王座奪還 2年ぶり7度目のインカレ総合V

2020.11.13

 王者の復活だ。無観客で行われた日本学生選手権(以下、インカレ)。昨年の同大会では日大に敗れ、4年続いた王座から陥落。今大会も事前の予想では日大に及ばずとされていたが、リベンジに燃えるスイマーたちは強かった。2日目に金メダルラッシュを起こすと、勢いそのまま大会は明大の独壇場に。「予想以上でした」(佐野秀匡監督)と指揮官もうなるほどの得点を重ね、2年ぶり7度目の総合優勝を果たした。

 

歓喜の時

 がらんとした会場に、紫紺の歓声が響き渡った。400㍍自由形の中島涼(政経3=札幌大谷)、200㍍背泳ぎの松山陸(商1=春日部共栄)がそれぞれ金メダルを獲得し、迎えた2日目最終種目の400㍍フリーリレー。「ここで優勝しないと駄目だ」(井元秀哉・法3=湘南工科大付)。3泳の井元が3位から1位に順位を上げると、最後は溝畑樹蘭(政経4=報徳学園)が体一つ分リードしてフィニッシュ。「この時点で勝てると確信した」(佐野監督)。快進撃は止まらず、200㍍自由形の井元、400㍍個人メドレーの村田翔(法4=淑徳巣鴨)ら予選通過ライン当落線上の選手たちも自己ベストを更新して決勝に進出。「〝 俺も〟という雰囲気があった」(佐野監督)。最終的に2位の日大と78・5点差をつけ、圧巻の総合優勝を飾った。

 

再起の時

 「インカレは絶対にある」。本庄智貴主将(商4=埼玉栄)は、繰り返し言葉にした。新型コロナウイルスの影響で一時は活 動が休止に。6月の再開後もすぐには合宿所のプールが使えず、インカレの開催も不透明。チーム内には「温度差があった」(佐野監督)。本庄も再開直後に肩を壊し、内心では「終わった」と絶望の淵に立たされた。それでも「僕だけでも見せていかないと」。口下手な主将はチームのためにと、必死にリハビリに励んだ。そんな主将の姿を見て「俺もやらないと」(中西晟・営4=呉港)。4年生を中心に次々と奮起。7月にはインカレの開催も決定し、全員が同じ方向を向き始めた。練習量も「こんなにやるのか」(中西)と本音をこぼすほどに増やし、例年以上の準備を積み上げた。すると8月の東京都特別大会では出場選手のほぼ全員が自己ベストを更新。「いいチームに仕上がった」(本庄)。〝明治旋風〟は、インカレ前から巻き起こっていた。

 

団結の時

 一人はみんなのために。明大は寮生と寮外生で練習も分かれており、コロナ禍で顔を合わせる機会も限られた。だが「チームのために戦うことを徹底的にたたき込んでいる」(佐野監督)。オンラインミーティングを頻繁に開催し、チームの意識を向上。「明大のために」。インタビューの際、口裏を合わせたように選手たちはこぼした。大会を振り返って、質問をぶつけると、本庄は確信に満ちた声で答えた。「4年間で1番のチームでした」。

 

【岩田純】

 

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