高橋豊 技術と人間性で目指すは大学日本一

 新進気鋭の実力者たちを見逃すな!今回は、4月1日発行予定の紙面に載り切らなかったルーキーを、一足お先にお届け。第3弾はアメリカンフットボール部、高橋豊選手(令4政経入学=佼成学園)。『素直・謙虚・感謝』。これは佼成学園アメリカンフットボール部『ロータス』のスローガンである。来年度明大に入学する高橋はまさにそのスローガンを体現する選手だ。「縁の下の力持ち」と称されるOLの中で、高橋は自身の役割を全うすることを考えてきた。

 

 言わずと知れた名門・佼成学園。高校アメリカンフットボール最高峰の戦いであるクリスマスボウルには、2016年から6年連続で出場し、4度の優勝に輝いている。高橋が初めてクリスマスボウルの舞台に立ったのは2020年。最多優勝を誇る関西学高を相手に接戦を極めた。同点のまま試合時間は残り2秒。両校同時優勝かと思われたその時、QB近田力(桜美林大)が44ydに及ぶロングパスで勝負に出る。このパスがTD(タッチダウン)に繋がり、19―13で佼成学園の劇的優勝が決まった。「最後のプレーで精いっぱいやった」。高橋は勝負が決まる瞬間までOLとしてQBを守り抜き、優勝に貢献したのだった。

 

 OLはディフェンスをブロックし、攻撃の道を切り開くポジションだ。そのため大きな体格と強靭(きょうじん)なパワーは必須。加えて、多様な戦術に対応する力が求められる。「OLは天職」。そう口にする高橋は体重増加を機にTEからOLに転向。現在は183センチ、109キロの恵まれた体格を持つ。さらに戦術に対する理解と試合本番での臨機応変なプレーに長けており、まさにOLに適材適所の選手だ。

 

 しかし高校時代、先輩に囲まれてプレーする中で、その実力差から試合中にパニックに陥ってしまうことも。その中で心の支えになったのが先輩からの叱咤(しった)激励だった。自身が最上級生になると「一緒に出てくれる後輩をどれだけ支えてあげられるか」と、後輩への気遣いを意識するように。高橋自身が後輩として葛藤した経験から、後輩が実力を発揮できるようなチームづくりに尽力した。大学では「同期や年下関係なく、信頼される選手になりたい」という選手像を語った高橋。情に深い人間性を武器に、精神的にもチームの柱となる。

 

 秋季リーグ戦では4位に終わった明大グリフィンズ。来年度の秋季リーグ戦も猛者ぞろいの厳しいブロック編成が発表された。まずは目前に控えた春季オープン戦。強豪からOLに新戦力を迎え、新チームで着実に白星を挙げる。

[春木花穂]

 

◆高橋 豊(たかはし・ゆたか)令4政経入学、佼成学園。好きなアーティストはサンボマスター。183センチ・109キロ。

(写真は本人提供)