(1)「愛されるチームにしていきたい」神鳥裕之監督 新体制インタビュー

2022.04.01

 昨年度はあと一歩のところで届かなかった大学日本一。その悔しさを胸に4年ぶりの頂点奪還を目指し、石田吉平主将(文4=常翔学園)率いる新体制が始動する。本連載では、新チームの監督、4年生インタビューを全7回にわたって紹介します。

 

 第1回は神鳥裕之監督のインタビューをお送りします。(この取材は3月18日に行われたものです)

 

――昨年度を振り返っていかがですか。

 「4年生中心に最後までよく戦ってくれたと思います。結成当初からチームの核となっていた選手が卒業し、特別な選手がいないというチーム編成でスタートしました。本当にチームの結束力が強くて飯沼(蓮・令4営卒=現NTTコミュニケーションズシャイニングアークス東京ベイ浦安)中心にチームとしてまとまって決勝の舞台にたどり着くことができたのは、私自身も1年目のチームでしたので、そういう面でも印象深いチームだったと思います」

 

――昨年度から修正していきたいところはありますか。

 「テクニカルな面で言えばやはり最後の帝京大戦でフィジカルの面でやられてしまったところです。やはり明治として多くの方から期待されるのは、FWであったりセットプレー、‶前へ〟と言う言葉通り、そういう部分を尊重されるラグビースタイルだと思います。そこをもう一度追求していく必要があるなと思います」

 

――今年度のチームの雰囲気はいかがですか。

 「昨年度の4年生たちを見ているメンバーたちが最上級生になっているので、ちょっと引いて見てみても、そんなに特徴的には変わらないのかなと思います。やはり今年度も誰かに頼ったり、誰かにすがって状況を打破していくようなチームではないですし、加えてキャプテンに選ばれた石田は本当に自分自身のことに対してストイックに一生懸命取り組める選手ですので、昨年度によく似たチームができるのではないかなとは思っています」

 

――BKは主力だった選手が抜けましたがいかがですか。

 「本当にチームを長く支えてくれた選手たちが卒業して、ともすれば戦力ダウンという見方をされる方もいるかもしれません。ですが、ここは明治のラグビー部の良さで、競争力のある若い選手たちがここで躍動してたくさん出てきてほしいと思っているので、個人的にはすごく楽しみにしています。まだ誰もメンバーは決まっていないので、これから始まる公式戦や夏合宿で競争し続けてよりベストなチョイスができるようにしっかりやっていければと思います」

 

――新入生のリクルートについてはどのように決めましたか。

 「田中澄憲前監督(平10文卒)が関わった部分と私が関わった部分が若干かぶっていますが、大半は田中前監督がリクルートしてきた選手を引き継いでいます。リクルートするときに意識したことは当然いろいろな観点があります。それぞれ選手によってストーリーも違うので、高校の監督さんやたくさんのリクルーターさんにご協力いただいた中で、最終的には選手自身がチームに合って、ラグビーの見える部分だけでなく、ボールを持っていないときの姿勢や、練習態度などを重要視しながらリクルートしました」

 

――春シーズンで意識することを教えてください。

 「チームのプランとしては三つの考え方があって、まずは私が最も大切にしているボールを持っていないときの態度や、倒れてもすぐに立つファイティングスピリット、やられたときに原点に返る姿勢などをまずは大切にしたいと思います。その上に昨年度の‶MEIJI TIME〟というきつい時間の中、フィジカルで上回り続けることを積み上げていきたいです。そして最後に昨年度帝京大にやられてしまったフィジカルの強化。この三段構えの強化プランでチームをつくっていきたいと思っているので、春はまず土台の部分からチェックしていきたいと思います」

 

――今年度はどのような1年にしたいですか

 「来年度100周年を迎える節目の年の99年目のシーズンで、やはり100周年に優勝するというのではなく99年をどれだけチームとして満足いくシーズンを送るかが結果的に世の中の方が注目する100周年につながっていくと思います。目標はもちろん大学日本一です。100周年に向けてもう一度明治の歴史‶前へ〟を次の世代に継承していくチームのビジョンやミッションをラグビーでもラグビー以外でも行って、愛されるチームにしていきたいです」

 

――ありがとうございました。

 

[牛嶋淳太郎、安室帆海]

 

◆神鳥 裕之(かみとり・ひろゆき)平9営卒

2013年度より、リコーブラックラムズ(現リコーブラックラムズ東京)の監督に就任し8年間指揮を執る。2021年6月1日より明大ラグビー部の監督に就任。昨年度は監督1年目でチームを全国大学選手権(以下、選手権)準優勝へと導く。大学時代にはナンバーエイトとして活躍し、大学1、3、4年次に選手権優勝に貢献した。