(59)〜road of 〝AHead〟〜 杉本大雅「最大限できるパフォーマンスをして日本一に貢献したい」

2022.11.08

 「しっかり頂点だけを見つめる」。石田吉平主将(文4=常翔学園)が今年度のスローガン『AHead』に込めた思いだ。4年ぶりの大学選手権(以下、選手権)優勝という頂点の地へ。闘球に魂を込め、たくさんの汗を流した日々。4年生にこの4年間とラストシーズンに懸ける思いを語っていただいた。11月1日より連載していく。

 

 第6回は杉本大雅(文4=国学院久我山)のインタビューをお送りします。(この取材は1019日に行われたものです)

 

――明大ラグビー部に入部した理由を教えてください。

 「やはり日本一を目指したいなと思ったからです。何校か声を掛けていただいたチームの中で、一番上を目指せるのが明治だったので入部を決めました」

 

――4年間で一番記憶に残っている試合を教えてください。

 「今年度の春の東日本セブンズです。理由は三つあります。まずは初めて紫紺のジャージーを着て、目標を達成できたからです。二つ目は、自分は秩父宮で1度も勝ったことがなくて、中学でも高校でも秩父宮で負けて引退していました。初めてあの場で勝ててとてもうれしかったです。三つ目は、自分の武器のスピードをチームのみんなやコーチ陣に評価してもらえたからです。チームにやっと認められたという実感が湧いてそれが幸せでした。『優勝するって気持ちがいいんだ、こんな景色が広がっているんだ』と思ったことも印象に残っています」

 

――同期の中で尊敬している人はいらっしゃいますか。

 「丸尾(祐資・商4=報徳学園)ですかね。オフの日とか私生活ではよく遊ぶのですが、遊んだ後や遊ぶ前にも練習しています。例えば、朝10時から遊ぶとなったらオフの日にも関わらず朝8時に起きて練習してから来るんですよ。逆に朝5時からゴルフ行こうとなったとすると、夕方に帰ってきて夜10時くらいに見たら練習しています。遊んでいるのにすごいなと思います。しかも食事も気を使っていてすごいです」

 

――ご自身のポジションであるウイングへのこだわりを教えてください。

 「僕は(ウイングの)テーマをエンターテイナーというのにしていて、会場を沸かせないといけないと思っています。その上で僕の中での美学があって、相手に触れられないで自分の武器である足の速さを最大限に生かしてトライをするというのはこだわっています」

 

――明大ラグビー部に入部して成長したことを教えてください。

 「ラグビーでも私生活でも、相手の立場になって行動できるようになったと思います。今も少しそういうところはありますが、これまで結構自分勝手な人間で、ラグビーでも自分がトライを取ることだけに執着していた時期があったんです。でも、今はなるべく次につながるプレーを心がけていて、相手を思いやる気持ちが少しついたのかなと思います」

 

――関東大学対抗戦・青学大戦では対抗戦デビューを飾りましたが、試合を振り返っていかがですか。

 「最初は緊張していましたが、腹をくくって楽しもうと思い、あまり硬くならずにやれたと思います。ファーストキャップだったので下級生たちもサポートしてくれて、すごく自由にやれたのでみんなに感謝したいです。みんなが助けてくれたおかげで楽しめました」

 

――今だからこそ後輩に伝えたいことはありますか。

 「絶対に諦めないでということです。僕は1年から3年まで全然試合に出られなくて、本当にこのまま引退しちゃうんじゃないかと思っていましたが4年目でやっと試合に出られました。また、ピンチはチャンスという言葉をみんなに伝えたいです。例えばコーチとかに怒られても落ち込んでいる場合でなくて、怒られたということは見られている証拠だから逆に挽回のチャンスがあるんですよね。ミスした後も、逆に挽回するチャンスなので目の前のことに落ち込むのではなく、逆にミスして良かったぐらいの気持ちで絶対に諦めてはいけないと思います。みんなそれを肝に銘じて諦めずやって欲しいです」

 

――目標である日本一に向けてチームとしてやるべきことはどのようなことだと思いますか。

 「今年の4学年が集まれるのはもう長くて4カ月くらいなので、一人一人が下級生も殻を破って出し切って、みんなで努力できれば夢は叶うと思います」

 

――改めて杉本選手にとって『AHead』にはどういった意味がありますか。

 「あと一歩取りに行くという意味しかないです。自分はいつも決勝などの惜しいところで負けていて、本当に負けず嫌いなんですよ。1試合1試合にこだわる価値があるという意味だと思っています」

 

――これからの意気込みをお願いします。

 「どのカテゴリーで試合に出ても、最大のパフォーマンスを発揮してチームを勢いづけるようなプレーや声掛けで引っ張っていきたいです。どの場所でも最大限できるパフォーマンスをしてチームの日本一に貢献したいです」

 

――ありがとうございました。

 

[豊澤風香]

 

杉本大雅(すぎもと・たいが)文4、国学院久我山高、177センチ・80キロ

国学院久我山中に入学してからラグビーを始めたが、初めはサッカー部か陸上部に入ろうとしていた。「今、慶大にいる角谷(光貴)くんがラグビー部の仮入部に誘ってくれました!」。