
(38)インカレ直前インタビュー① 4年生マネジャー
石井組の集大成を見せつける。12月8日より開幕する全日本大学選手権大会(以下インカレ)。今季はいまだ王座をつかみ取れていない明大。創部100周年の節目の年に戴冠を。この大会に懸ける思いは計り知れない。関東第3代表として臨む明大の戦いは、12月11日、高知大と宮崎産経大の勝者との2回戦から幕を開ける。悲願のタイトル獲得へ、負けられない戦いの火ぶたが切られようとしている。
今回はマネジャー後藤大輔(商4=愛知県立千種)、今村彩乃(理工4=カリタス女子)、野島風菜(政経4=明大明治)のインタビューをお届けします。
後藤マネジャー
――マネジャーの立場から今シーズンを振り返っていかがですか。
「4年生はみんな同じことを言うと思うのですが、正直リーグ戦でここまで優勝争いに食い込めるとは思っていませんでした。自分も学生幹事マネジャーとしてできることを探し続けて、死に物狂いで全員がやってきた結果が、優勝争いに加われた要因の一つかなと思います。優勝で終わりたかったというのが本音ですが、予想より良かったというのが正直なところです」
――4年間やってきて、たどり着いたマネジャー像を教えてください。
「自分は現在、学連の幹事長として動いているので、その中で明治を客観的に見ることを大切にしています。また、選手が悩んだり苦しそうにしている時に声を掛けることは大事にしています。マネジャーにしかできない声掛けを意識しながらも、サッカーをやっていた自分だからこそ話せることもあるので、そこは大事にしています」
――マネジャーとして活動する原動力を教えてください。
「選手が毎日死ぬ気で切磋琢磨(せっさたくま)している姿は刺激になります。自分は練習には行けないため明治に貢献できているのかと悩む毎日です。今、自分がどれだけ頑張っても選手には伝わりづらい状況ではあるのですが(チームメイトは)『大輔が頑張ってくれている』ということは信じてくれています。そこに応え、自分の立場の中で頑張ることが明治の信念でもあるので、選手の頑張りが力になります」
――今は全学年に男子マネジャーがいますが、その先陣を切って取り組んできた立場だからこそ残していきたいことはありますか。
「今はどの学年にも男子が入ってくれていますが、それは自分が頑張ってきたものが形として表れたのだと思っています。マネジャーの後輩が入部する度に言っているのは、自分にしかできないものを明治に還元してほしいということです。サッカーの分析、選手への声掛けなど、自分にしかできないことを探して、追い求めてほしいということを常に言っています。男子マネジャーだからこそできること、女子マネジャーだからこそできることがあると思いますし、その中で自分の長所を4年間模索し、自分にしかできないことをチームに還元してほしいです。そうすることでおのずと貢献することになると思いますし、自分の足跡を残せると思うので、そういうことを後輩には実現してほしいです」
今村マネジャー
――今年度は昨年度までと比べ総合力で劣っていると言われ続けてきましたが、1年間を振り返っていかがですか。
「1年生の時から今の代はトップチームに上がってくる選手が現れることが遅く、前評判はかなり厳しくて、そう言われるだけの要因が今まであったと思います。その中でもリーグ戦優勝や三冠など目標としていて、本当にリーグ戦では最後の最後まで優勝争いをできたのはよく頑張ったなという思いがあります」
――入部当初にはマネジャーにとって選手は「第一に考えなければいけない存在」だとおっしゃっていましたが、今改めて考えると選手はどのような存在ですか。
「1年生の時にそう言っていたということは、『一番に考えなければいけない』と意識的に思っていたからだと思いますが、今は選手のことを一番に考えるのが当たり前で意識しなくなったという感じです。変わってはいませんが、もっと仲間意識が私の中では大きくなって、近い存在になったと思います」
――同期の2人のマネジャーにはどのような思いがありますか。
「後藤は学連の仕事をしているので、良くも悪くも線を引いているというか、違った部分での信頼を置いています。熱量を持って部活に励んでいて、大輔が頑張っているから私も頑張らなければと思わされるような存在です。風菜は細やかで優しくて、4年間で本当に信頼できるようになりました。私が何か抜けていても、彼女なら助けてくれるなというような信頼はすごく置いています」
――栗田監督の言葉の中で印象に残っているものはありますか。
「先日のIリーグのチャンピオンシップ、拓大との3位決定戦の前に『明治の財産はBの選手たちだ』という話をしていて、その時私はベンチに入らせていただいていたのですが、その言葉を聞いて本当にそうだなと思いました。どれほどAチームが強くて、リーグ戦に強いチームでも、結局見えないところで試合に出られない選手がどれだけ頑張っているかというのはやはり明治が日本一だなと思って、それを実際言葉にして選手に伝えて鼓舞している言葉は心に残っています。私は選手ではないですけど、見えないところで頑張るというのはマネジャーにも通ずるところがあるので『今日の試合とにかく頑張ろう』とその時は思いました」
――後輩たちにはどのような言葉をかけたいですか。
「3年生は残り1年なので嫌でも頑張ると思いますが、最後だからという理由で残り1年頑張っても100パーセントは出せないと思うので、毎年本当に覚悟して頑張った方が良いよということは伝えたいです。大学サッカーは4年間しかないので、『自分たちの代で頑張ればいいや』という気持ちが少しでもあると、4年生になった時も100パーセント頑張り切れないと思います。1分1秒無駄にせず、覚悟を持って頑張ってほしいと思います」
野島マネジャー
――4年間を振り返っていかがですか。
「私は本当に選手たちに『ありがとう』と伝えたいなと思っています。日本一の景色や、リーグ戦で優勝するという素晴らしい景色を1年生の頃から何度も見せてくれたということももちろん理由の一つです。ですがそれ以上に私たちマネジャーは一番近くで選手を見ているからこそ、日々のひたむきな頑張りが原動力になっています。ケガをしている選手が試合に出ることができるようになったり、今までセカンドチームでもがいていた選手がトップチームに上がることができたりするなど、一つ一つの小さな瞬間を見ることができたのがとてもうれしいことでした。そういった姿を見せてくれた選手たちに対して感謝していますし、4年間マネジャーをやってきて良かったなと素直に感じています」
――マネジャーとして活動していく中で、理想としていたマネジャー像のようなものはありましたか。
「明治大学体育会サッカー部は、どこの大学さんよりも全員が明治のために何ができるのかを考えて全力を尽くすというマインドがすごいと思っていました。だからこそそれを支える私たちも常に選手と同じ気持ちで、チームを勝たせるために何ができるのかを常に考え続けていました。マネジャーの仕事は正解がないものだからこそ、先を読んで広い視野を持って考える難しい仕事でした。そこで自分たちで活動しながら正解を見つけ出していきました。日本一の組織に見合うマネジャーになるために努力し続けていたかなと思います」
――栗田大輔監督への思いをお願いします。
「私は栗田監督と出会って、一つ一つの言葉の重みや、選手一人一人と向き合う熱い気持ちに感動しました。こういう監督がいる組織で4年間活動できたということは、自分の人生の糧になると思います。栗田監督は監督としてだけではなく、会社員として練習の後に会社に行っているのですが、私たちよりもハードな生活の中で真摯(しんし)に向き合ってくれています。だからこそ私たちも監督やスタッフのためにも、結果を残したいと思っています。人間として栗田監督を尊敬しています」
――同期への思いもお願いします。
「私たちの代は1年生の時から思うようにいかず、先輩や後輩が活躍している中でもがいている期間がすごく長かったです。だからこそ最後のインカレはみんなのキラキラの笑顔を見たいなと思っています。みんなが毎日朝の6時からボールを追いかけている姿を4年間見ていたので、そういった努力が報われてほしいなと思います。私はこの代のマネジャーになることができて良かったですしうれしいです」
――後藤さんや今村さんに対してはいかがですか。
「同期のマネジャーは本当に大切な存在です。何かあれば同期に相談したり話し合ったりして、この2人の存在があったからこそ4年間やってこられたと思います。後藤は、今は学連が中心になっているのでなかなかグラウンドで会うことはないのですが、学連の幹事長として試合の際にみんなを引っ張っている姿を見ています。選手の頑張りを近くで見ているからこそ、私ももっとマネジャーとして成長しなければならないと強く感じていました。今村に関しては、大切な女子マネジャーとしてお互い辛いことを言い合ったりとか、今村の言葉に救われたりもしました。一緒に4年間やってこられて良かったと思います」
――インカレに向けて、マネジャーとしての意気込みをお願いします。
「私たち4年生にとっては最後の大会でもありますし、最後は悔いなく終わりたいと思います。悔いなくと言うと優勝という結果になってくるとは思うのですが、その中で選手たちのやり切った姿を見ることができたらいいなと思っています。私たちマネジャーも選手と同じ気持ちで戦っていますし、日本一の明治大学体育会サッカー部になれるよう、必死にもがきながら私たちにできることを探していきたいと思います。私は絶対に優勝できると信じているので、選手、マネジャー、スタッフの皆さん、そして応援してくださる方々とともに日本一をつかみ取って、笑顔で終わりたいです」
――ありがとうございました。
[新津颯太朗]
◆後藤大輔(ごとう・だいすけ)商4、愛知県立千種
♥今村彩乃(いまむら・あやの)理工4、カリタス女子
♥野島風菜(のじま・ふうな)政経4、明大明治
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