〝野球×勉強×お笑い 第7世代挑戦のすすめ〟 お笑いコンビ・ティモンディ前田裕太さんにインタビュー

 今回紹介するのはお笑いコンビ・ティモンディの前田裕太さんです。高校野球の名門・済美高で活躍された後、駒大に進学。大学ではプロ野球への夢に区切りをつけ、猛勉強を開始しました。その後、明大法科大学院へ進学し、芸人との両立の中で中退を決断された異色の経歴の持ち主です。挑戦に溢れた自身の学生時代を振り返り、そこで得た教訓を語っていただきました。


――野球をやめて、大学で新たに熱中したことはありますか

 勉強です。1年次は授業を教室の一番前で受けて、積極的に発言するような学生でした。授業が終わってからは図書館で勉強していました。それなのに当時は野球部上がりで体格も良く、丸刈りだったので怖がられていたと思います(笑)。「大学は友達をつくる場じゃない」とも思っていました。今思い返せば、悪い尖り方をしていました(笑)。ただ、2年次から法律研究サークルに所属して視野が広がりました。遊ぶ楽しさを覚えたり、アニメや小説に挑戦してみたり。そこで、何事も知る前から拒絶することは良くないと気付きました。この経験は、今の自分をつくっている要素の一つです。

――大学4年次に芸人を始め、明大大学院への進学も決められました

 芸人は相方の高岸(宏行さん)に誘われて、楽しそうだからやってみようかなと始めました。大学院は、教授からの勧めもあって何校か受験したところ、全校で学費全額免除の結果をもらえて。教授陣の豪華さや、実学を取り入れたカリキュラムから明大大学院を選択しました。長い人生で今しか味わえない数年間なら「一つ経験してみよう」くらいの気持ちで進学しました。芸人も大学院進学も、楽観的に決断しましたね。

――〝明大〟つながりで、明大硬式野球部について、どのような印象をお持ちですか

 明大の六大学野球の試合を観戦したことがあります。当時は高山俊選手(平28文卒・現阪神タイガース)というスター選手がいて、応援もお祭りのようで楽しかったです。野球がエンターテインメントとして確立しているという印象を受けました。

――最終的に大学院中退という選択をされました

 1年間両立をしてみてどちらも楽しかったし、もちろんしんどい面もありました。でも熱量はやはり楽しい方に向きました。二つをてんびんに掛けたときに「苦しくてもいい」とより思えたのが芸人でした。

――最後に、学生へのエールをお願いします

 僕は学生時代「大学院を卒業して法律事務所に勤務する」というゴールを描いていました。でもふたを開けてみれば、今は芸人を頑張っています。僕がそうだったように、いろいろなことに興味本位で手を出してみると、人生のターニングポイントになることに出会ったりします。自分が定めた目標とは違うことにも挑戦してみた方がいいと思うし、その挑戦を僕は応援してあげたいです。

 また、高校球児および、受験生に向けてメッセージをいただきました。

――全国の高校球児へ

 (夏の甲子園中止は)もし僕が現役ならかなりきついと思います。3年間を乗り越えられたのは、甲子園という目標があったからです。死ぬ気で走る人は、目標がないと走り続けられないと思います。でもつらい思いをした分、良い思いをできるようにと大人たちは行動してくれているので、悲観的にならないでください。


――大学を目指す受験生へ

 人によって感情に幅がある多感な時期だと思います。僕も偏見に満ちた時期がありました。でもいろいろなことに挑戦できる環境が大学にはあって、考え方の幅を広げることができた4年間でした。大学だけがゴールではないことも伝えたいです。


【聞き手・山根太輝、久野稜太】


◆前田 裕太(まえだ・ゆうた)1992年生まれ。神奈川県出身。グレープカンパニー所属。高校1年次に夏の甲子園に出場。大学院では憲法と刑法を研究した。大学4年次に、済美高野球部の同期・高岸宏行さんとティモンディを結成。コンビではツッコミを担当する。憧れのお笑い芸人はサンドウィッチマン。TBS系バラエティー番組『炎の体育会TV』などで活躍中

※やむを得ず割愛したインタビュー内容は後日掲載いたします。