(122)箱根駅伝予選会事後インタビュー⑥/園原健弘総合監督、山本佑樹駅伝監督

2022.10.18

 10月15日に行われた第99回箱根駅伝予選会(以下、予選会)。明大は2位通過を果たし、箱根駅伝(以下、箱根)や来月の全日本大学駅伝(以下、全日本)に向けて収穫の多い大会となった。今回は予選会に出走した12人の選手と監督のコメントを全7回にわたってお届けする。

 

 第6回は園原健弘総合監督、山本佑樹駅伝監督のインタビューです。(この取材は10月15日に電話で行われたものです)

 

園原総合監督

――箱根本選の出場が決まりました。

 「予選会通過が最大であり最低限の目標だったので、その点は良かったし、ここからだなという思いも同時にあります。2位ということで、結果だけ見たら十分な内容ですが、レース展開を見ると課題に残った部分もあります。その部分はしっかりそれぞれが本戦までに解決してもらえればと思います」

 

――結果発表の際の雰囲気は昨年度と異なると配信を見ていて感じました。それは選手それぞれの走りの部分で納得がいかないような部分があったということでしょうか。

 「1位通過をしても爆発的な喜びの表現はしなかったと思います。今回は徐々に順位が下がっていく尻下がりのレース展開でした。テレビで見ていた皆さんも感じたと思いますが、自分たちとしてもレースのイメージが良くないです。そういった意味で結果よりレース内容に満足できない部分はありました」

 

――昨年度の箱根からの道のりはいかがでしたか。

 「箱根の反省も含めて、駅伝で走り切る力を(山本)佑樹駅伝監督が課題に挙げて取り組んできました。ある意味トラックの強化を捨ててでもロード対策をしっかりやってきましたが、今回の予選会ではそれをしっかりお見せできませんでした。それがあのような表情になったのではないかと思います」

 

――3週間後には全日本があります。

 「しっかりここで疲労を抜いて、シード権はぜひ獲得したいです。またここでメンバーも入れ替えられる可能性もあります。予選会と全日本を一つのセットとして大きな流れの中でやってきているので、全日本でしっかり結果を残したいです。シード権をしっかり取りたいと思います」

 

――箱根に向けてはいかがでしょうか。

 「実力以上に騒がれたりして少し自分たちを見失ったことが過去にありました。そういった意味で今回は2位という結果ですが、我々は危機感を持ちながらやっています。今回は決して悪い結果ではないのですが、箱根と全日本でシードを取って、シード常連校になるんだという思いに向けて、浮かれた感じではなくて危機感を持ってやれていけていると思います」

 

――現在の明大競走部にはどのような力が求められていると感じていますか。

 「目標設定能力が少し課題としてあるのかなと感じます。期待に応えようとするあまり、例えば4継だと『38秒台を出します』とか、今回だと『何分以内で走ります』とか。取材を受けて周りの期待に応えたいと思って口にして、それにとらわれ過ぎてしまうことがあります。インタビューを受けた後に体調は変わるので、その時の意欲と現在の体調との間に差が生まれてしまいます。体調に合わせて現実に見合った目標へ修正すればいいのですが、みんな責任感が強くていいやつなんですよね。真面目だしすごく頑張って、目標にこだわるので、臨機応変に対応するという力がまだまだないのかもしれないです。それは社会に出ても大事な力なんですよね」

 

――ファンの方々へメッセージをお願いします。

 「今回はID発行を許可された父母の方々がいらっしゃってくれました。その中で私に対して『去年の箱根はうちの息子のせいで』などとすごく謝ってくださるご父兄の方がいました。ご父兄の方たちも1年間苦しむような大会にしていたのかなと思うと本当に心苦しかったです。もちろん我々は皆さまの期待に応えたいですし、結果ももちろん出していきたいのですが、大学スポーツということをベースに置きながら見ていただければと思います」

 

――ありがとうございました。


山本佑樹駅伝監督

 

山本駅伝監督

――本日の全体的な総評をお願いします。

 「トップ通過は狙っていたわけではないのですが、自分達がしっかり結果を出せばトップ通過もあり得るかなと思いながらレースに臨みました。しかし、やはり自分の思うように走れた選手が少なかったというところで、2位の通過も素直に喜べないような部分はありました。そのため、結果発表を聞いた時、選手もあまり喜ぶ仕草はなく、反省の色が強かったです。ただ、それでも2位通過しているということは、力は付いていると思うので、良い方にしっかり切り替えて頑張りたいと思います」

 

――4年生では、富田選手(峻平・営4=八千代松陰)や下條選手(乃將・情コミ4=東京実)が好成績を残しました。

 「富田は積極的に日本人トップを狙いにいって、最後競り負けて、本人も終わってかなり悔しい顔をしていました。それでも、本当に安定した力が出せるようになってきたので、うちのエースとしてかなり力が付いたなと思います。下條は本当によく頑張ったと思います。中盤から後半にかけて粘っていましたし、箱根に対する思いが強く出ていたと思います。本当に彼はしっかり走ったなというふうに感じます」

 

――児玉選手(真輝・文3=鎌倉学園)の走りはどうでしたか。

 「児玉も本当に『箱根は2区を走りたい』という気持ちが強いので、今日はラスト5キロの粘るところは2区の後半とダブらせて頑張ろうかということで言っていました。富田に負けたのもありますが、日本人トップを狙っていたので『最後もう少しいきたかったです』と、本人も少し悔しい気持ちがあったみたいです。ただ富田と同様に、着実に力を付けて安定した結果を出しているので、うちのエースとして駅伝でも頑張ってほしいと思います」

 

――下級生では新谷選手(紘ノ介・政経2=世羅)や室田選手(安寿・情コミ1=宮崎日大)の走りが光りました。

 「新谷はよく頑張ったなと思います。最初5キロの通過のところでだいぶ後ろにいたので、大丈夫かなと思いました。しかし、途中のラップタイムを見るとイーブンで押し切っていたので、彼にとってはかなり自信になったレースではないかなと思います。僕らもきっちりまとめて走ったというところでは高い評価をしたいと思います。また、室田も本当によく頑張ったと思います。本人もゴールの時にガッツポーズしていましたけれども、順位の割にガッツポーズが派手だったなという感じはしますが(笑)。初のハーフマラソンですし、彼にとってはこのような大きいレースは初めてなので、その中で自分の走りをしっかりして最後まで粘り切ったというのは、彼の中ですごい手応えを感じたのだと思います。僕らスタッフとしても、室田は20キロを少し職人気質な走りをするという評価をしているので、何か面白い走りができたなというふうに思います」

 

――最後に今後に向けて一言お願いします。

 「次は全日本があり、そこはシード権をここ数年取り続けていることができています。そのため、同じようにシード権をきちんと取って、今回の反省点を改善して、いい形で本戦にまず挑みたいと思います。本戦は本当にシンプルにシード権を取るというのが目標で、ずっと続いているので、とにかくそこに向けて突き進んでいきたいと思います」

 

――ありがとうございました。

 

[大橋直輝、飯塚今日平]