覇権奪還に燃える早稲田 全勝対決で紫紺を迎え撃つ

2019.11.28

 完全復活へ準備は整った。昨年度は8年ぶりの対抗戦優勝を果たしたが、大学選手権ではベスト4で涙をのんだ早大。今年度もタレントぞろいのBKが躍動する一方で、FWもスクラムを強化しタフに仕上がった。覇権奪還に燃える赤黒が全勝対決の大一番で紫紺を迎え撃つ。


経験値とディフェンス

 「今年の早大は強い」。選手もファンも誰もが口をそろえる。Aチームは夏合宿以降負けなし。対抗戦では帝京大相手に34―32。公式戦で8年間勝ちがなかった相手に逆転勝ちを決めた。

 強さの根源にあるのは「経験値」とスクラムハーフ齋藤直人主将(スポ4=桐蔭学園)は話す。昨年度の明早戦に出場した先発メンバーのうち13人が3年生以下。BK陣は7人全員がそのまま残った。「あうんの呼吸のような部分が多くなっている」(スタンドオフ岸岡智樹・教4=東海大仰星)。練習後はポジションごとに徹底的に話し合うことでコミュニケーションの不安も解消された。密な連携で強度を増したのはディフェンス面だ。その強さは数字からも見てとれる。昨年度、対抗戦の合計被トライ数は14。それに対し今年度はここまでの被トライを8に抑えている。「粘り強いディフェンスからリズムをつくっている」(齋藤)。培った経験が強固な守備を支えている。


こだわり抜いた主将像

 現在の4年生は〝黄金世代〟と呼ばれるほど実力者が集まる。その最上級生を率いるのが主将の齋藤。昨年度は日本代表を見据えた代表候補合宿に大学生で唯一召集された稀代(きだい)の逸材だ。「プレーでチームを引っ張ることが一番のリーダーシップ」(齋藤)。そう志すきっかけとなったのが、相良監督が齋藤に語った主将としての経験だった。「周りのことに気を配ってばかりで、プレーがおろそかになったのが後悔」。その一言に背中を押され、まずは一選手として自らのプレーを追求した。「考え過ぎていたのが少し楽になった」(齋藤)。背中で見せる主将として最上級生をまとめ上げ、チーム全体に好循環を起こした。

 勝ったほうが王者だ。互いにここまで6勝無敗。早大は勝てば12年ぶりの対抗戦単独優勝が決まる。「優勝することしか考えていない」(齋藤)。〝黄金世代〟をまとめ上げ、一丸となり明大に牙をむく。


【清水康佑】

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