川村心馬 努力を糧に 〝チーム〟で目指す日本一

2022.10.09

 大きな体と力強いランプレーが持ち味のスタンドオフ川村心馬(法1=函館ラ・サール高)。高校時代は生活力の向上により文武両道を実現。〝チーム〟の意識を大切に主将として部をけん引した。大学では尊敬する兄と異なる場の明大で、紫紺をまとい活躍するため、日々努力し続ける。

 

文武両道の秘けつ

 ラグビーと勉強の両立を目指し、高校は函館ラ・サール高に進学する。部則の一つに、テストで赤点を取った者は試合に出さないという決まりがある。「赤点が0人でなければ絶対に強くない」。故にラグビーも勉強も手を抜くことは許されなかった。机の上にラグビーに関する物は置かない。隙間時間はウエイトや個人練習に充てる。時間を日々の生活の中でうまく使い、目的に応じて区別することを徹底した高校3年間。それが、何事にもひたむきに努力をする川村のストイックさを成長させた。

 

〝チーム〟の意識

 主将を任された高校3年次、川村は大きな壁に直面する。全国高校大会(以下、花園)予選を目前に控えた7月、寮内で新型コロナウイルスのクラスターが発生。その影響で、練習を大幅に制限されてしまう。「正直気持ちがすごく沈んだ」。それでも、落ち込む川村を支えたのは〝チーム〟の意識だった。函館ラ・サール高は一人でも欠けてしまっては強くない。だからこそ、練習も勉強もいつだって部員全員で乗り越えてきた。しんどい時だからこそ「〝チーム〟として何かをすることを心掛けた」。主将として先頭に立ち、ウエイト器具を寮内に運ぶなど、全員で練習ができるように工夫。そして〝チーム〟の意識で結ばれた仲間の存在が川村の心を奮い立たせた。惜しくも花園出場は逃したが、コロナという壁とチーム全体で戦った経験は、川村の中で大きな糧となった。

 

兄とは違う場所で

 高校で大きく成長した川村。そんな彼は尊敬する人物に、現在早大ラグビー部に在籍する兄・川村駿太を挙げる。しかし「兄と別のフィールドで戦ってみたい」。この思いを胸に進学は明大に決めた。「早大新人戦での負けもあって、チームで早大に勝ちたい気持ちが強くなった」。尊敬する兄を超えるために。そして明大ラグビー部の一員としてチームで勝つために。「いつでも紫紺を着て試合に出られる準備をしている」。さらなる高みを目指し、川村は今日も努力のパスを明日へとつないでいく。

[久保田諒] 

川村 心馬(かわむら・しんま)法1、函館ラ・サール高。最近、生まれて初めてゴキブリと対面したとのこと。179センチ・91キロ。