(61)〜road of 〝AHead〟〜 關根瑞己「がむしゃらにやるのは駄目、正しい努力をしないと」
「しっかり頂点だけを見つめる」。石田吉平主将(文4=常翔学園)が今年度のスローガン『AHead』に込めた思いだ。4年ぶりの大学選手権(以下、選手権)優勝という頂点の地へ。闘球に魂を込め、たくさんの汗を流した日々。4年生にこの4年間とラストシーズンに懸ける思いを語っていただいた。11月1日より連載していく。
第8回目は、關根瑞己(商4=明大中野)のインタビューをお送りします。(この取材は10月14日に行われたものです)
――入部した時を振り返ってみていかがですか。
「僕は明大中野高校から内部推薦の枠で入らせていただいて、高校の環境と圧倒的にレベルが高いと分かった上で、最初はビビりながら入りました。追い付くことしか考えられなくて、毎日必死に食らいつくという感じでした。なので、常に張り詰めた状態でなかなか肉体的にも精神的にも休まる時間というのはなかったですね。1年生は準備があるので、先輩よりも早く起きるのですが、アラームの『トゥルのトゥ』で止めていました(笑)」
――4年間を振り返ってみていかがですか。
「1、2年生は、全力でがむしゃらに目の前のことにぶつかっていました。周りから見たら大したことないですけど、試合の中でも自分なりの成果や手応えを感じながらプレーができていました。2年生の後半から度重なるケガや自分の思うようなプレーができないという状態が続いて、ただがむしゃらにやるのは駄目で、その努力の仕方を考えなくてはいけないなと感じました。3年生は、自分の中でも一番挫折を感じた部分がありまして、10月か11月に肩の大ケガをし、手術もしました。3、4年生は、満足のいく2年間を過ごせてはないのですが、自分の置かれている状況や立場にフォーカスして、やれることはやってきたかなという印象です」
――この4年間で成長した部分はどこですか。
「正しい努力の仕方です。3年生から全力でがむしゃらにやるのは駄目だと気付いて、やはり正しい努力をしないと、意味のない努力をしても結果はついてこないと思いました。試合に出られなかったり、思うようなプレーができないという挫折を経験したからこそ、人と比べるのではなくて、客観的に自分のことを見たときにチームから求められているプレーや自分に足りないものは何かを冷静に考えて、それを克服するための努力というのを考えられるようになりました。」
――試合では声を出してチームや後輩を鼓舞し引っ張っていく姿が印象的でしたが、4年生になってから意識が変わった部分はありましたか。
「野球をやっていた時から、チームで1番声を出していました。プレーで直接的に引っ張るだけではなくても、チームのムードをつくる方で自分が役立ててればいいなと常々思って頑張ってきました。特に4年生になってからは上級生として自分の背中で引っ張るという意味合いで、弱い背中を見せてはいけないなという気持ちはあるので、後輩たちに自分の声を出すという前向きな姿勢を見せ続ける姿が必要かなといつも思います」
――一番思い出のある部屋はありますか。
「僕が2年生の時の部屋で、久保清悟(令3政経卒・現マツダスカイアクティブズ広島)さん、小林翔太(令4営卒)さん、中山律希(政経3=天理)のメンバーは特に印象に残っています。挫折した時も、尊敬できる2人の先輩が親身に相談に乗ってくださり、同じ部屋ということで自分の居場所を提供してくれました。後輩の律希(中山)はすごく面白くて、パワーが詰まったインパクトのあるプレーにぜひ注目です(笑)。今でも4人ですごく仲良くさせていただいて、誰かの誕生日の時はビデオ通話をつないで4人で話したり、引退されてからもオフの時に会いに行っています」
――一番印象に残る試合を教えてください。
「夏合宿の朝日大戦です。自分自身ラグビー人生が終わるので、最後の菅平合宿での試合でした。意地でもトライしたいなというところで、最後トライすることができたので思い出に残る試合です。あと、僕が1年生の時の対抗戦の早明戦です。コロナ前だったので、試合前に校歌斉唱があって、明大の校歌がとても大きな声で響き渡っていて、期待の大きさとそれを聴きながらグラウンドで感極まって泣いている選手たちを見て、そこに立つまで辛いことなどいろいろなことが込み上げてきたのだろうと改めて感じて、すごく感動しましたし、今思い返してもすごいなと思う光景です」
――後輩へのメッセージがあったらお願いします。
「僕はどちらかというと試合に出られなかったり、挫折を多く味わっている方なので、自分の思うようなプレーができなかったり、試合に出られなくてくすぶっているような選手たちも、思うようにいかない時間は決して無駄ではないと思います。挫折しなかった人間より挫折した人間の方が得られるものも大きいと思うので、挫折を挫折で終わらせないで、うまくいかない時こそ成長できるいいチャンスだと思って、自分を鼓舞し続けて頑張ってほしいと思います。あと、みんな根本的に上手でポテンシャルのいい選手ばかりなので、今の自分の立ち位置に落胆しないで、もっと自分の可能性を信じて頑張ってほしいです」
――改めて關根選手にとって『AHead』にはどんな意味が込められていますか。
「明大のラグビーは、『横の早稲田。縦の明治』と言われることがあるのですが、やはり前に進む脅威、縦の攻撃というのが明大の掲げているラグビーです。もう1歩届かなかった大学選手権優勝に向け、少しでも前にという自分たちのプライドの勝負になってくると思うので、『AHead』は〝前へ〟の姿勢を明大のラグビーで体現するところだと思います」
――ありがとうございました。
[井垣友希]
◆關根 瑞己(せきね・みずき)商4、明大中野高、179センチ・88キロ
1年生の時にミーティングに遅れそうになった關根選手は、和泉キャンパスから寮まで7分で帰るという伝説を残した。最近ハマっていることは、部屋のメンバーで怖い話をテレビで見ること!「霊感は全くないです(笑)」
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