(113)箱根駅伝事後インタビュー⑪/園原健弘総合監督

2022.01.06

 箱根駅伝(以下、箱根)は、残酷だ。わずか26秒に泣きシード権を落とした昨年度。再起を誓って臨んだ今大会だったが、結果は総合14位。またも箱根は明大の前に立ちはだかった。

 

 今回は園原健弘総合監督のインタビューです。(この取材は1月4日に電話で行われたものです)

 

――今回の箱根駅伝を終えて。

 「正直、想定できない結果だったので受け入れがたいというのが率直な感想でしたね。往路の段階からシード権を取れないなと感じていて、多くの皆さんの期待を裏切ったことは心苦しいなと思っています」

 

――原因についてはどうお考えですか。

 「ピーキングが合ってなかったというのはありますね。往路のメンバーがあまりみんないい結果ではなく、流れに乗れないというよりは多くのメンバーが実力を出し切れておらず、ピーキングがズレたというのがありました。復路の選手は単独走になることが多いので、自分のペースをしっかり守るような練習を明大はしていますから、ペースを守る走りはできるので、そこにはまればしっかり走れるんだなという感じです」

 

――今後の競走部の方針について。

 「今の延長線上だと同じことの繰り返しになることが多いと思うので、仕組みや体制などは見直しが必要だと思っています。今のスタッフや能力不足とか怠慢とかは一切ないんですよ。いつも皆ギリギリのところでやってくれているので、一個歯車が狂うと崩れてしまう緊張感というか、綱渡り気味なところでやっているので、そこをもう少し余裕を持てる組織にしたいというのは常々思っていました。そこを今は山本佑樹駅伝監督のパワーでしのいでくれましたけど、山本駅伝監督におんぶに抱っこでは、継続的な結果は出ないでしょうし、周りが仕組みづくりをしっかりしないといけないというのはあります」

 

――他大と比較して、今の明大競走部に足りてないものは何でしょうか。

 「山本駅伝監督の負担は減らせるようにスタッフのサポート体制は改善したいですね。コーチも含めて基本ボランティアでやってもらっているので、ボランティアレベルで対応するのは無理な部分もありますから、そこを専任できるような、フィジカルトレーニングとかメディカルトレーニングとかも体系的というよりは学生に任せっぱなしみたいな部分があったので、そのあたりも今回の箱根に結びついているのかなという面はありますね」

 

――総合タイム的にはそこまで悪くないと思われます。

 「スタッフが駅伝を見ていて思ったのは乗り遅れたなというところなんですよね、今の駅伝に。シューズが新しくなった時にはかなり対応できて、その時は5000メートルや1万メートルのタイムは良くなったのですが、駅伝の走りへの対応は先越されたというのがあるので。往路、復路でレース展開も全然違うので、レースの組み立てや考え方も見直さないといけないなと山本駅伝監督も口にしていました。早いタイムを出しても14位というのは、他大がしっかり対応していて、うちが乗り遅れたのだなと思っています」

 

――これまで支えてくれた4年生に声をかけるとするなら。

 「ミーティングでも話しましたが、箱根はすごく注目される大会ですし、マスコミも箱根をクローズアップしてくれますけど、箱根のマジックみたいなところに惑わされないで、自分の人生をしっかり歩んでほしいなと思っています。箱根では青学大などにコテンパンに負けましたけど、何が勝者かと考えた時、ここで得るものも絶対にあるので、そこを人生の糧にして、大きな花を咲かしてもらえる人生にしてほしいですし、そういう4年間を送ってきたと思うので、シード圏を取れなかったという結果を悲観することなく、それ以上のものをつかんで卒業してくれると思っているので、競技を続ける人間も、社会で頑張る人間にも期待しています」

 

――橋本大輝選手(営4=須磨学園)のゴール時の笑顔がとても印象的でした。

 「橋本大は上り坂のところ、競技が楽しくなってきたところでレースを迎えられた感じがあるので、そういう場面で皆がレースに臨めればなと思いますね。4年生になって力が伸びてきたのでレースに対してもワクワクした気持ちで臨めたと思うんです。鈴木(聖人・政経4=水城)や手嶋(杏丞・情コミ4=宮崎日大)は2、3年生のところでピークがきて、そこからは期待に応える走り、そんな守りに入った走りを我々も含めて求めてしまったので、橋本大のような競技人生を過ごすというのは、とても良い見本になってくれました」

 

――最後に応援してくださった方々に一言お願いします。

 「応援してくださった方々には感謝しかないです。皆さんのお声は選手の力になっていますし、我々の力にもなっています。皆さんの期待に応えたいというのはすごくあります。自分たちのために頑張るのはもちろんですが、皆さんが喜んでくれるというのはモチベーションになりますから。そんな中でも我々が情けないなと思っているのは、期待してくれたことに応えられない不甲斐なさ。それも2年続けて。ミーティングでも話しましたが、期待されたことに応えられるチームに、人間になろうよと。期待されたことを期待された通りにやってくれるのは信頼感が生まれます。山本駅伝監督も話していましたが、これまで我々が持っていた視点で間違っているところもあるでしょうし、そこは謙虚な気持ちで他の方のご意見も聞いたり、山本駅伝監督も『他大の監督の話もこれからどんどん聞いていきます』と言っていましたし、そうやって誤った判断をしないように、スタッフ自身が変革していかないといけません。選手は本当に頑張ってくれていて、選手に責める部分は何一つなく、良くやってくれました。結果が出せる努力をさせてあげたいし、彼らもそうじゃないとつらいはずです。そういった意味で私自身、大いに反省しないといけない2日間でした」

 

――ありがとうございました。

 

[金内英大]