(78)宮崎日大高・藤井周一監督インタビュー

2021.12.18

 今年度、駅伝副将としてチームを引っ張ってきた手嶋杏丞(情コミ4=宮崎日大)。今回は宮崎日大高時代に手嶋を指導した藤井周一監督にお話を伺った。(この取材は11月25日にオンラインで行われたものです)

 

――手嶋選手は藤井監督のことを恩師と話しています。 

  「部活動の顧問だけでなくて、3年間学級担任でもありました。朝練習から学校生活からほとんど一日中一緒にいたので関わりは深かったと思います」 

 

――高校入学時から成長していった姿を見て、いかがでしたか。

  「うちの部の方針が『積極果敢』という言葉を掲げています。何事にも積極的に攻める姿勢を持ってやっていこうとよく話していました。練習も積極的に力のある子たちに付いていました。ただ力がないので後半失速することが結構多かったですが、そういったことを繰り返してきた中で力が付いたと思います」 

 

――藤井監督に「速いだけでなく強くなれ」と言われて過ごしたと聞きましたが、そこは指導をする上で大事にしていますか。 

 「特に3年次は彼が不動のエースだったので、『エースが負けるということはチームが負けることを意味するんだぞ』と。だからいくら記録を持っていても、いくら実績があっても、大事なところで勝てないような選手では上にはいけないし、そういう速さだけじゃなくて強さがある選手にならなければいけないという話はよくしました。 ただそこは私の一番憧れだった山本佑樹駅伝監督がそういう選手だったので、そういう選手を目指しなさいとよく話していました」 

 

――今の明大もそのような速いだけでなく強いというのをテーマにしていて、つながっていると感じました。

 「西さん(弘美スーパーバイザー)と佑樹さんとはよく連絡をこまめに取っています。お互い指導者として大事な、大きな場面で勝ち切れるような強さを身に付けるためにはどうだ、こうだという話をしているからですかね。そういった意味では、同じようなタイミングで同じような壁にぶつかったかなと勝手に私としては思います」

 

――明大への進学は何か助言はされたのですか。 

  「彼は色んな大学から誘いがあったので、とりあえずお誘いを頂いた大学は全て話を聞いて最終的に本人で話しなさいということを言いました」 

 

――最近、宮崎日大高から明大に進学する選手が多い印象を受けます。

  「特に私が明治大学を勧めているというわけではないんですけれども、私は西さんと佑樹さんに優勝してもらいたいという気持ちが強かったです。僕は西さんを箱根駅伝優勝監督にするつもりで日本大学に入ったので、それができなかったことで、教え子がそういうふうに導いてもらえればうれしいなという気持ちはありますね」 

 

――積極的に前で攻めるのが手嶋選手のいいところでしたか。 

 「そうですね。彼には『いいところは変えなくていい。いずれ最後まで持つようになるから。変に前半セーブしたり後ろから行ったりせずに、おまえの良さは思い切ってリミッターを外していけるところだから。それはなくさないようにしなければいけないよ』という話を3年間し続けてきました」

 

――連絡は今でも取られていますか。 

 「こまめに取っていますね。卒業の時に『大きな結果が出るまでは連絡してくるな』と言いましたが、小さなことでも連絡してきます。今、甲斐涼介(情コミ1=宮崎日大)と一緒の部屋だと思うんですよね。(前期は部屋が一緒だったと聞きました。)前半ですかね。一緒の部屋だったということで、何の電話だったんだろうという電話はちょくちょくありました(笑)」 

 

――甲斐選手と仲が良いなというのは普段の取材でも伝わってきます。 

 「手嶋もそうですけど甲斐は高校駅伝でも立派な成績を収めていて非常に将来性のある子の1人だと思っています。手嶋に1年間しか一緒にいられないから1年間の中で教えられることは全部教えてから卒業していってくれという話をしています。できるだけ近くにいていろいろなことを伝えていってくれというのは手嶋にはお願いしました」 

 

――手嶋選手が箱根に出るにあたっての応援の言葉を頂けますか。 

 「先ほどもお話しましたけど西さん、佑樹さん、そして学生時代にいろいろ連絡を頂いてお世話になった山本豪さんの3人に私はものすごくお世話になりました。ただ何の恩返しもせずに宮崎の方に来てしまったので私の教え子の手嶋が3人に対して遠くはありますけれども、何か恩返しできるような走りをしてもらいたいです。大手町で西さんの胴上げをぜひテレビからですけれども見たいと思っています。何とか手嶋にそのように導いてもらえたらなと思います」 

 

――ありがとうございました。

 

[出口千乃]

 

◆藤井 周一(ふじい・しゅういち)日大出身。大学時代は西弘美スーパーバイザーの指導を受けた。大学卒業後は日清食品グループで競技を続け、現在は宮崎日大高男子駅伝部の監督を務める

 

藤井監督へのインタビュー記事は12月21日発行の明大スポーツ第516号(箱根駅伝特集号)にも掲載されています。

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第98回箱根駅伝まであと、15日。