
(76)~highlight~ 片倉康瑛「ラインアウトの技術を残せるように」
「一人一人、一つ一つ」。新体制発足時、箸本龍雅主将(商4=東福岡)はスローガンの込める意味について言及した。連覇の懸かる対抗戦、そして日本一奪還に燃える大学選手権へ。紆余曲折を経て迎える最後のシーズン。4年生が〝イマ〟見る景色とは――。
第23回は片倉康瑛(法4=明大中野)のインタビューをお送りします。(この取材は10月15日に行われたものです)
ーー4年間を振り返っていかがですか。
「入部当初は4年の早明戦出られれば出たいなと言う感じでした。自信は全くなかったです。1年生の時からまずはペガサス上がりたいなと思っていて、フィジカル面ではまだまだでしたけど、ラインアウトが武器になるのではないかと信じて練習していました。高校時代からラインアウトがめちゃくちゃ好きで、相手の癖とか、相手の気持ちになって考えて、その上で相手の嫌なことをしてうまくいった時はなんとも言えない達成感はあります。難しさとしては、ラインアウトは経験が命なので、経験が少ないと難しいです。ひとりでやるものではないですし。全体のレベルを上げることができないと厳しいです。今となっては1年生には僕から積極的に伝えていこうと思っていて、ラインアウトの練習が終わった後に、ロックで集まって、アタックやディフェンスに関して反省会をしています。楽しむことが大事だと思います。楽しい雰囲気を作り出すことも大事です。下級生にはこれからも頑張って欲しいなと思います。ラインアウトの技術は残せるようにしたいです」
ーー夢だった存在になれました。
「ラインアウトがこんなに武器になるとは思っていなかったの一言です。大学ラグビー全体でも、ラインアウトって全然レベル高くないと思っています。大学入る前はもっとレベルのラインアウトがあるのかなと思っていました。自分が考えてきたラインアウトがこんなにも通用して、評価してもらえるというのはびっくりです。これが一番の発見であったし、驚きでもありました」
ーー目標にしていた先輩はいますか。
「正直先輩のロックにはフィジカルタイプな先輩が多くいたので、あんまり目標にした先輩は正直いません。自分は自分のタイプがあるからそれをひたすら伸ばしていこうと練習していました。4年生になって分かったのですが、4年生になってやっぱり試合に出られないというのは厳しいと思います。僕がAで出て試合前に相手のラインアウトを完全にコピーしてくれた先輩方には本当に感謝しています。先輩方は思うこともいっぱいあったと思います。なんとも言えないですが、先輩のおかげで、自分も練習ができていたところがあったので、期待を裏切るとかはできないという思いでプレーしていました」
ーー学年が上がるにつれて成長できた点はありますか。
「ラインアウトは大学一番なんかではなく、トップリーグに通用するレベルまで持っていきたいと思っていました。フィジカルの部分も大きくしたいというのはずっとありました。副将に選ばれてからは部を見なきゃという思いもありました」
ーー副将に抜てきされて変化した点はありますか。
「副将になってからチームのことをいろいろ考えてきました。自分のことだけでなくチームのことも、視野を広くして考えることができたと思います。unitの部分は自分から考えて動かなければいけないなと思っています。京平(山沢副将・政経4=深谷)の離脱に関しては、本当に残念ですし、それ以上に大きな影響があると思います。あいつは自分がリーダーとかそういう人を引っ張ることは苦手ですとか言いますけど、僕個人としてはむしろ向いていると思っていて、人を惹きつける力があると思います。龍雅(箸本主将・商4=東福岡)にしろ京平にしろ考えていることのスケールが違うので、本当に尊敬します」
ーー改めて新国立での敗戦について教えてください。
「慢心の一言です。前半いきなりやられて、ハーフタイムの時に、監督から『このチームでできるのもあと40分だからできる限りのことはやろう。今まで通りやり抜こう』ってことを伝えられました。あの試合でやっぱり自分だけがジャンプが上手くいっても意味はなくて、F W全員の動きが大事だと改めて感じました。個人的には緊張しなかったのですが、独特の雰囲気はありました。新しい会場ですし、人も入っていますし。新国立はお客さんとの距離が遠い印象です。そういう観点で僕は秩父宮の方が好きですね。応援の声が直に聞こえてくるので」
ーー明早戦への思いを教えてください。
「負けたくないです。とにかく。早稲田に負けるっていうのは他の大学に負けるのとは違う意味を持つ負けな気がします。明早戦は憧れの舞台でもありましたし、特別な試合です。ファンの方々は明治の勝利が見たいと思うので、自分がラインアウトで引っ張って、優位に立てば、試合もだいぶ楽に進めると思います」
ーー早大の嫌な部分はどこですか。
「ポテンシャルの高さはもちろんですけど、頭使ってくるラグビーだと思います。本当に嫌なことやってきます。仕掛けてきます。基本ができているラグビーだと思います」
ーー改めて片倉選手にとって〝one by one〟とは何ですか。
「目の前のことに全力で取り組む。チームに必要な言葉だと思います。練習中はみんなで言い合っていますし。いつも通り、同じ準備をしていくってことだと思います」
ーーありがとうございました。
[内山嶺]
◆片倉 康瑛(かたくら・やすあき)法4、明大中野高、190センチ・101キロ
川崎フロンターレで活躍している田中碧選手と同じ小学校で、よくサッカーを一緒にやっていた。「結構仲良くて、一緒にサッカーするのが楽しかったです(笑)」
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