(89)明早戦直前 福田健太選手特別インタビュー

2021.12.04

 在学時に主将として22年ぶりの大学選手権(以下、選手権)優勝を成し遂げた福田健太選手(平31法卒・現トヨタヴェルブリッツ)。飯沼蓮主将(営4=日川)が「尊敬している」という存在だ。福田選手に明大ラグビー部時代でのことやプロとして活躍している現在のことについて伺った。(この取材は11月19日に行われたものです)

 

――在学時に主将としてのふるまいで意識していたことを教えてください。

 「スクラムハーフは一番走るポジションなので、フィットネスやウエートトレーニングなどの練習の時に、常に全力でやることを意識していました。当時、田中(澄憲・平10文卒)監督からは態度のことをすごく言われていたので、寮での過ごし方など、僕が言うからにはしっかりしないと下級生に響かないと思ったので、遅刻しないことや、自分が責任を持って行動することを心掛けていました」

 

――大学当時、明早戦にはやはり特別な思いがありましたか。

 「特別な思い入れしかなかったです。実際グラウンドに立ってみると、立った人にしか分からない緊張感や責任をすごく感じます。なので、早大に負けたときは他のチームに負けたときよりも悔しかったですし、勝ったときは何よりもうれしかったです。早稲田だけには負けたくないという思いはすごくありました。特に大学3年生の時の早明戦は印象に残っています。2年生で始めて出場したときは後半からだったのですが、最後逆転負けしてしまい、早稲田のファンの方がすごく盛り上がっていて、どこにも感情を向けられないほど悔しい思いをしました。大学3年生で絶対にリベンジするという思いがあった早明戦で、自分自身すごくいい準備ができて、自分自身もベストに近いパフォーマンスで最後勝つことができたので、思い入れに残っています」

 

――選手権優勝を成し遂げた年の転機となった試合を教えてください。

 「大学選手権になってから僕らは成長したと思います。どちらかというと今の蓮たちほど対抗戦の成績は良くありませんでした。今だから言えますが、対抗戦4位という結果があったからこそ僕らは一丸となって選手権にチーム全体で勝つぞという意識が芽生えたと思います。なので、早明戦で負けたことによって本来は勝って反省するのが一番いいですが、僕らは負けたことでチームがまとまって立命館大戦でいいスタートを切れたのが優勝につながったと思います」

 

――学生とプロの違いは何ですか。

 「コミュニケーションの部分です。フィジカル面などすべての面で違います。あとは大学生の時より外国人も多いのでそういった部分ではコミュニケーションの部分やラグビーの考え方が全然違うと思いました。もちろんフィジカルの面でも全然違うのですが、僕自身最初プロの壁にぶち当たったと思います。今は3年目になったのでチームとしてもチームの攻め方や監督の考え方を自分でも理解しているので、今年は調子いい段階できています」

 

――ラグビーしている中で楽しい瞬間を教えてください。

 「今の大学生の例でいうと、帝京大や早大、慶大などの強いチームに勝ったときです。試合をやる前から勝てるか分からない相手、レベルが同じくらいの相手に勝った時が一番うれしいです。たくさん準備をして相手を研究して、メンタルの面も含めたすべての面でいい準備ができたほうが勝つと思うので、格上の相手に勝った瞬間が一番気持ちいいです」

 

――プレーをしているうえで一番大切にしていることを教えてください。

 「まずは楽しむことです。やらされてラグビーをしているわけではなく、自分が好きでやっているので変にプレッシャーなどを感じないようにしています。今ラグビーをやっている人たちも、結果を追い求めなければならない場面もあると思いますが、やらされているというよりも好きだからこそやっていると思います。やはり楽しそうにやっていたらいいプレーもできると思うので、まずは自分自身がどんな状況でも楽しむことを忘れないようにしたいと思います」

 

――今の目標を教えてください。

 「短期的な目標としては1月から新しいリーグが始まるので、そこで開幕戦メンバーに入ることと監督に信頼されてコンスタントに試合に出続けることです。最終的にはワールドカップメンバーに入ることです。そのためにまずは開幕戦メンバー入りをターゲットにやっていきたいと思います」

 

――ありがとうございました。

 

[ラグビー担当一同]

 

◆福田 健太(ふくだ・けんた)平31法卒。現トヨタヴェルブリッツ所属。

 ラグビーをする原動力は上達にゴールがないこととラグビーが好きな気持ち。「2、3日休むと体が早くラグビーをしたいと思えるぐらいラグビーが好きです」。福田選手のラグビー愛がとても伝わってきた。