
(107)箱根駅伝事後インタビュー⑤/手嶋杏丞
箱根駅伝(以下、箱根)は、残酷だ。わずか26秒に泣きシード権を落とした昨年度。再起を誓って臨んだ今大会だったが、結果は総合14位。またも箱根は明大の前に立ちはだかった。今回は、悔しさをにじませる選手たちのコメントをお届けする。
今回は1区を走った手嶋杏丞(情コミ4=宮崎日大)のインタビューです。(この取材は1月2日に電話で行われたものです)
――最後の箱根が終わってみての心境はいかがですか。
「箱根が終わって4年間あっという間に終わったなというのが感想です。本当にうまくいかないことばかりでした。今回も自分の求める結果ではなかったのですが、最後は自分なりに出し切ってゴールできたので4年間の思いを走りで表せたかなと自分の中では思います」
――吉居選手(中大)が序盤から先頭に行ってしまったと思いますが、それは見ていてどうでしたか。
「吉居のペースは結構速くてあれに付いて行かずに、途中で吉居は諦めて第2集団で行こうという感じで途中から切り替えました」
――六郷橋の辺りから遅れ始めたのかなというふうに見えたのですが、そこには要因はありますか。
「もう単純に実力不足というのを感じてそこに対応できる力がなかったというのが思ったことです」
――直前の取材ではリミッターを外していきたいと話されていましたが、いかがでしたか。
「最初はスタートした瞬間スローでしたが、そこから自分が行こうと思っていました。吉居も出て結局(吉居に)付いたという感じだったのですが、リミッターを外そうという意識は自分の中ではあって、ガンガン攻めようと思ってはいました」
――自分自身の走りは満足できる結果でしたか。
「結果は正直良くはなくて悔しいですが、とりあえず自分の中では頑張ったなという感じです」
――直前までケガや調子が上がっていないという話でしたが、今日はどのような状態で臨まれましたか。
「ケガは治って、箱根10日前にはポイント練習を離れてしまって、そういう状況で佑樹さん(山本駅伝監督)の中でも不安があったかと思います。しかし佑樹さんが『調子が大丈夫か』とかいろいろ言ってくれて自分の中でも吹っ切れて箱根は絶対走ろうという気持ちに変わって調子も少しずつ戻ってきた感覚はありました。直前はケガとか調子の悪いというのは関係なく自分の中では最高の、ここ最近では一番いい状態を箱根には持っていけたのかなと思っています」
――チーム全体の結果についてはどう受け止めていますか。
「なかなか流れに乗れず、みんな個人の結果も悔しい結果になっていると思います。調整もうまくいっていった中でこういう結果なので、みんな何がいけなかったのだろうと今はいろいろ考えています。自分も何がいけなかったのかいまだに分からなくてこの結果に対して今は何が悪かったのかは何も思い付かないという感じで復路の選手に頑張ってほしいという気持ちです」
――チーム全体でも万全の状態で挑んだ箱根でしたか。
「そうですね。練習もみんな余裕を持ってこなして、いい内容の質の高い練習をこなせていました。自分以外は全員余裕持って走っていたので、何でだろうという感じです」
――1区が手嶋さんで2区が鈴木聖人駅伝主将(政経4=水城)で、そこでの襷渡しはいかがでしたか。
「やはり4年間一緒に頑張ってきて、ライバルだと自分は思っていてそういう選手と襷をつなぐので、レース前は鈴木にいい位置で渡してあげたいという気持ちでスタートしたという感じです。渡したときも何とも言えない感じでした。すみません、うまく言葉が出なくて。いろいろな感情があってこの位置で渡してしまった申し訳なさと頑張ってほしいとかいろんな気持ちがこもった襷リレーだったかなと思います」
――ありがとうございました。
[出口千乃]
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