長尾佳音 再び頂点を目指すエリート

2022.10.09

 東京の名門・武蔵野中学高校で一時代を築いた。長尾佳音(営1=武蔵野)は中学時代に100メートル自由形と200メートル自由形の2種目で全国の頂点に立つ。だが、高校ではあと一歩及ばなかった。高校時代の悔しさを糧に、明大で再び頂点を目指す。

 

転機と栄光

 武蔵野中学校にスポーツ推薦で入学した長尾。当時は個人メドレーに重きを置いていたが、中学2年生の時にタイムが伸び悩む。「この時期が一番苦しかった」。

 そんな中、中学3年生で転機が訪れた。何気なく出場した自由形のタイムがかなり良かったのだ。「泳いでいて楽しかった」。これを契機に夏の大舞台全国中学校大会(以下、全中)に自由形2種目で出場することに。優勝を狙っていたが、200メートル自由形予選を想定外の8位で通過する。不安に駆られた長尾は、顧問の先生に泣きながらアドバイスを求めると「いつも通りでいいよ」の一言。この言葉で肩の荷が下り、自信を取り戻した。そして迎えた決勝。本来の実力を発揮し、200メートル自由形で優勝し、翌日の100メートル自由形でも、勢いそのままに優勝。「今までで一番うれしいレースだった」。全国の舞台で2冠の快挙を達成した。

 

あと一歩

 その後、長尾は付属の武蔵野高校に進学した。〝全中王者〟は、高校1年生にしてインターハイに参戦。100メートル自由形で4位、200メートル自由形では何と準優勝の好成績を残す。しかし、1年生ながらに優勝を狙っていた長尾にとってはうれしさよりも悔しさの方が大きかった。この雪辱は同じ舞台で果たすと誓う。

 そして迎えた高校3年、最後のインターハイ。「絶対に優勝したい」と、熱い気持ちを胸に、準備万端の状態で初戦の200メートル自由形に臨むが、結果はまたも準優勝。続く100メートル自由形は3位。「すごいショックだった」。惜しくも雪辱を果たすことはできず、全国の頂点にあと一歩届かなかった。

 

新たな地で

 「2020年度の日本学生選手権(以下、インカレ)で明大の男子総合優勝を見て感動した。私もこの水泳部の一員として戦いたい」。この思いから、明大への入学を決意した。大学で目指すはもちろんインカレ優勝。高校時代、あと一歩届かなかった表彰台の一番上だ。掲げた目標を達成するためにも長尾は進化し続ける。

 「(大学では)満足できるようにやり切りたい」。競泳人生の集大成ともいえる4年間は、もう始まっている。

 

[末吉祐貴]

 

長尾 佳音(ながお・かのん)営1、武蔵野高。両親の影響で幼少期にアルペンスキーもやっており、選手として大会にも出場していた。168㌢。