林原聖真 目指すは全国制覇の立役者

2022.03.30

 新進気鋭の実力者たちを見逃すな!今回は、4月1日発行予定の紙面に載り切らなかったルーキーを、一足先にお届け。第5弾は自転車部、林原聖真選手(令4法入学=倉吉東高)。令和3年度高校総体インターハイ・男子個人ロードレース(以下、インハイ)で見事優勝を果たし、自転車競技歴わずか3年でインハイ1位を勝ち取った期待の新星だ。

 

 元々小学1年生から中学3年生までトライアスロンをしていた林原。水泳、自転車、走りを同時に行うことはいろいろなスポーツがある中でも珍しく、楽しさを感じていた。ただ、その中でも水泳だけは苦手意識を持っていた。というのも水泳だけは競技用プールではなく、自然の中で泳ぐからである。だが、そんな林原に転機が訪れる。中学3年時に父親に自転車の大会に勧められ、出場してみたところその面白さを知る。トライアスロンでの水泳を苦手としていたことにも重なり、高校では自転車競技に転向することを決意する。

 

 簡単な道ではなかった。「(トライアスロンは)水泳と自転車と走ることがある中で、どちらかというと水泳と走ることが重要視される傾向がある」。そのため距離が伸び、駆け引きが多くなり、集団で走るロードレースに最初は戸惑いが多かった。「レベルが全然違う」。集団で走ることに恐怖を感じ、競技に慣れている選手よりも無駄に足を使ってしまい、大事な場面で集団の先頭にいないことも。うまくいかないことが多い中で、もう一つ問題があった。進学した倉吉東高校には自転車部がなかったのだ。学校が終わると自転車部がある高校まで向かい、練習に参加させてもらう毎日。練習場所までは移動時間がかかるため、練習がすでに始まっており、一人で行うこともあった。自転車とトライアスロンの違いにもがき、恵まれた環境ではなかったものの、芽が出ることを信じ続け、ひたむきに努力を重ねる。

 

 「インハイでは自信がなかった」。これまでの県大会や地方ブロックの大会では優勝できず、直前の大会でもいい走りができなかったこともあり、決して自信があったわけではない。だが必死に練習してきた努力は嘘をつかなかった。努力の末手にいれた強靭(きょうじん)な体力は、特に体力を使う局面である登りを得意に変えていく。「自分は動かないと勝てない」。けん制が常にかかったレース展開でうまく集団から逃げ出し、最後の登りで力をふりしぼり相手を抑える。競技歴わずか3年で全国制覇という偉業を成し遂げた。

 

 「積極的にレースを作れる選手になりたい」と成長は止まらない。〝全日本選手権総合優勝〟。今年度もこの目標に向かって突き進む明大自転車部に新たな風が吹く。高校時代は個人で戦ってきたが、大学ではチームとして戦う。「優勝争いに絡めるような走りをして結果を出していきたい」。さらなる偉業を成し遂げるその瞬間は目の前まで迫っている。

 

[小原愛]

 

◆林原 聖真(はやしばら・しょうま)令4法入学、倉吉東高。座右の銘は「凡事徹底」、日常生活の些細なことから競技につながる。170センチ・60キロ。

 

(写真は本人提供)

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