(10)「安心すると言われたら自分の勝ち」香田凌辰 インタビュー

 実業団の廃部、国内リーグ発足など様々なニュースが飛び交い、革新のときにある日本アイスホッケー界。その中で大学王者として君臨し続けている明大。彼らが見ている景色とは。今回は、関東大学リーグ3連覇を狙う選手たちの心境を伺うとともに、自身のルーツや競技の魅力に迫った。第10回はGK香田凌辰(政経3=白樺学園)のインタビューをお送りする。

(この取材は7月18日、9月16日に行われたものです)

 

――上級生になって意識の変化はありましたか。

 「上級生になったらチームを勝たせるのもそうですけど、4年生にどう恩返しできるかと考えたときに、試合に勝つことしかないですし、自分は守ることだけなので。守り方とかシステムをみんなに共有するようにしています。そこでの伝え方や言い方を考えるようになりました。自分のプレーとしては、みんなとコミュニーケーションを取ることが持ち味でもあります。秋リーグからは、試合前にDFだけを集めて、自分はこういうプレーをするから、こうしてくれという指示を毎回しています。例えば、1本目はフリーで打たせていいからと、そこは止めるからリバウンドや横に振られることはしないようにと言っています。絶対に勝ちたいので、何も言わないで負けるより、言って全部やってから負けた方がいいと思うので、できることは全てやるようにしています。1年生はわからないですが、2年生は1年間経験を積んで活躍して、チームに貢献してくれています。4年生は最後というプレッシャーもあると思うので、そこで3年生が引っ張るというか発言力、行動力を持たないとチームが成り立たたないと思って、みんなで話し合ったり、立ち位置を確認しています」

ーー同期間での話し合いは、どんなときに行っているのですか。

 「問題が出たら話し合うようにしています。自分たちは色々なところから意見が出てくるので、主にプレーで出ているのは、僕と徳田(滉也・政経3=武修館)と岩崎(竜馬・法3=釧路工)の3人かもしれませんが、出ていない人を見下すということはしないで、会話をしっかりするようにしています。仲間意識はあります。同期と出かけることは一番の楽しみですし、普段寝る時間が少なくても、そういう時間は大事にしています」

 

――進路はどのように考えていますか。

 「ホッケーは大好きなのでやりたいと思っていますけど、すごく迷っています。(クレインズ廃部のニュースも)ホッケーはあまりメジャーではないし、1チームがなくなるだけでもっと小さい世界になってしまうので悲しいです。もっとメジャーになれば取り上げてくれる会社とかも多くなって、いいスポーツつくりができると思いますけど、チームが少なくて給料なども低いので、アイスホッケーだけで生きていくのは難しいのかなと思います。(今のアイスホッケー界)正直あまり良い印象はないので、ここからどのように変わってくれるのかと思うことはあります。でもそこまで上から言える立場でもないです。言ったからには徐々に発信できたら良いなと思います」

 

――やはり試合を見に来てほしいと思われますか。

 「もっとアイスホッケーの楽しさを知ってほしいです。人気になれば見てくれる人も増えて、チーム的にも盛り上がると思うし、ホッケー界が盛り上がればもっとすごいことができると思います。アイスホッケーを一目見ることが大事だと思います。見たらみんな好きになってくれると思います。まずはリンクに足を運んでくれることから始めないと変わらないです。東京でもプロチームが試合をするのでそういうのを見たり、大学だったら明治が強いので大学側から試合があると知らせてくれたら、1人でも2人でも多く来てくれると思います。見たら惹かれるものがあるので、そこで友達を連れて来たり増えていくと思います」

 

――これまで数々の代表経験がありますが、世界との差を感じることはありましたか。

 「中学生のときから代表に選ばれて、(3月のユニバーシアードで)ロシアと戦ったときはホッケー王国と呼ばれるだけあって強くて、これだけ日本で自分が上にいても上には上がいると思わされました。ホッケーに対する考え方も変わりました。本当に強くて、中学生と大人が試合しているんじゃないかと思うくらいでした。遊ばれていましたし、試合という試合にもなっていませんでした。高い壁でした」

 

――アイスホッケーの魅力を教えてください。

 「スピードの速さと攻守の切り替え。スキルの出し方とかも違うので、パフォーマンスもありますし、そういうのを素人から見たら難しいかもしれませんが、速さの限界で繰り広げられる氷上の格闘技と呼ばれるので当たりも強いです」

 

――プレーしていて楽しいと思うときはどんな瞬間ですか。

 「自分がフリーで相手が2人の時に止めたりすると観客が沸くので、そういう歓声とか勝った時はうれしいですし、やってよかったなと思えます」

 

――プレースタイルを教えてください。

 「安定性です。感情的にはなりますけどワーと言っても、気持ちは冷静にとやっています。プレー的にも調子の波をつくらない。安心すると言ってもらえれば自分の勝ちですし、それを売りでやっています」

 

――これからどんな試合をしていきたいですか。

 「接戦になるかもしれないですけど、自分が止めれば勝てない試合はないので強気に考えて、上級生なので上にも意見を言える選手でありたいです」

 

――ありがとうございました。

 

[岩田純、藤山由理]

◆香田 凌辰 (こうだ・りょうた)政経3、白樺学園、172センチ・70キロ

★応援に行こう★

大会名:関東大学リーグ戦
日付:11月23日(土)対中大 24日(日)対早大

場所:ダイドードリンコアイスアリーナ(西武新宿線東伏見駅、徒歩1分)

試合開始予定:10月23日(土)14:45~、24日(日)17:30~