
(60)~playback~ 野口裕太「アクションを起こせるようになった」
「強い明治を取り戻す」。新体制発足時、飯沼蓮主将(営4=日川)はスローガンに込める意味について言及した。3連覇の懸かる関東大学対抗戦、そして日本一奪還に燃える全国大学選手権へ。紆余曲折を経て迎える最後のシーズン。4年生に明大での4年間についてとラストシーズンへの意気込みを伺いました。
第11回は野口裕太(法4=明大中野)のインタビューをお送りします。(この取材は10月21日に行われたものです)
――明大ラグビー部に入った理由を教えてください。
「付属の明大中野高から進学するような形で明治大学に進学したのですが、僕自身中学からラグビーをやっていて、明治大学のラグビー部が強くてレベルの高い集団ということを知っていました。ずっと目指してきた場所でしたし、自分が6年間やってきたことが大学4年間でどこまで通用するか確かめたくて入部しました」
――明大ラグビー部ではどのようなことを学びましたか。
「やはりレベルの高い集団ということもあり、モチベーションの維持は難しいですが、その中でレベルの高い仲間と触れ合うことで自分自身そういう状況の中でモチベーションを高く持って取り組む大切さを学びました」
――寮生活での思い出はありますか。
「仕方のないことですが、コロナ期間になってからは部のルールも厳しくなり、外部接触、外出禁止などルールで縛られることが多くなりました。その中でも寮の部屋のメンバーであったり、同期と部屋で飲み会をしたり、外食に行くということはできました。何が一番印象に残っているとかではなく、日常の生活が本来1人になりがちな今の状況の中で誰かといることができることが寮生活のいいところだと思いますし、楽しかったところです」
――一番記憶に残っている試合はどの試合ですか。
「大学2年次の東海大とのCチームの練習試合です。その時のコンディションが良く、武器であるタックルが何発もさく裂して、その結果ターンオーバーというのもあったので、一番自分を出せた試合かなと思います」
――目標にしていた先輩はいましたか。
「年代は被っていませんが、廣井雅宇(平30文卒・現あいおいニッセイ同和損保タフウルブズ)さんです。明大中野の出身の先輩で、ポジションも同じで身長も僕と同様に小さいのですが、その中でも果敢にタックルにいき、ボールキャリーで前に出たりされていたので、プレーにおいても日常生活においても非常に尊敬できる人だと思っていました」
――4年生はどのような学年ですか。
「1年生、2年生の頃は他学年と比べて大人しく、良くも悪くも落ち着いている代だと言われていました。そういう部分で仲間に対してあまり干渉しないことが多かったですが、4年生になってこのままではいけない、相互に変わっていく必要があるということで、周りに干渉するようになりました。今は指摘し指摘されるという関係ができているいい関係の4年生なのかなと思います」
――改めて野口選手にとって〝MEIJI PRIDE〟はどういった意味がありますか。
「僕の中での〝MEIJI PRIDE〟は今までの明治大学の歴史や文化を懸けたプライドという面もあると思いますが、明治大学ラグビー部の一員として全力を尽くす、何事にも全力を懸けて勝負する、私生活の中でも責任を持った行動をするという意味を持った言葉だと思っています」
――チームでの自分の役割はどう感じていますか。
「自分は役職も何も就いていなくて、今のところ選手としても試合に出場できていませんが、その中でもペガサスに上げていただいています。そういったところで一軍に対して自分の武器であるタックルやブレークダウンの攻防の激しさというところで一軍選手にプレッシャーをかけて明治大学全体のレベルアップを図るということが自分の役割だと思っています」
――4年生になって成長したと感じることはありますか。
「やはり1、2、3年生の頃は先輩に練習や試合の雰囲気づくりなどの全てを任せていた状態で自分から動こうとはしていませんでした。しかし、4年生になってそうしていてはいけない立場になったことで、自分から動かなければいけないと思い、アクションを起こすようになりました」
――正直苦しかったことはありましたか。
「この時がというような明確な答えはありませんが、正直4年間の9割ぐらいはすごくきつかったです。それでも、試合での勝利での喜び、練習や試合で自分のいいパフォーマンスができた時に感じる残り1割の喜びというものは短い時間ではありますが本当に濃い時間でした。自分はその1割のために朝早く起きて練習するというルーティン化された生活をしてきましたが、その中で辛い練習を乗り越えていかなければならないということは本当にしんどかったです」
――後輩に伝えたいことはありますか。
「自分の武器にしているプレーを忘れちゃいけないのかなとはずっと思っています。ケガの時やプレーが全体的に良くないと思った時に原点回帰して自分のモチベーションを上げてくれるのはやはり自分の武器だと思います。そのため、しっかりと自分の武器を持ち続けることが大事かなと思います」
――チームの日本一に向けてどう貢献していきたいですか。
「もちろん自分も諦めることなく紫紺のジャージーを着ることを目指してレベルアップを図っています。しかし、それと同じくらいに自分の置かれている状況というのを理解して、チームに貢献するために上のチームに対して下のチームからどうプレッシャーをかけていくのかも大事だと思っています。そういった部分を含めて自分の成長だけでなく、サポートの部分でもチームに対して貢献していきたいと考えています」
――ありがとうございました。
[廣末直希]
◆野口裕太(のぐち・ゆうた)法4、明大中野高、170センチ・82キロ
実家は下町両国。両親がちゃんこ屋(ちゃんこ友路)を営んでおり、幼い頃から厳しい父の下、手伝いという名の苦行を乗り越えてきたため、如何なる事にも屈しない強靭(きょうじん)な鋼のメンタルを持つ。周りからの呼び名は〝タフガイ〟。
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