(75)明早戦直前 早大突撃インタビュー! 大田尾竜彦監督「カギを握っているのはスクラム」

2021.11.26

 本連載では早大監督、注目選手のインタビューを全3回にわたってお届けする。第3回は大田尾竜彦監督。現役時代にはスタンドオフとして活躍し、ヤマハ発動機ジュビロ(現静岡ブルーレヴズ)でトップリーグ通算150試合以上に出場。引退後はヤマハ発動機ジュビロでコーチを務め、今年度より早大ラグビー部の監督を務めている。新監督に今年度のチームや明早戦の思いを伺った。(この取材は11月10日にオンラインで行われたものです)。

 

――今年度は選手の入れ替えが激しい印象があります。

 「いろいろな選手が赤黒を着ましたが、その時々で調子のいい選手が変わるので、五つの判断項目で見ています。五つのポイントは、我々がセレクションポリシーと呼んでいるところです。戦術理解度、それに対する実行力、規律を守れる反則の少なさ、プレーの一貫性、今年度のチームテーマであるの五つのハングリーさを重要視して赤黒を目指してもらっています」

 

――社会人を指導されてきて、大学生を指導しています。社会人と大学生を比べて違う点はありますか。

 「一貫性のスキルが社会人はあるので、保てる選手は非常に高い位置で保てます。大学生はメンタル的な要素で、受けに回ってしまったり、プレーで発揮できない場面もあります。ですが逆にメンタル的にいい状態でプレーすると、ものすごい力を発揮するので、そこが違うと感じています。通年でやっていますが、どういったラグビー選手になりたいか、どういった姿を後輩に見せたいか、4年生をどのように送り出したいか、そういった話をよくしています。なりたい自分になっていけよと話しています」

 

――昨年度の早大に足りなかったことはありますか。

 「アタック全体では少し工夫が足りないなと思っていました。勢いはありますが、そこの中に表と裏を使えているか、ランニングコースも素直すぎる、そういったことは感じました。BKとしてはFWが劣勢になったときに、BKも受けてディフェンスしてしまうので、そこで前に出られたらいいなと思って見ていました」

 

――春から接点、ブレークダウンの強化に取り組んでいますが、手応えはいかがですか。

 「よくやっているかなと思います。そこで要は100%勝つ、100%負けるというのとは絶対にない世界です。その中で安定したブレークダウンの世界では戦えていると感じています。ただまだまだ激しさは足りないです」

 

――今年度は1年生の活躍が目立ちます。

 「帝京大戦は亀山(昇太郎・スポ1=茗溪学園)が外れましたが、ここまでの3人の活躍は頼もしいと思います。亀山はスクラムにおける体の強さとディフェンスを含んだフィールドプレーでのワークレートの高さが彼の武器です。佐藤(健次・スポ1=桐蔭学園)はナンバーエイトが持っているべきトータルフットボーラー的な、いろいろなプレーができること。あとはボールを取って前に出られるので評価しています。宮尾(昌典・スポ1=京都成章)はゲームをつくる能力に長けていて、あとは得点への嗅覚を評価していきます」

 

――明大とは、今年度の春と夏にそれぞれ対戦していますが、振り返っていかがでしょうか。

 「あの時のチームと今の明大は別物だと思います。一人一人の能力が高くてなおかつ非常にトレーニングされているチームなので、ポテンシャルがあるチームだと思っています」

 

――注目している選手はいらっしゃいますか。

 「いろいろな選手がいますが、やはり飯沼(蓮・営4=日川)キャプテンかなと思います。ゲームのテンポが他のチームと違いますし、そこをつくっているのはブレークダウンと飯沼くんのさばきです。非常に落ち着いていますし、雲山(弘貴・政経4=報徳学園)君とのコミュニケーションは社会人を見ているような間合いで行っていて、非常に成熟されたプレーヤーだと思っています」

 

――現役時代の明早戦を振り返っていかがですか。

 「僕が1年次の早明戦で、非常に劣勢で、慶大と帝京大に負けていて2敗で早明戦でした。その時も明大は戦力的には充実していて、劣勢と予想がされていましたが、4年生たちが非常に力を発揮しているのを見て、これが早明戦だと感じました。怒られてしまうかもしれないですが、昔の明大は今のようなチームカラーではなかったです(笑)。ふわっとしたような試合をしていて、早明戦になると本当にスイッチが入って本来持っている選手の力のイメージがあります。物すごい気持ちで試合に臨んでいると感じました」

 

――今年度の明早戦でカギを握るのはどこになりますか。展望を教えてください。

 「やはりスクラムです。スクラムとモールでしょうね。22メートルに入ったときのスコアの高さが、明大は筑波大戦から大きく変わりました。これまでも点は取れていましたが、思ったような形では取れていなかったと思います。筑波大戦では非常に自分たちのやりたいことをやっているように思います。その点でカギを握っているのは、スクラムです。スクラムで相手からペナルティーを取って、22メートルに入ってくるというパターンを一つ持っています」

 

――最後に意気込みをお願いします。

 「伝統の一戦で、ここで大きな成長を得るために、全身全霊を懸けて勝ちにいくということにこだわりたいなと思います」

――ありがとうございました。

[田中佑太]

 

◆大田尾 竜彦(おおたお・たつひこ)

「就任当初から私の方針として、発信力を強くしていきたい思いがある」。例年よりも広報活動に力を入れている早大ラグビー部。早稲田スポーツと協力して、情報発信を高めている。