
(47)100周年を迎えた明大の最後の戦いが幕を開ける/インカレ展望
石井組の集大成を見せつける。12月8日より開幕する全日本大学選手権大会(以下インカレ)。今季は未だ王座をつかみ取れていない明大。創部100周年の節目の年に戴冠を。この大会に懸ける思いは計り知れない。関東第3代表として臨む明大の戦いは、12月11日、1回戦で高知大を下した宮崎産経大との2回戦から幕を開ける。悲願のタイトル獲得へ、負けられない戦いの火ぶたが切られようとしている。
今年度で創部100周年を迎えた明大サッカー部。そんな明大が臨む今季最後の大会がインカレだ。昨年度は感染症の影響で例年であれば年2回行われる全国大会も代替大会としての#atarimaeni CUPが行われるのみとなった。2年ぶりに開催される今大会では各地域のリーグ戦を上位で終えた24チームが全国の頂点を目指し戦う。
厳しいシーズンを過ごしてきた。夏の「アミノバイタル®」カップでは2回戦で敗退し、5大会連続で決勝へと駒を進めていた夏の全国大会・総理大臣杯全日本大学トーナメントへの出場はかなわず。3連覇が懸かったリーグ戦では、終盤まで首位につけるも上位対決を立て続けに落とし3位という結果に。リーグ戦ではクリーンシートが22試合中わずか3試合など守備面で課題が残るシーズンとなった。
明大の代名詞でもある〝いい守備からいい攻撃〟を体現するために頼もしい男が帰ってくる。4年で副将の稲見哲行(文4=矢板中央)だ。「リーグ戦で出場できなかった悔しさをぶつけたい」(稲見)。豊富な運動量と球際の強さでピンチの芽を摘み取るMFの復帰はチームに安定感をもたらすだろう。2年生の活躍が注目されたこれまでのシーズンだったが、思えば苦しみながらも最後まで優勝戦線に食らいついたチームの裏には、いつでも4年生の存在があった。ディフェンスリーダーとしてチームをまとめ上げるDF石井優輝主将(政経4=昌平)。リーグ戦で13得点を挙げ、名実ともにエースへ成長したFW藤原悠汰(政経4=広島皆実)。対人の強さ、精度の高い右足を併せ持ち、明治の2番としての系譜を受け継ぐDF岡庭愁人(政経4=FC東京U―18)。プロ入りが内定しているMF杉浦文哉(政経4=名古屋グランパスU―18)、DF加藤蓮(営4=北海道コンサドーレ札幌U―18)など、チームの中心としてチームをけん引している。そんな4年生は苦しい4年間を過ごしてきた。二つ上の代は大学史上初の5冠を成し遂げ、一つ上の代は12人がプロへと進む快挙を達成。そんな先輩たちを前に出場機会が限られ、思ったような大学生活を送れなかった。「苦しいことのほうが多かった」(石井)。それでも苦しみもがきながら着実に成長を遂げ、今年度は〝象徴〟としての役割をしっかりと全うしている。
泣いても笑っても最後の大会。「結果という形でお世話になった人たちに恩返ししたい」(藤原)。敗戦は4年生の引退を意味する一発勝負のトーナメント戦だ。「まずは失点しないというところにフォーカスしたい」(杉浦)。100周年にタイトルで花を添えるため。紫紺の戦士たちはいる〝邁新〟する。
[井澤怜音]
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