
選手権沸かせた技巧派レフティー 田中克幸
世代屈指の技巧派MF田中克幸(商1=帝京長岡)は、複数のJクラブからのオファーを受けながら、明大への進学を決意。高校時代にはU―18日本代表、高校選抜に選出されるなど飛躍を遂げた。積み重ねたテクニックを武器に、1年目からのスタメン定着を狙う。
躍進
一躍、脚光を浴びたのは全国高校選手権でのことだ。「過去一番楽しかった」 と語る準決勝の青森山田高戦、2点ビハインドで迎えた後半 32 分。ピッチ中央付近で田中にボールが巡ってきた。最初はパスを考えたものの「1人かわした瞬間にいけると思った」。始まったドリブルは、誰にも止められなかった。PA(ペナルティエリア)内に侵入したところでさらに2人をかわし、左足を一閃(いっせん)した。スーパープレーの反響は大きく、自身のインスタグラムのフォロワーは倍増。この試合で惜しくも敗退となったが、強烈な印象をピッチに残した。
原点
「親に言われるでもなく、気が付いたらボールを蹴っていた」。生まれながらにその才を発揮した。当時から技術に優れ、小学2年次にはすでに6年生の試合に出場 。「公園でドリブルの練習をして、日が暮れるまで没頭した」。大観衆を沸かせた青年の原点はここにある。高校進学時「自立したかった」と故郷・岡山県を離れることを決断。結果として、その選択は大正解だった。帝京長岡高はパス回しとドリブルを駆使した「高校らしくないサッカー」が持ち味。「足はチームでも遅い方」と身体能力に恵まれているわけではないが、抜群のテクニックを誇る田中は、そのスタイルに完璧にかみ合う選手だった。
挑戦
プロで即戦力として起用されるために選んだ大学サッカーの道。「体重を増やして、守備でも球際に強くなりたい」。U―18日本代表として スペイン代表と対戦した際も、フィジカルの差を肌で感じた。「倒れずに踏ん張れていたら、チャンスになった場面が多い」。弱点は自分が一番知っている。〝個の強さ〟を追求する明大サッカー部が、他のどこよりも成長に適した場であることに疑いの余地はない。「絶対プロになれよ」。東京へと旅立つ際、たくさんの人にそう声を掛けられた。応援を現実に、レフティーの挑戦が始まった。
【市瀬義高】
◆田中克幸(たなか・かつゆき)岡山県出身。買い物が好き。「いいな」と思った商品はすぐに買ってしまう。174㌢・64㌔
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