンスをつかんでくれるかなという、期待度というかわくわく感はあったので、そういう中で森下(翔太・政経1=世羅)と吉川響(文1=世羅)はきちっと走ってくれた感じがします。新谷(絋ノ介・政経2=世羅)はそのチャンスを逃してしまったところはありますし、尾﨑(健斗・商2=浜松商)も数年前ならまあまあなペースでいっていたと思うのですが、やはり今の他大学の強さを見ると、うちで言うと富田(峻平・営4=八千代松陰)とか小澤(大輝主将・政経4=韮山)クラスがアンカーに走っている感じですので、そこのレベルの違いというのは感じています。どちらにせよ、新谷と尾﨑にしてもこれでチャレンジを止めるのではなくて、次のチャンスに向けてしっかりやれるようにサポートをしたいなと思います」

 

――4年生で走った3人の走りの評価はいかがですか。

 「櫛田(佳希・政経4=学校法人石川)は予選会で転倒があって、順調に回復をして、これなら大丈夫だろうという感じだったのですが、やはり彼には無理をさせてしまったなということで、申し訳なく思っています。小澤については予選会の時よりも状態は良くなっていたので、いい走りをしてくれるだろうと思っていました。ただ彼もキャプテンとして予選会が終わってチームのことを考えているところで、精神的にいろいろ気を遣うことが多くて、どちらかというとそちらが今回の走りに影響したかなと思います。富田はあそこで本来ならばシード権のところまで押し上げて、尾﨑に襷を渡してほしいと思っていました。チームのエースとしてのプレッシャーもあったとは思うのですが、そこにはもう少しいってくれたらいいかなと思います。しかし、それも先ほどの尾﨑の時と一緒なのですが、タイム的にはそこそこかなと思っても、区間順位としては年々三つずつくらいレベルが上がっている状況です。もう少しレベルアップをしていかないと、シードを取るチームとしては物足りなくなってしまっていると感じました」

 

――最後に箱根に向けて、今後2カ月の意気込みをお願いします。

 「全日本でシードを落として非常に残念な結果なのですが、ある意味ここからしっかり立て直しをして箱根でシードを取るということで、気持ちを新たに切り替えて、やっていかないといけないと思います。次の箱根は何が何でもシードを取るという気持ちでやっていきたいと思います」

 

――ありがとうございました。

 

[飯塚今日平]