今里翔吾 悔しさをバネに 団体戦に懸ける思い

2022.10.08

 2度の敗北が彼を強くした。今里翔吾(営1=海星)はインターハイ3位の実力者。小柄な体格を生かしたフットワークと相手の虚を突くポーチやフェイントプレーが得意だ。挫折を乗り越えた不屈の精神とテニスへの克己的な姿勢で大学では日本一を目指す。 

   

忘れられない夏 

 「小学生の時から試合会場にいる海星の選手が憧れだった」。長崎県高校総体団体戦23連覇中の強豪、海星に進学。高校1年次からメンバー入りを果たし、インターハイ団体戦に出場した。初戦の相手は東京学館新潟。1対1の同点で駒を進め、今里のシングルス2に勝敗が懸かっていた。しかし、極度の緊張とプレッシャーで実力を出し切ることができず無念の初戦敗退。「先輩たちの夏を僕が終わらせてしまった。今度は勝ってみんなを喜ばせたい」。人生で一番悔しい思いをした一夏が彼を成長させることとなる。 

高校時代の今里(写真は本人提供)

ライバルの存在  

 ライバルの存在が今里にエンジンをかけた。高校2年次は新型コロナウイルスの影響で大会が軒並み中止に。目標を見失い、練習に身が入らない日々が続く。そんな中、ライバルである鳥井俊作(鹿屋体大)は黙々と練習を続けていた。その後の部内戦で、入部以来初めて、鳥井に敗北を喫することとなる。この試合をきっかけに今里は誰よりも強くなることを誓った。 

 迎えた最後のインターハイ、シングルスでベスト16入りを果たし、大会を締めくくるのは鳥井とのダブルスだった。「ペアで大会に出るのは最後かもしれない。何よりも楽しんでやろうと思った」。東京学館新潟に3回戦でリベンジを果たし、迎えた準々決勝。2ー5の劣勢から形勢逆転、最終スコア8ー6で接戦を制し、3位入賞という有終の美を飾った。マッチポイントでの鳥井とのハイタッチの感触、勝利が決まった瞬間のコーチの笑顔、あの時見た景色が彼の今の原動力となっている。 

 

夢は団体日本一 

 「ここだったら強くなれる、ここで日本一になりたい」と4月に明大の門を叩いた。チームの雰囲気を暗くしないため、誰よりも声出しをすることを意識。また「やらなかったら結果が付いてくることはまずない」と、毎日の練習にストイックに打ち込んでいる。高校1年次の夏に味わった悔しさを糧に大学での目標は団体戦で日本一を取ること。期待のルーキーはこれからも進化し続ける。 

 

[井手満菜] 

 

◆今里 翔吾(いまざと・しょうご)営1、海星。好きな食べ物は同部屋の先輩、飯田翔(商2=足利大付)が作るオムライス。169センチ・60キロ。