(29)~FINAL CHALLENGE~ 射場大輔「きつい状況の時こそ自分から」

2019.10.14

 「真価が問われる代」。武井日向主将(商4=国学院栃木)は今年の最上級生についてこう語る。苛烈極まる対抗戦、そして連覇の懸かる大学選手権へ。激戦のさなか、4年生一人一人に今シーズンに懸ける思いについてうかがった。

 

第4回は射場大輔(政経4=常翔学園)のインタビューをお送りします。(この取材は8月31日に行われたものです)

 

――射場選手にとって明治大学はどんな存在でしょうか。

 「自分が高校生のころに比べてとにかく成長できる環境でした。昔から明早戦とかを見ていて、明治の〝前へ〟を体現した縦に強いプレー、FWの力強いスクラムに憧れを抱き、早稲田よりも明治に行きたいという気持ちが強くなり、進学を決めました」

 

――1年次と4年次を比べてご自身が感じる変化はありますか。

 「一昨年は、梶村さん(祐介選手・平30政経卒=現・サントリーサンゴリアス)とかが試合に出ていました。僕が大学1年生の時に、大学選手権で1回戦敗退を喫して、その後徐々に強くなっていくチームを見て、どうしたらより強いチームになれるのか考えました。昨年の選手権でスタメンとして出させていただいたこともあり、4年生になってだんだんと自覚が芽生えてきました」

 

――今年度は寮長も務められています。

 「口先だけでは何の効果もありません。今年は4年生から率先して行動で示していこうと決めているので、そこは寮長として自ら働きかけるようにしています。具体的にダメなところがあったら指摘をするようにしています。常にアンテナを張って、チームを正しい方向に持っていけるようにやっています」

 

――今年度と昨年度のチーム違いについてどうお考えですか。

 「4年生の自覚がこの夏合宿を通じて出てきたことです。去年は選手たちがそれに気づくのが遅かった結果として、対抗戦が悪い結果で終わってしまったという反省がありました」

 

――昨年度は優勝メンバーのスタメンでした。

 「シンプルにうれしかったですね。僕がラグビーしていて、全国で一番という経験が過去に一度もなかったので。初めての経験ということもあってか、あの感動はいまだに忘れられません」

 

――今春はケガの影響で出場機会が多くありませんでした。

 「そうですね。しかし膝のケガをしたことで、一線から抜けて外からチームの状況を見ることができました。ケガ人はケガ人の仕事があったので、チームのためにというのを心がけてサポートに献身していました」

 

――最上級生として心がけていることはありますか。

「とにかく個性がとても強い大学なので、それをまとめるということを一番大事にしています。あとは4年生を中心に、3年生以下をまとめること、彼らの素材を生かせるようにと日々考えています」

 

――残りのシーズンで修正したいことはありますか。

「辛くなった時のプレー、体力的な部分です。しんどくなった時に自分は弱みが出てきてしまう傾向があるので、そこでいかにポジティブにプレーするかが大事だと思います。それは私生活でも言えることで、きつい状況の時こそ自分から率先してやっていきたいです」

 

――後輩に継承したいことはありますか。

「明治大学ラグビー部としてのあり方というのは、この90年以上変わってきていません。先輩達が築き上げた伝統をしっかり残しつつ、自分の強みやプラスの部分を伝えていければと思います」

 

――射場選手にとってチームのスローガン〝真価〟とはどのようなものですか。

「〝まことの価値〟ということで、それこそ辛い時に一番今年のチームの価値というものが試されると思います。先日の慶応戦のような、きつい試合や、きつい時間帯はこれからも必ずあるので、そこでどれだけ一人一人が頑張れるかだと思います」

 

――ありがとうございました。

 

[高智琉大朗]

 

◆射場 大輔(いば・だいすけ)政経4、常翔学園高、176センチ・90キロ。

座右の銘は「必死のパッチ」。関西弁で〝一生懸命〟という意味なのだそう

 

次回は小椋統平選手のインタビューをお送りします。