ラグビー普及のために 大学ラグビーのなすべきこととは

2019.11.28

 その雄姿に人々は魅了され、勇気づけられた。11月、ラグビーW杯2019(以下、W杯)は大熱狂のうちに幕を下ろした。日本代表は史上初のベスト8。まさにビクトリーロードをひた走った2カ月間だった。この盛り上がりを今後どう継続していくか。火を消さないために大学ラグビーの果たすべき役割は大きい。本企画では独自の視点で明大ラグビー部のあるべき姿を模索する。


なすべき取り組みの形

 これまで以上に大学ラグビーにスポットが当てられる。今年度の明早戦チケットはW杯の余波もあり例年にない早さで完売した。「毎年見に行っていたのに今年の券は取れなかった」という話も耳にする。大学選手権決勝が1月、新国立競技場で執り行われることからもその注目度、影響力は高いものであると分かる。その中で、課題として浮かび上がるのは現役学生の注目度の低さだ。試合会場でスタンドを見渡しても学生の少なさは一目瞭然。日本代表33キャップを誇り、現在はラグビーの普及、発展活動に取り組んでいる大西将太郎氏は「大学生が自分の母校を愛する気持ちが薄れてきている」と指摘する。大学スポーツは勝敗が全てではない。私たちと同じ学生が母校の看板を背負い、体を張って戦っている。そのことだけで応援に行く理由として十分ではなかろう。


紫紺が進んだ新たな道

 近年、明大ラグビー部はファンとの距離が近くなっている。今までは一部を選手たちが行っていた広報活動は、今年度からマネジャーが担当。「ファンの人たちにより近い目線で発信できるようになった」(直江彩佳マネジャー・政経4=札幌東)。昨年度にはインスタグラムの開設、今夏にはホームページの改設に着手した。「若い人たちからの反響も大きくなった」(直江)。チームを支える裏方の努力が形となって表れ始めている。

 地域への貢献活動や後進育成にも熱を注ぐ。毎年欠かさず行われている北島ラグビー祭には300人を超える子供たちが訪れ、選手やコーチとの交流を深める。その他にもラグビースクールでの技術指導やラグビー教室を行うことも。「ラグビーの敷居は高くないという部分を発信していくことが重要」(大西氏)。W杯で一気に身近になったラグビー。人気を根付かせるために、距離が近い大学生の担う役割は大きい。


貪欲なチャレンジ精神

 直属のラグビースクールを持つ早大や付属校との結び付きが強い慶大と比較すると、明大のラグビー普及活動は充実しているとは言えない。しかし、地道な活動でも継続することで道が開かれる。「変化を恐れずチャレンジすることが大事」(大西氏)。こうした活動はクラブ単体としての努力では行き届かない。母体側である大学や協会との積極的な連携も必要不可欠になってくる。

 「明早戦に憧れを持ったから」。選手の多くは明大進学の理由を問われるとこう答える。大観衆の下、グラウンドで戦う選手たちは魅力的に映るはずだ。加えて近い将来「小さい頃に明治の選手と触れ合ったことがきっかけ」と話す選手が出てくるように。明大は今後も継続的にラグビーの普及や後進育成に励まなければいけない。


【清水康佑】

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