(46)~FINAL CHALLENGE~ 坂和樹「明治の看板であるナンバーエイトを背負うということ」

2019.11.13

 「真価が問われる代」。武井日向主将(商4=国学院栃木)は今年の最上級生についてこう語る。苛烈極まる対抗戦、そして連覇の懸かる大学選手権へ。激戦のさなか、4年生一人一人に今シーズンに懸ける思いについてうかがった。

 

第15回は坂和樹(政経4=明大中野八王子)のインタビューをお送りします。(この取材は10月20日に行われたものです)

 

――最上級生としてここまでの振り返りをお願いします。

 「4年生は一人一人の自覚ができてきました。今までは上のチームにいた選手に頼りがちでしたが、今は上のチームにいる4年生も下のチームにいる4年生も一人一人が最高学年ということを考えて日々の練習を過ごしています。全員が日本一になるという同じ目標をぶらさずにできているので良い方向に向かっていると思います。先週も4年生だけで話し合いをする機会があり、上のチームいる4年生だけではなくて下のチームにいる4年生とコミュニケーションを取ろうという話をしました。自分たちが日本一になるためには下のチームの向上が大事なので、別のチームではなく一つのチームということを意識して今後の練習も取り組んでいこうと決めました」

 

――最上級生になって変化はありましたか。

 「自分の持ち味であるコンタクトの部分はぶらさないでやっていきたいです。そこはチームの中でも信頼を得ている部分だと思います。プレー以外では4年生になってから実感することが多くなりました。1年生から3年生の頃はある程度自由にやってきましたが、最後の4年生になってからは引っ張ることを意識しています。もう誰にも引っ張ってもらえることはないので、最高学年として最後を日本一で締めくくるためにも日々の練習でしっかりと体を張り、コミュニケーションをとれるような環境をつくっていきたいです」

 

――ラグビーを始めたきっかけを教えてください。

 「明八(明大中野八王子)に入学したのは中学からで付属で大学に上がりたいという気持ちがありました。小学校の時はサッカーをやっていてラグビーという競技は知らなかったです。明治のラグビーが強いということも知りませんでした。ただ、自分はサッカーがあまりうまくなかったので他の種目を始めてみたいなと思ったときに、たまたまラグビーのコンバージョンをける機会がありました。そこでサッカーに近い部分があってそれで面白いなと思って始めました。フタを開けてみたらコンタクトの競技でした。そういう部分でも自分はサイズがあり、楽しいなと思って中学高校はやっていました。中学の時に選抜にも選ばれて高校は違う高校に行こうとも思いましたが、明治の試合を見たときに花形のナンバーエイトで紫紺を着ている姿が印象的でその姿がかっこよかったです。いつか着てみたいという思いがあって高校の時はフランカーもやりましたが、エイトも最終的にはやらせてもらえるようになりました」

 

――付属校出身の選手がスポーツ推薦の選手たちとメンバーを争う中で大変だった部分もありますか。

 「レベルが高いということは分かっていました。自分の高校は花園にいくようなチームではなかったので、逆に大学1年生になるまでの準備をすごくできました。体づくりもできたのでコンタクトの部分では周りとも差を感じませんでした。いいイメージを持てていたのでそこが強みになりました。逆にその強みがあったことでシーズンが深まっていく中で試合に出させてもらうこともありました。自分が通用する部分もあったので明治には入ってよかったなと思っています。明治の看板であるナンバーエイトを背負い続けるということを今年はもっと重視してケガしないことを目標にしていきたいです」

 

――4年生で中心になっている選手はいますか。

 「ラグビーの話をよくするのは洋介(石井・情コミ4=桐蔭学園)や大輔(射場・政経4=常翔学園)が多いです。その2人はラグビーIQも高く、チームのこともすごく考えてくれています。自分はリーダーに入っていないですが、リーダーに入ってない目線だからこそ気が付いたことを話すようにしています。飯食っている時や筋トレしている時でも気が付いたことを言える仲なので日向(武井)もそうですし、そこはリーダーに入ってない分、気が付くことはしっかりと伝えてあげようかなと思っています」

 

――坂選手にとって真価とは何ですか。

 「去年の代が優勝したというのがすごく大きいです。自分が1年生の時は選手権でも初戦敗退してしまって、徐々に学年が上がるにつれてチームが良くなっていき、準優勝、優勝と形になりました。根本的にできていないのは私生活の部分です。その部分でも真価は問われると思っています。ラグビーもそうですが、私生活の部分でもしっかり規律をまもってやることが本当の真価だと思います」

 

――ありがとうございました。

 

[清水康佑]

 

◆坂 和樹(ばん・かずき)政経4、明大中野八王子高、182センチ・103キロ

信頼できる後輩の選手に箸本龍雅(商3=東福岡)を挙げた。「上級生の自覚がすごく出てきてチームの中でもすごく話してくれる存在です」。頼れる逸材が最上級生となる来季も期待が持てそうだ。