(20)~インカレ直前特集~ 栗田大輔監督インタビュー
総理大臣杯、関東大学1部リーグ戦と2冠を果たし、堂々の関東地区第1代表として11年連続19回目の出場となるインカレ。本特集では12月7日から全7回で、4年生3組の対談、4年生マネジャー対談、主将主務対談、栗田大輔監督のインタビューをお届けします。明大の初戦である14日の前日には展望記事を掲載します。
第6回は、監督に就任して5年目のシーズンとなった栗田大輔監督のインタビューをお送り致します。(この取材は12月3日に行われたものです)
――今シーズンここまでを振り返っていかがですか。
「成績は全てタイトルを取っているから、結果だけを見れば良いでしょうけど、1年間を通じて春から右肩上がりできたかというと疑問です。例えば後期リーグは失点が9になったり、立ち上がりの失点が増えたり、そういった甘い部分が出ているから、一戦一戦振り返ったときに全て満足がいくかと言われるとそうではないですね」
――今年の強さの秘訣を教えてください。
「1年間を通じて積み重ねをきっちりできているなと思います。レベルがしっかり上がってきていて、自分たちがやろうとしていることを一つずつプラスに積み重ねていく作業ができているのが今年です。一つの大会を優勝したから満足するのではなく、あまり一喜一憂せず浮かれないで12月最後に良いチームでいようというところにみんながそろっていると思います。あとは4年生は毎年象徴みたいなものなので、4年生が中心となって頑張るのだけれど、すごくコミュニケーションをとって良くなるための改善する作業を繰り返しているのが印象としてありますね」
――2冠を達成して感じていることはありますか。
「まだまだ駄目だなと感じています。立ち上がりの失点が多いことや失点数が増えたこと、今日も対人練習をしたけど、ぬるくなっているな、基準が落ちているなと思います。やはりその基準を上げていく作業をやりたいですね」
――今年の4年生はどんな学年でしょうか。
「1年生の頃にはだらしないなと思っていましたけど、みんなそれぞれに個性があって非常に個性派ぞろいです。それでもバラバラではなくてしっかり佐藤亮主将(商4=FC東京U―18)を中心に仲が良くまとまっていて、すごく良いなと思います」
――明大サッカー部の監督になろうと思ったきっかけを教えてください。
「僕も自分で小学生や中学生のサッカーチームを見ていたり、明治の前に他の大学を手伝ったりしていました。その中で改めて母校で取り組んでいることや井澤千秋総監督と神川明彦監督が追求していることに共感できたし、学生たちが全力でやる姿勢に自分の培ってきた経験を伝えたいと思ったことがきっかけですね」
――サッカーの指導者になろうと思ったきっかけを教えてください。
「少年サッカーを教えたりしていると子供たちはやっぱり夢を持つじゃないですか。でもなれる人は本当にごく一部だし、そこに一つのサッカーチームに対して親御さんも元気をもらったり、夢をかなえるために具体的に何をすればいいかというと、結局は一生懸命にやるしかないと思います。でもその一生懸命のやり方や環境をつくってあげたら、もしかしたらそこに近づけるかもしれないです。そういう意味では自分から何かを発信することで1人でも2人でも笑顔や元気、夢に向かっていく勇気、その周りの家族の笑顔、地域の活性に貢献したいなと思ったのがきっかけですね」
――指導者を始めてから印象に残っている思い出はありますか。
「それはやはり一番初めに僕がFCパルピターレというクラブを創った時ですね。全て自分で財を投げ売って、街の学校予定地に何度も頭を下げに行って草刈りを毎日して、犬のフンを毎日拾って、チラシを自分で作って3万枚毎日ポスティングして、そうやってクラブをゼロから立ち上げたことは印象的です。そこからどこの馬の骨か分からないような自分に、サッカーを学びたいと自分のお子さんを預けてくれた親御さんや笑顔で来てくれた子供たちとの思い出は今でも忘れられないですね」
――やりがいを感じる瞬間はどんなときでしょうか。
「なかなか最近は指導という現場は非常に難しくて、どちらかというと丸く収めようとか波が立たないようにする世の中じゃないですか。でも僕は指導は違うと思っていて、その人間が成長するために、本人が見えていない可能性は指導者や周りの人には見えていると思います。それを打ち破っていく作業が指導の役割だと思っていて、当然気付く瞬間は自分のプライドや殻を破っていく訳だから、負荷もかかるし、嫌なことも言われますよね。でもそれを選手のために言えるかどうか、妥協なく伝えられるかが指導のポイントなのかなと思います。それができなくなったら指導はやめた方がいいですね。何かの軋轢(あつれき)に負けたり、誰かに気を使ったりしたら本人のためにならないから、そこは偏ってはいけないと思います。色んな尺度を俯瞰的に見たり、物事を斜めから上から横から見る見方を自分が持っていないとそれは偏った思想になってしまうから、自分の趣味に人を巻き込むことは全く違うと思います。でもその人の可能性を伸ばすためには、その人が将来活躍できる道筋を広げてあげる作業です。それが世の中のためになったり、誰が見ても気持ちのいいものであったり、そこに対して良いか悪いかを明確にすることだと思います」
――栗田監督にとってサッカーとはどんな存在ですか。
「正直なところ未だに分からないですが、好きだからやっている訳で、小さい頃からサッカーをやったり、見たりしてきました。そこからサッカーの魅力や全員でする面白さ、楽しさから得るものは大きいので、本当に自分の生活の中でずっと横にいるような存在です」
――インカレへの思いを教えてください。
「監督になってリーグ戦も、アミノバイタルカップも、総理大臣杯も、Iリーグも、東京都トーナメントも、新たな記録も作って実績を上げてきた訳ですが、インカレだけは取っていません。個人的にインカレに対して強い思いはあるし、2016年に総理大臣杯とリーグ戦を取ってインカレはベスト8で負けてしまいました。あの時は筑波さんが優勝して、終わってみれば周りが『今年は筑波大だったな』という空気で終わったことが、すごく印象に残っています。やっぱり最後の締めくくりを優勝して終わることは大事だと思いました。いくら強くても最後にインカレで負けたら、そのまま4年生は卒業してくので、後味が悪いです。そこはきっちりと最後に結果を出して、送り出してあげたいなと思います」
――明大サッカー部を応援してくれる方にメッセージをお願いします。
「総理大臣杯にしても天皇杯してもリーグ戦も、表ながら陰ながら支えてくれている人たちが本当にたくさんいます。それを常に感じながら僕らはやっているし、『我々ができることは何だろう』と考えたときに、本当に全力でやる姿勢や気持ちよく学生らしく行動することで、見ている人や応援してくれる人が何か響いてくれたり、元気をもらったり、明日につながる一歩になることが、僕らの恩返しだと思います。いつも感謝しているし、見ていてスカッとするような面白い試合を見せたいと思います。明大サッカー部はOBも含めて支えてくれている人たちあって活動ができているので、スタッフも学生も感謝しながら活動しています」
――ありがとうございました。
次回はインカレの展望記事をお送りします。
更新は明日12月13日です。お楽しみに!
インカレ初戦まであと2日!
[木田諒一朗]
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