花園4強の立役者 為房慶次朗

2020.09.21

 浪速の怪物フロントローが明大の門をたたいた。超大型プロップ為房慶次朗(文1=常翔学園)は、高校日本代表で副将を務めた経歴を 持つ。柔道との二刀流で培った体幹を武器に、レギュラーの座を虎視眈々(たんたん)とうかがう。

起死回生

 昨年の全国高校大会の準々決勝・京都成章高戦。後半ロスタイムで見せた大逆転劇は、花園史に残る名場面だ。ラストプレーは自陣22㍍のマイボールスクラム。「弱気な感情は一切なかった」。じわじわと陣地を回復し、すぐさま敵陣ゴール前へ。10フェーズ目「一番強い人がボールをもらわないとチームは盛り上がらない」。為房がゲインしてポイントをつくると、その直後に逆転トライは生まれた。〝前へ〟を体現するプレーでチームを鼓舞した主将が、ベスト4へと導いた。

唯一無二

 柔道の実力は中学時代、全国大会出場と折り紙付き。それでも「自分の体を生かせるのが魅力」と楕円球の道を選んだ。

 そんな為房の代名詞とも言えるのが、同世代の中でも群を抜いた体格を生かした対人プレー。その秘訣(ひけつ)は父が自宅のガレージを改造して造ったトレーニング設備にあった。「階段を下りればあったから」。高校時代、空いた時間にはこつこつと体づくりに励ん だ。そのかいあってか、現在ベンチプレスは最高140㌔と、新入生として並外れた記録を持つ。しかし「先輩の方がすごいので」。その飽くなき向上心に陰りは見られない。

 「強いやつを倒した方が面白い」。〝打倒帝京大〟をモットーに掲げる為房。複数届いた強豪大の誘いの中から、明大進学を決めた。理想とするのは、主将・箸本龍雅(商4=東福岡)のような「もっと体が大きくて、もっと走れる選手」。力強さに加え、細やかなハンドリングにも定評のある新人が、本物の〝重戦車〟として火を噴かす。


中村奈々】


◆為房 慶次朗(ためふさ・けいじろう)大阪府出身。週3回通うほどの大の焼肉好き。一番好きな部位はサンミノ。180㌢・115㌔