(29)冬季国民体育大会事後インタビュー 山隈太一朗

(この取材は2月8日に行われたものです)

 

山隈太一朗(営3=芦屋国際)

――冬季国民体育大会(以下、国体)を終えた感想をお願いします。

 「やっと結果が出たなという感じです。やっと自分が思い描くというか、安定した演技ができたなというところですかね。やっとできたというのはジャンプを全部降りる、もちろん1個FS(フリースケーティング)で失敗してしまったのですが、それを差し引いても他の要素をきっちり降りられた。それはずっと目標にしていたのですがなかなか試合でそろわなくて、今シーズンは練習でプログラムを失敗せずできていたので、それがやっと国体という本番で出せたなという感じです」

 

――SP(ショートプログラム)、FSともに演技後非常に喜んでいる姿がとても印象的でした。

 「SPとFSどちらもそろう演技ができたのは高校3年生の時以来で、大学に入ってからはどちらかができた時はあってもどちらもそろったことはなくて、久しぶりに自分で手応えがあるいい試合ができたという喜びがありました。また、国体というのは自分だけの試合ではなく、相方の辻村くん(辻村岳也・同大)は今年でもう引退で、彼の出来がすごくよかった分、彼の最後の試合を良い形で締めくくるには僕の出来も良くて初めて良い成績になるという試合だったので、そこに関するプレッシャーも自分の中でありました。あとは、最後まで練習の成果を試合で出せずにシーズンを終えるのと、こうして手応えを感じてシーズンを終えるのでは全然違った終わり方になるし、次につながるのは圧倒的に後者の方なので。いろいろなタイプのプレッシャーが自分にかかっていた分、それをはねのけられたと喜びはとても大きかったです。

 点数に関しては200点を目標にしていたのですが、SPで200点に近づけられる点数をここ数年で初めて出せたので、SPが終わったタイミングにFSで132点取れば200点を超えられるなと計算していました。僕は今、昔より少し構成を落として3回転3回転を3回転2回転にしているので、その分130点を超えるのがなかなか難しい中、ドンピシャで132点が出たというのは自分の中でかなりうれしかったです。もちろんパーソナルベストにはまだ10点以上足りないのですが、それでもここ数年の自分の不調を考えるとやっと200点に乗れたなという、そこが本当にうれしくて。点数にしても内容にしても結果にしても全部が自分の欲しかったものが手に入って、もちろん団体で優勝できたらそれが一番良かったのですが、それは他の人の結果もあるので、自分ができることをしっかりできたということで、久しぶりに喜ぶチャンスが来たので思い切り喜びました(笑)」

 

――シーズン最後の大会である国体にはどういう気持ちで臨みましたか。

 「臨み方としては今シーズンずっと変えていなくて。最後だから頑張ろうとか特別な意識はなく、目の前の練習をとにかく一番いいものに、目の前のことに全力という姿勢をずっと貫いてその状態のまま試合に入るという感じなので、特にこの試合だから頑張ろうという感じではなかったです。もちろん国体なので団体戦としてのプレッシャーはありましたが、個人として試合の入り方に何か特別なものを持っていたわけではなく、いつも通りという感じでした」

 

――ご自身の得点や順位に関して何か思うことはありますか。

 「得点はもう少し取れたかもしれませんが、自分がこの3年間やってきた試合を考えれば上出来かなと。200点を超えたということが大事なので特に考えていないです。順位に関しては去年も5位だったらしいのですが、今年はレベルが高かったというか僕が良かったことがあまりなかったので。でも(国体では)僕が良い演技をした後試合を通じてすごくいい流れを作れたなと思うし、光翔(大島光翔・政経1=立教新座)や澄士(森口澄士・木下アカデミー)などの後輩たちはそういった流れに乗って試合に入るのがすごく上手な人たちなので、見事にみんな流れに乗って国体でシーズンベストをバンバン更新していました(笑)。そんなレベルの高さを考えればよく自分が5位で踏みとどまったなというところも感じたし、いきなりSPもFSもパーフェクトにできるほど世の中甘くないので、それを考えると自分のできることができているので、現状の結果に不満は全くないです」

 

――年が明けてから日本学生氷上選手権(以下、インカレ)、国体と2つ大会がありましたが、調子はいかがですか。

 「全日本選手権(以下、全日本)が終わってから練習での安定感が増したなと感じています。全日本が終わって1年間自分を苦しめていたものが解決というかなくなって、心も体もすごく自然な状態というかストレスなくスケートに打ち込めていて。心と体の調子が良くなった分、練習での動きも少し軽くなりました。やること自体は重松直樹先生になってから変わらず同じことをやり続けているので、体の状態が良くなって軽くなった分、実ってきたというとあれですが、すごく質の高い練習ができていて。なおかつそれを安定してできるようになったというのは、インカレの前もすごく(調子が)良かったのですが、インカレが終わってから国体までの2、3週間は特に良かったかなと思います。毎日同じ状態を作って毎日自分を追い込めて、なおかつクオリティの高い練習をできていたので、国体の結果自体もすごく質の高い練習ができていたからこその結果かなと思います」

 

――ありがとうございました。

 

[向井瑠風]