(58)~highlight~ 猿田湧「全力で取り組み続けたら、結果が出ることをルビコンの後輩たちにも示したい」

2020.11.15

 「一人一人、一つ一つ」。新体制発足時、箸本龍雅主将(商4=東福岡)はスローガンの込める意味について言及した。連覇の懸かる対抗戦、そして日本一奪還に燃える大学選手権へ。紆余曲折を経て迎える最後のシーズン。4年生が〝イマ〟見る景色とは――。

 

 第10回は猿田湧(営4=秋田工業)のインタビューをお送りします。(この取材は10月19日に行われたものです)

――これまでのシーズンの振り返りをお願いします。

 「チームが解散ということになった中で、自分は寮に残って練習していました。春シーズンに練習や試合をして、チーム作りができなくなってしまったことは、チームとしても個人としても痛手だったかなと思います。自分も試合に出るためにはチャレンジしていかないといけない立場だったので少し落ち込みました。ただ文句言っても仕方ない、環境のことなので、できることをやるようにしました。ミーティングをしたり、選手だけで練習をしたことによって、短期間でラグビーに対する考え方や、チーム全体を見るっていう習慣がつきました。試合がなかったのは痛かったですけど、そこでチームにために何ができるのかを考える期間になったので、成長できた部分っていうのは確かにありました。いまはいい環境で練習できているので、試合は少ない分1試合1試合を大切にして、出た課題を克服していきたいです。例年とは違う形ですけど、チームをいい感じに成長させていかなければならないので、初めての状態なので戸惑っているところもあるんですけど、リーダー中心に取り組めていると思います」

 

――今年4年生になって変化したことはありますか。

 「自分がラグビーをしているときに自分のプレーに一杯一杯で、あまりチームのことを考えられていなかったです。チームのための行動ができず、コーチにも言われた時もありました。そこをきっかけに自分のことを全力で精一杯やることはもちろんで、チームのために何をするかっていうのが合宿後から考えるようになりました。チームの士気を上げるっていうのが4年生の役目です。ただ練習すればいいわけではなく、いい練習をするためにいい環境、いい集中力でやることが大事になります。そのために4年生が声を出して盛り上げて、意識してやらないといけないと感じています」

 

――大学生活で印象深いことはありますか。

 「いっぱいありますけど、今年の春はいままでと全く違う、春シーズンがないという事態でした。その中でいかにモチベーションを保って、寮に残ったメンバーだけですけど、練習を自分達で考えてつくりあげるっていうのは印象に残りました」

 

――期待している後輩はいますか。

 「児玉樹(政経3=秋田工業)は高校の後輩で、今も大活躍していますけど、もっと明治の中心に、キャプテンクラスの選手になれると思います。期待しているっていうか、自分は下のチームにいることが多くて、明治には下のチームにいて這(は)いあがろうという選手がたくさんいます。実力があるのに選手層が厚くて、下でもがいている選手が多いので、その選手たちには全員期待しています」

 

――改めて、猿田選手にとって〝one by one〟とはなんですか。

 「大きい日本一という目標があって、その中で自分の目の前にあることを一つ一つ、何個やって日本一になれるかっていう決まりはありません。ただ、いくらでも少しでもできることをやっていくという部分をone by one していくことは大事です。自分の出来ることをやって、優勝のために一つ一つ取り組んでいきます。目の前のことを1つ1つ、one by one でやることが優勝につながると自分は思っています」

 

 

――最後に残りのシーズンへの意気込みをお願いします。

 「対抗戦と大学選手権で優勝するために、4年生としてチームの士気を上げる部分が大事です。そして、自分の中ではスタートで試合に出て日本一になるっていうのが最大の目標なので、どんな状況であろうとチャレンジしていきたいです。自分は下のチームからやっていて苦しい時期が長かったんですけど、同じ環境の人は明治にたくさんいるので、同じく下の環境でやっている後輩たちにも全力で思いっきり取り組み続けたら、いつか結果が出ることをルビコンの後輩たちにも示したいなと思っています。これからも日々の練習から全力で取り組み、大学選手権でメンバーに入って優勝したいです」

 

――ありがとうございました。

 

 [田中佑太]

 

◆猿田 湧(さるた・ゆう)営4、秋田工業高、184センチ・89キロ 大学で最も印象深い試合は昨年春の法大戦。「スタートで出ることで身が引き締まる思いになった」